48、従魔登録をした
次はー、石鹸と、タオルも欲しいなー!シャンプーやトリートメントはさすがにないかなぁ?
あ、あと櫛も欲しかったんだ。
いるものを思い出しながら、キョロキョロしながら歩く。
昨日この辺に雑貨屋さんがあったと思ったんだけど……。
冒険者ギルドのある表通りから、少し路地に入った所で足を止めた。
「あった!」
ガチャッとドアを開けて中に入る。
「こんにちはー」
「はーい。いらっしゃい」
ブラウンのふわっとウェーブのかかった髪の可愛い店員さんが出迎えてくれた。
「こんにちは。石鹸って置いてますか?」
「はい。ありますよ。」
「わぁ!良かったぁ!」
「ふふ、こちらになります。こっちは無臭の物で、冒険者の方には人気ですね。こちらは少しだけ花の香油が練り込まれたものになります。とても良い香りですよ」
「わぁ!ほんと、いい香りですね。んー、両方ください!」
「は、はい?両方ですか?お値段結構しますが……よろしいですか?」
「はい!大丈夫です!日によって使い分けするので!」
「わかりました」
「他の物も見て行って良いですか?」
「はい。もちろんです」
店内をぐるぐると見て回る。
小さな鏡、ガラスペン、アクセサリー、部屋の飾り、櫛、リボンなどの髪飾り、となかなか可愛いアイテムが多い。
あ!鏡があるじゃん!……おお!私可愛い!こんな顔だったんだ!わぁ……目が大っきい!睫毛も長い!肌きれーい!
リオは初めて見た自分の顔はかなり好みだったようで、お店の鏡を見ながらニヤニヤしている。
しばらく鏡で自分の顔を眺めた後、小さな鏡と櫛を持ち、レジに向かう。
「コレもください」
「はい。ありがとうございます。全部で11000ゴールドです」
お金を払い、商品を受け取り店を出て、冒険者ギルドに向かう。
ここのお店は可愛い物も色々あったからまた来たいな!
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ガチャっと、扉を開け、冒険者ギルドに入ると、今日もとても空いていた。来る時間が空いている時間なのだろうか?
みんな依頼受けるならもっと早い時間に来るのかな?
店内を見回すと、依頼が貼ってある所に数人冒険者らしき人がいるのと、あとは奥の飲食店で食事をしている人が2組いるだけで、受付はどこも空いていた。
昨日受付をしてくれたお姉さんもいたのでそちらに向かう。
「こんにちは」
「こんにちは。今日は依頼を受けられますか?」
「はい。後で依頼も見てみようと思います。でも、先に聞きたいことがあるんですが……」
「はい。どういったことでしょうか?」
「ギルドカードで見れるステータスって、どのくらいが普通なのかと、あと、従魔のステータスも見れるか聞きたくて」
「え?従魔がいるんですか?」
「はい、います。なにか登録が必要でしたか?」
「そうですね!従魔がいらっしゃるのでしたら従魔登録が必要です」
「すみません、知らなくて……登録して貰っても良いですか?」
「はい。もちろんです。ギルド証と……従魔は外ですか?」
「あぁ、従魔は……クレイ?」
「はい。」と、返事をしクレイが影から現れる。
「彼が従魔です」
「え……」
お姉さんがクレイを見てフリーズしてしまった。
えっと……
「あのー……大丈夫ですか?」
「は、はい。や、はい。えっと……人を従魔にすることは出来ないのですが……」と、お姉さんは苦笑いだ。
「あぁ、人じゃなくてヴァンパイアなので」
「ヴァンパイアですか?!」
「初めまして。紅麗と申します。リオの従魔です」
「………。そ、うですか。かしこまりました。では従魔登録を致しますね」お姉さんは少し混乱しているようだ。本当に?と戸惑いながらも登録はちゃんとしてくれるようだ。
お姉さんは、ぼぉーっとしながらフラフラ奥に行ってしまった。
「驚いてたね」
「そうですね。ゼンもヴァンパイアには会ったことがないと言っていましたし、珍しいのかもしれませんね」
「あー、そういえばそんなこと言ってたかも?」
少し話していると、昨日ギルドカードを発行してもらった時に使っていた機械を持ってお姉さんが戻ってきた。
「えっと……お待たせしました。従魔登録をしていきますね。こちらに従魔の名前と種族を書いていただいてよろしいですか?」
「はーい」
名前と種族を書き終わりお姉さんに渡すと、機械にセットして、説明をしてくれる。
「従魔登録すると、従魔の主のギルド証で従魔のステータスの確認もできるようになります。
従魔は従魔の証のネックレスを見えるように付けておいてください。
ネックレスがないと検問に引っかかり中に入れて貰えない場合があります。
従魔がすることは全て主の責任になりますのでご注意ください。
ここまでで何かご質問はございますか?」
「大丈夫です」
「では、従魔の方、こちらに手を置いて頂いてもよろしいですか?」
「はい」
ピカーッ
手を置くと水晶が光り、横でカタカタと機械が動く。
しばらくカタカタ動いていた機械が止まるとおまたせしました。とカードとネックレスを渡してくれた。
「こちらに従魔の方の血を1滴垂らしていただいてもよろしいですか?」
従魔用のネックレスに血を垂らしてくださいとネックレスと針を渡された。
ネックレスの石の部分に血を垂らすとネックレスが淡く発光した。
「ありがとうございます。これで従魔登録は完了になります。ギルドカードでステータスを確認していただくと、主のステータスの下に従魔のステータスも表示されるようになっているかと思います」
カードにはGランク、リオ、リオの名前の下に従魔クレイと書かれている。
「はい。ステータスオープン」
「見れましたか?」
「はい。ちゃんと表示されてます。ありがとうございます」
ステータスを開くと、リオのステータスがズラズラっと書かれており、その下にクレイのステータスもズラズラっと書かれていた。
「いえいえ、あと、一般的なステータスが知りたいとのことでしたか?」
「はい。そんなのも教えて貰えたりしますか?」
「はい。可能ですよ。資料を持ってきますので少々お待ちください」
「はーい」
「リオ、ギルドカード見せてください」
「うん、はいっ」
「わぁ!私の名前もリオの名前の下に……嬉しいです。リオが前に言っていた漢字で表示されたらもっと良かったです」
「漢字で書いたら受付の人読めなくて却下されるよ?多分……」
「う……そうですか……」
少し話していると受付の人が戻ってきた。
「お待たせ致しました。こちらが平均的なステータスです。ですが、コレはあくまでも参考資料になりまして、このレベルだと絶対この数値というものではありません。接近戦が得意な方、魔法が得意な方、扱っている武器などによってステータスは変わってきます。ですので、これより高い方も低い方もいらっしゃるので、数値が違っていても気にされる必要はありません。特に魔力に関しては、魔法剣士のステータスを参考にしているのでこれより低い方がほとんどです」
「はい。ありがとうございます」
数枚のステータスが書いてある紙を受け取り確認していく。
Lv1
体力 100
魔力 100
攻撃力78
防御力80
俊敏性75
Lv10
体力 205
魔力 207
攻撃力179
防御力181
俊敏性182
Lv30
体力 412
魔力 400
攻撃力478
防御力483
俊敏性471
Lv60
体力 720
魔力 704
攻撃力681
防御力686
俊敏性678
Lv100
体力 1094
魔力 1098
攻撃力983
防御力978
俊敏性979
Lv150
体力 1620
魔力 1595
攻撃力1578
防御力1583
俊敏性1587
「レベルが結構飛び飛びで書いてあるんですね」
「そうですね。そちらのレベルがだいたいのギルドランクのランクが上がる時のレベル帯になります」
ギルドランクのレベル帯はだいたいこのくらいだそう。
Lv10~Eランク
Lv30~Dランク
Lv60~Cランク
Lv100~Bランク
Lv150~Aランク
このレベル帯にプラスでギルドのクエストクリアの実績が必要なのだとか。
「……これって……。Sランクの人のレベルはどのくらいなんですか?」
「Sランクは、私も詳しくはないのですが、レベル500以上だと聞いたことがありますね……ただSランクにもなる方は数える程しかいらっしゃらないので詳しいことは分かりません」
「へぇー……そうなんですね。とても参考になりました!ありがとうございます」
「いえ、また何かありましたらお声かけくださいね」
「はい。ありがとうございます」
お礼を言い、資料を返して飲食店に向かう。
途中、クレイに後で依頼を受けるけどクレイはどうするかと聞くと、外には出られないから帰るとのことだった。
ゲートを開ける人目につかない所を探そうとすると、影からそのまま亜空間に帰れるのだとか!
飲食店の所に着く前に、影の中へと戻っていった。
受付嬢:昨日登録に来たとても可愛い女の子、従魔がいたなんて、驚いたわ…!しかもその従魔がヴァンパイアだなんて…ヴァンパイアって本当に存在していたのね…最初に見た時は美青年かと思ったわ。女の子も可愛くて、従魔も…2人ともキラキラ光っているのかと思うくらい眩しかったわね。
冒険者ギルドで働き始めてかなり経つけど、あんなに見た目がいい子は冒険者になんかならなくても他にいくらでも仕事があるのに…本当に不思議だわ…
読んでくださりありがとうございます。




