45、ペルカの街のご飯
妖精の奏亭に戻ると、女将さんがもう夕飯も食べれるよと声をかけてくれた。
部屋で食べていいか聞くと大丈夫との事で、お盆に乗せてもらい部屋に持っていく。
部屋に入ると、ゲートを開き亜空間の家に帰った。
「ただいまー」
「リオ、おかえりなさい」
「これ、今日泊まってる宿のご飯だよ。あとこれがー────」
次々と今日買ったものを取り出していく。
冒険者ギルドの飲食店で買ったもの。
市場で買った野菜や果物。
料理が冷めないうちにと、宿のご飯と冒険者ギルドの飲食店で買ったご飯を半分ずつ分け食べてみる。
「ん!意外と美味しい。これ角うさぎのお肉だって。こっちはレッサーボアのステーキ」
「んー……私はあんまり……。やはりリオの血やここで取れた物以外はあまり美味しいと感じませんね……」
「そうなんだ。……もういらない?」
「せっかく買ってきてくれたのにすみません」
「ううん、全然いいよ。私が食べるね。こっちの野菜とか果物も美味しくないかな?」
「……ちょっと切って味見してみます」
「うん」
異世界のご飯はなかなか美味しかった。
角うさぎはアッサリしていて鶏のササミのような味だった。
ブラウンボアは若干臭みがあるもののスープでしっかり煮込まれていており柔らかくホロホロと口の中で肉の繊維が解けていく。
レッサーボアのステーキはこれは臭みもなくとてもジューシーで美味しかった。しっかりした肉質なのに固くはなく噛めば噛むほど旨みも溢れてきた。
宿のご飯は何の肉か聞かなかったが、パンとスープとお肉を焼いたものだった。
食事が美味しいとギルドのお姉さんが言っていただけあり、とても美味しかった。
森の生活では味付け無して茹でた野菜か果物しか食べていなかったので、ちゃんと料理されたものが食べられるのがとても幸せだと思った。
ご機嫌にモリモリ食べていると、クレイがとりあえず皮を剥いてみましたよ。と、市場で買った野菜や果物をお皿に乗せて持ってきてくれた。
「わぁ……中と皮が同じ色してるの?」
「はい。皮ではなくそのまま食べられたのでしょうか?とりあえず表面を皮を剥くように切り落としてみたのですが……」
「この真っ黒の気になってたんだよねー!」
カリッ
「!!!ンッッッパァー!」
「え?え?大丈夫ですか?リオ?」
「やばっ、めっちゃ酸っぱいんだけど……」
「……。こ、こちらは?濃い緑の……」
カリッ
「どぉ??」
「……?味があまりありません」
「へ?」
カリッ
「……。うっすーいリンゴみたいな?や、梨か?」
「ん!こちらはまぁまぁです」
「こっちのピンクのキャベツも美味しい!人参みたい」
「!!ん……これは酸っぱいです」
「キュウリみたいなやつ?こっちはミルクみたいな味がする」
「これは中がオレンジの野菜のような味ですね。かなり味が薄いですが……」
「中がオレンジって…カボチャ?ガリっ!かったーい!なにこれ?歯が折れるかと思った……」
「あぁ、それは白いじゃがいものようだったものですね。切る時もとても固かったです」
「これは生じゃ無理だね。固すぎ……」
「今日買ったのは生ではあんまり美味しいのなかったね。茹でたり調理したら美味しくなるのもあるかなー?ピンクのキャベツかオレンジのさくらんぼみたいなのは結構美味しかったけど……」
「はい。リオの元の世界のものが美味しすぎるんですよ」
「あー、それはあるかも。亜空間で育つ野菜や果物も日本で品種改良されて美味しくなったのと同じような味だし」
「ヒンシュカイリョウ?」
「美味しくなるように何年もかけて人の手で改良するんだよ」
「へぇ……そんなことを……」
「私の前住んでた国は、食へのこだわりは強かったと思うよ。食材だけでなく、料理も美味しい物がいっぱいあったし」
「あの野菜や果物で美味しい料理……じゅるっ……そ、それはぜひ食べてみたいですね」
どんな想像をしているのかヨダレを垂らしてうっとりしている。
「明日商業ギルドに、野菜か果物を少し持ち込んでみようかな?売れそうだよね!」
「そうですね!2人ではとても食べきれないほどありますし」
こうして、街に着いて1日目は、ちょっと事件もあったが無事に終わるのだった。
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