329、解体の依頼-1
そろそろ出かけようかとゼンと話していると、デビッド達に呼び止められた。
まだ帰っていなかったようだ。
「まだいたの?」
「おまっ、言い方ひでぇぞ!」
「……で?何か用?」
「おい、無視かよ!」
「昨日はありがとな!」
「うん、楽しめた」
「それは良かった」
「おい、無視かよ!!」
「街まで行くなら一緒に行こうと思ってな」
「うん、待ってた……デビッドうるさい」
「あ、そうなんだ、ありがとう!でもルゼルの街には行かないから……行き方分かる?」
「ちょ、ケンドールまでひでぇ……」
「ああ、それは聞いたから大丈夫だ」
「何か用があるのか?」
「今日はペルカの街に行くから」
「「は?!」」
「……」
「おい、ペルカの街へ行くってどういう事だ?」
「そうだぞ、ペルカの街までどれだけかかると思ってんだ?」
「今日中には着けない」
「……秘密」
「「え……?」」
「女の子は秘密の多い生き物なんだよ」
「は?……ちょ」
「「え?え?」」
「ほら、さっさと帰ってくれる?」
有無を言わさず、後ろから背中をグイグイ押してルゼルへ繋がるゲートの方まで歩いていく。
その間も、どういう事だ?説明しろ!気になるだろ!と、ごちゃごちゃ言ってきていたが、秘密ー!の一言で通し、ゲートの中へ放り込んだ。
よし、片付いた!
と思って後ろを振り返るとドレイクが立っていた。
「わぁ!びっくりした!どうしたの?」
「リオ様、体はもう大丈夫なので俺にも仕事をさせてほしい」
「え、様とかつけなくて良いよ」
「しかし、皆そう呼んでいるのでは?」
「そうなんだよねー、様とかつけなくて良いって言ってんのに、何でかな?」
「え?!それは……俺に聞かれても……」
「子供達は普通に呼んでくれるんだけどね?ドレイクも普通にリオって呼んで」
「わ、わかった……リオ……」
「うん!で、仕事って何がしたいの?」
「いや、何でも構わない。何か出来ることが有ればそれを……」
「んー……んじゃ、とりあえず、出かけるから一緒に行く?」
ビクッ「え……」
「あ、大丈夫だよ?」
「……」
「今から行くのはルゼルの街じゃなくて、ペルカの街だから」
「……は?」
混乱しているドレイクを引っ張って、ゼンの所へ戻ると、ゼンはオニキスを抱いていた。
どうやらオニキスも一緒に行くようだ。
ゼンとオニキスとドレイクと一緒にペルカの街に繋がるゲートを抜ける。
今日もクレイはダンジョンに従魔達と行っていて居ない。
最近は昼間は全く構って貰えないのだ。
夜には帰ってきて、その日のダンジョン探索はどうだったか等を教えてくれるのだが、めちゃくちゃ楽しそうなのだ。
羨ましいことこの上ない。
……ダンジョンの中って冬とか関係ないんじゃ……しまった!地下道作成なんか引き受けずに冬はダンジョンに行くんだって言えばよかった……はぁ、今更か……
そんな余計な事を考えつつ、ゼン達とゲートを抜けてフリーオンの店内も抜けていく。
まだオープン前でみんな慌ただしく準備をしていた。
以前は11時くらいから開けていたのだが、もっと早く開けて欲しいという要望が多かったとかで、最近は準備が出来次第オープンしているようだ。
外は今日もとても暑い。いい天気だ。そんな中、もう店の前には行列が出来ていた。
こんなに早くから並んでるんだな……
少し驚きつつも、冒険者ギルドの方へと歩いていく。
大通りは今日も人が沢山行き交っていて賑やかだ。
屋台ももう開いていて、おじさんやおばさんが呼び込みをしている。
「わぁ、いい匂いー!」
「うむ、食欲をそそられるのぉ」
「にゃぁぁ!!」
「ちょっと買いながら行く?」
「うむ!」
「にゃぁ!」
「え、先程朝食を食べたばかりじゃ……」
「おやつだよ!お、や、つ!」
「ええ……?!」
困惑気味なドレイクを引っ張って、ゼンとオニキスと屋台をハシゴする。
「遠慮しなくてもいいのにー」
「うむ、リオの奢りじゃしのぉ!」
「いや、遠慮しているのではなく、腹がいっぱいなんだ……」
「そうなの?じゃぁ預かっとくからお腹すいたら言ってね」
「え……はい……」
「どれも美味じゃ!」
「うん!美味しいねー!」
「うにゃぁぁ!!」
冒険者ギルドまでの道すがら、屋台料理を次々と買っていく。全制覇しそうな勢いだ。
こっち美味しい!これめっちゃ当たりだ!うむうむ!美味いのぉ!にゃにゃぁ!と朝食を食べたばかりだとは思えないほどの量を次々と食べていくリオとゼンとオニキス。
その様子を見て胃もたれを起こしそうな表情で腹を撫でるドレイクだった。
◇◇◇
「ゼバンいますか?」
冒険者ギルドに着くと、素材受付カウンターに真っ直ぐ行くと、カウンターにいた男性にそう声をかけた。
男性は少し驚いた顔をしたが、すぐに奥の扉の向こうへと、呼びに行ってくれた。
そのまま待つこと数秒で、扉の向こうから怒鳴り声が聞こえ、何かと扉の方を見ると、扉がバンッと開いてゼバンが出てきた。
「誰だ?!俺を呼び出したのは?」
扉が開くと同時に、ゼバンがこちらへ向けて不機嫌そうに叫んだ。
「私ー!」
はーいと片手を上げてリオがそう返事をすると、ゼバンはリオを見て目を見開き、数秒動きを止めた。
「り、リオか!?久しぶりじゃねぇか!」
「うん、ゼバン元気してた?」
「なんだおめぇ、今まで何してたんだ?」
「え?何って?」
「全然来ねぇから、どうしたのかと思ってたんだよ」
「そうなの?心配してくれてたの?」
「そ、そそ、そんなんじゃねぇが……」
少し顔を赤くしている。図星を指されて照れているようだ。
「今日は解体頼みに来たよ」
「おう、そうか!んじゃまた奥に出してくれるか?」
「んー……」
「なんだ?どうした?」
「出せないかも?」
「は?……持ってきてねぇのか?」
「んーん、魔法腕輪に入ってるんだけど……」
「なら、何でだ?」
「あそこの倉庫だと大きすぎて出せないかも」
「……は?」
「だから、倉庫より魔物の方が大きいかも?」
「……え、ちょ、ちょっと待て、え?え?」
ゼバンは倉庫より魔物の方が大きいと聞いて理解が追いつかないといった様子で混乱している。
解体所の倉庫はかなりの広さだ。それはリオが高ランクの魔物を何十匹も持ってきてもズラっと並べて置けるほどだ。
そんな広さがある場所へ出すことが不可能なほどのサイズとは……?
想像がつかないのだろう。
「ローカストさんから何か聞いてない?」
「んあ?……あー、そういやぁ、なんか言ってた気もするな?」
「聞いてなかったの?」
「マスターは最近小言が多くてなぁ……」
「そうなの……?」
「ココ最近、リオが魔物の解体を頼みに来てなかっただろ?」
「うん……」
「解体作業員を増やしたのに、売上がなんとかかんとかってよォ……」
「あはは、大変だったねー」
「おめぇな!他人事みたいに……」
「まぁまぁ」
「仕方ねぇ、門の外で確認してからにするか!」
「その方がいいかも?」
「おう、分かった!んで、そっちは?」
「あ、そうだった!ゼバンこっちは、ゼンとドレイクとオニキスだよ」
「初めて見る顔ばかりだな、俺はゼバンだ、よろしくな!」
「うむ、私はゼルジオンじゃ、ゼンと呼んでくれ」
「俺はドレイクだ。よろしく頼む」
「にゃぁー」
挨拶を交わし、少し話すと解体作業をする場所を探すため、外壁の外へ出ることになった。
デビッド:なぁ、リオのやつ、ペルカの街に行くって言ってたよな?
ステファン:ああ、そうだな!
ケンドール:ペルカの街は遠い
デビッド:だよな?
ステファン:どうやって行くつもりだろうな?
ケンドール:馬車?
デビッド:今日行くって……
ステファン:今日から向かうって意味じゃねぇか?
ケンドール:それならあんなに焦らない
ステファン:……それもそうか?
デビッド:なんか隠してる感じだったもんな!
ケンドール:怪しい
ステファン:誰かに聞いてみるか?
デビッド:は?誰にだよ?
ケンドール:ギルマス?
デビッド:そうだな!リオと仲良さそうだったしな!
ケンドール:すぐ行く!
ステファン:へ?仕事は?
デビッド:たまには休んでもいいだろ!
ケンドール:そうだ!
ステファン:いや!昨日も仕事してねぇからな!
デビッドケンドール:………………
ステファン:おい!
いつも読んでいただきありがとうございます!
デビッド




