57、クレイのジュース作り
青年の怪我を治して、また素材受付カウンターに戻ると、ちょうどゼバンが奥から出てきた所だった。
「おう、待たせたな」
「全然!」
「じゃぁこれがまた引換証と、査定額だ」
「ありがとうー!」
「今回は立て込んでるモンもねぇから、明日の夕方頃には仕上げれると思う」
「わかった!じゃぁまた明日ね!」
ゼバンに手を振り、ギルドを出ていく。
今日は帰ってやりたいこともあるし!と、真っ直ぐ宿に向かう。
宿に着くと、晩御飯はもう食べれるよと、マーサさんに声をかけられたので晩御飯を受け取って亜空間の家に入帰った。
「ただいまー」
「リオ!おかえりなさい。今日は早いのですね」
「うん、ちょっとやりたいことあって……え?!クレイ何してるの?!」
「え?……リオが昨日言っていたジュースというのが作りたかったのです……」
キッチンを見ると、色々な果物が潰れた状態で散乱していた。
「へぇ……。ジュース……。えっと出来上がったの?」
「これ……」
これとクレイに差し出されたのは鍋どった。
鍋の中を覗くと色々なものを絞ったであろう汁が溜まっていた。
何を入れたのかちょっと茶色がかった緑色をしている。
「………」
「うぅ……リオ、ごめんなさい。そんな顔しないで……」
「へ?どんな顔してた?ごめんごめん、ちょっとすごい色でびっくりして……」
うわぁ……と思ったのが顔に出てしまっていたようだ。
「あんまり美味しくなかったのです……。うぅ……リオぉー……」
クレイはちょっと泣きそうな顔をしている。
よしよしと、泣きそうなクレイを抱きしめて頭をポンポンと撫でながら慰める。
「えー、んじゃちょっと一緒にやってみようか……」
「! はい!!」
「ジュースはね、慣れないうちは単品でするのがいいと思うよ。……ミキサーないよね……ジューサーもない……。あ、錬成空間でいけるかな?どれのジュースが飲みたかったの?」
「色々飲んでみたくて、一緒に作れないかと混ぜたらあんなことに……」
「ふふ、なるほどね!じゃぁジュースの定番、りんごジュースとオレンジジュースからしてみるね」
「はい!!」
「まずは、りんごの皮と種のところは取り除きます」
「!! そのまま使ってはダメなのですね」
「んー…ダメなこともないと思うけど、りんごの種の周りってちょっと渋いでしょ?その味まで出ちゃうから……。特にオレンジの皮は苦かったりするでしょ?」
「はい。オレンジの皮は苦いです」
「美味しいとこだけ使うの!」
「なるほど……」
「後、レモンの汁も使うから、半分に切っておいて、はちみつかお砂糖あればよかったんだけど……」
「ハチミツとオサトウとはなんですか?」
「とーっても甘くて美味しいものだよ」
「リオー!それはどうやったら手に入るのですか?」と、目をキラキラと輝かせている。
「え?……街にもあるのかな?また明日探してみるね」
「はい!」
「よし、じゃぁこれを、[錬成空間]
この中にりんご入れて、レモンちょっと絞って、[加圧][冷却]。ウォーターボトル空いてるのあったかな?」
「あります」
ゴトッ
ジャァーーー
「生搾りりんごジュース完成」
「わぁ!とても綺麗な色ですね!」
「これと同じように、オレンジも外の皮むいて、果汁出やすいように半分に切って[錬成空間]。中に入れて、[加圧][冷却]。これで完成」
「オレンジの方はレモンは入れないのですか?」
「入れてもいいよ。りんごは色が変色するから、レモン入れるんだけど、オレンジは大丈夫だから、あとは味の好みかな?」
「そうなのですね!」
「味濃すぎたら、少し水で割るといいよ」
「はい!でも、リオがいないとその絞り方は出来ません……」
「あー……そうだ!あれは?吸血で水分取り出すのは?」
「!!試してみます。あとはどれが美味しいのですか?」それがあったと、クレイは嬉しそうに試してみようと果物を物色している。
「単品だったらどれも美味しいよ。グレープフルーツもぶどうもパインアップルも」
「やってみます。リオ、ウォーターボトルがもうないので作ってください」
「うん」
ポーションを作って欲しいと用意してくれたガラス砂だが、少しならいいか……とウォーターボトルを作っていく。
クレイ、いつも熱中したらとことんしてるからな……30本あればいいかな?足りないかな……?
でも、冷蔵庫入り切らないだろうし……と、とりあえず30本、瓶を用意しておくことにした。
クレイ:ふふふ、フレーバーウォーターも美味しかったですが、このジュースというのも美味しそうです……いい香り……
りんごジュース、オレンジジュース、ぶどうジュース、パインアップルジュース、グレープフルーツジュース……はぁ……どれも綺麗な色で美味しそうですね……
ジュルッ……はっ!ダメダメ!ご飯の時に飲むのです!我慢我慢!……ジュルッ……
読んで下さりありがとうございます。




