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6、転生2日目

目が覚めると薄暗(うすぐら)い部屋にいた。


「ん……あれ?ここ……どこだっけ……」


ゆっくり起き上がり窓の外を見ると、深い森の中だった。太く大きな木が沢山生えているのを見て思い出した。


異世界転生(いせかいてんせい)したんだった……やっぱり(ゆめ)じゃなかったんだ……はぁ……」

ぽつりと(つぶや)き部屋を見回す。(せま)い真っ白な部屋にベットのみが置いてあり、ドアの横にクレイの亜空間(あくうかん)へのゲートが開いていた。


クレイ……亜空間にいるのかな?


まだ日も登る前のようだ。昨日は早く眠ったので、かなり早い時間に目が覚めてしまった。外も薄暗(うすぐら)い時間だったのでまだ皆は起きていないだろうと思い、クレイがいるであろう亜空間の方へ行ってみることにした。


ゲートを抜け亜空間に入ると、亜空間の中も薄暗かった。


「クレイー、いるー??」


キョロキョロと周りを見るが、暗くてはっきりとは分からない。亜空間の中は何処までも続いて居そうな景色だが(はし)がある。むやみに歩き回って空間の端にぶつかるのも嫌だし、見た目ほど広くもないので声も届くだろうと、呼んでみた。


「はい!……リオ?」


返事が返ってきた。と、同時に足音も。草をふむサクサクという音と共に人影(ひとかげ)が現れた。


「まだ暗いのにもう起きたのですか?」


「うん。目が覚めちゃって。……おはよう」


「おはようございます」


クレイが笑顔で近ずいて来て声をかけてくれた。


「何してたの?」


「また木の実がなっていたので収穫していました」


「へ?……木の実って……昨日の昼間とった果実(かじつ)のこと??」


「はい。不思議ですよね……もう昨日と同じようになっているんです……」


「同じように?!」


クレイの言葉に驚いていると、こちらです。と、薄暗いから気をつけて下さいと手を取って誘導(ゆうどう)してくれる。クレイは昼間は光が強すぎて周りが見えにくい代わりに、夜はどんな暗闇でも周りがはっきり見えるのだそう。

木に近づくと、最初にここの亜空間に来た時に見つけた時と同じように果物が(みの)っていた。


「……これは……」


まだ辺りは薄暗く遠くまでは見えないが、近くの木はどれも美味しそうに実っているように見える。


「ゼンが言っていたように、リオと私の魔力が混ざったせいなのでしょうか?」


「そう……なのかなぁ……不思議……」


そもそも魔法もある世界だから私の常識の範囲外のことも起こるのだろうが、それにしても驚きである。

普通は実がなるにしても花の(つぼみ)ができ、花が()き、受粉(じゅふん)して実をつける。その工程をすっ飛ばし、昨日取った果実が、たった1日しか経っていないのにもう出来ている。これが異世界という物なのだろうか……?

ぼんやり考えながら木を見ていると。


「リオ、亜空間の入口なのですが、リオもゲートを開くことができるかもしれません」と、クレイが話し始めた。


「え……?そうなの?」


「リオの魔力がこの空間にかなり干渉(かんしょう)していそうなので、可能(かのう)かと思うのですが……」


「そうなの?どうやってやるの?」


もし、クレイがいなくても亜空間に出入り出来るのなら、かなり便利(べんり)だ。どうやってやるのかと興味津(きょうみしんしん)々にやり方を聞いた。


まず魔力を()り、(つな)げたい空間を思い浮かべ空間内の場所を指定し、ゲートを発動する。と簡単に説明されたが、まず魔力の練り方が分からない。


「クレイ……魔力の練り方がわかんない……」

できると言っていたクレイにやり方を尋ねた。


「あ、そうでしたね、昨日練習出来ませんでしたもんね」


クレイは焦りながら私の手を取り、まずは魔力を感じることから始めましょうとやり方を教えてくれる。


クレイも生まれたばっかりのはずなのに、なんで知ってるんだろ?

色々不思議(いろいろふしぎ)だとは思いつつも、考えても答えなど分からないので、考えることをやめて、クレイに言われるままに練習していく。


初めて目が覚めた時、お(なか)魔法陣(まほうじん)が発動した時に感じた温かさ、あれが魔力だったようだ。お(へそ)の下から感じる(ねつ)を少しずつ少しずつ動かしていく。


「上手く動いてますよ」

笑顔で()めてくれるのにおだてられながら練習する事数分程で身体中(からだじゅう)に魔力を流し、動かす事ができるようになった。


「ふぅ……」


「では次に……今中にいるので、外をイメージしましょうか。先程寝(さきほどね)ていた部屋をイメージしてください」


「うん……」

クレイの言葉に導かれるまま、目を閉じイメージを膨らませていく。


「…………次にその部屋と目の前を(つな)げるようにイメージしてください」


「ん…………」


「…………そのイメージに魔力を注いで……」


「…………」


「……ゲートと(とな)えます」


「……………………………ゲート」


身体から少し熱が抜けていく感覚があった後、目の前に黒いモヤが出てきた。モヤが少しずつ少しずつ大きくなり、中心から時計回(とけいまわ)りに(えん)(えが)いていく。まん丸の円がだんだん縦長(たてなが)楕円形(だえんけい)へと広がっていき中心が少し白く発光(はっこう)した。


「繋がったようですね。くぐってみて()いですか?」


「うん……大丈夫かな……?」


「フフ、私なら、違うところに繋がっていてもゲートが途中で消えてしまってもまたここに戻ってこれますので」


「そうなの?」


「はい、では行ってきますね」


「うん……お願いします……」


優しい笑顔で行ってきますと言うクレイを見送り、ドキドキしながらクレイが戻って来るのを待っていると、ゲートは途中で消えることも無く、入って行ったクレイがゲートをくぐって戻ってきた。


「ちゃんと部屋に繋がっていましたよ」


「ほんと?」


「はい!おめでとうございます」と、嬉しそうに抱きしめてくれた。


「ありがとう!」と、ハグを返す。


ゲートは基本的(きほんてき)には最初にいた位置に繋がるのだそう。ただ、クレイが作ったゲートから入った為、元の位置と違う所に繋がる可能性もあり、先に確認してくれたそうだ。


私はゲートは1つしか出せなさそうだが、クレイは移動用のゲートも2つ扱えるし、その他に、外の場所と亜空間を繋ぎっぱなしにできる固定型のゲートも扱えるそうだ。

かなり便利そうで羨ましい。


今回は初めてでかなりゲートを繋げるのに時間がかかったが慣れたらすぐパッと繋ぐことができるらしい。

覚える事がいっぱいだが、ゲートを繋ぐ練習も頑張ろう!

クレイ:リオも亜空間に出入りできるようになりましたね!良かったです…

リオと私の共有空間……ふふ、ふふふ、なんだかリオと繋がっているようでこそばゆい気持ちです……

これでリオと離れ離れになることもありませんね…ふふふ



ここまで読んで下さりありがとうございます。


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