328、朝から騒がしい人達 (8/6)
ぷにぷにっと、ぷにぷにの肉球を頬に押し当てられ、オニキスに朝いつもよりゆっくりめな時間に起こされた。
「んー……おはよう、オニキスは元気だね、私は今日はまだ眠いやぁ」
「にゃぁぁー!」
それというのも、昨日は結局地下道の話し合いに遅い時間、解散するまで延々と付き合わされたからだ。
人を雇ったほうが、仕事に溢れてる人もお金を稼げて良いのでは無いかとも伝えた。リオ達が働き口をいくつか作ったとはいえ、まだまだ仕事に溢れている人は数多くいるのだ。だが、結論から言うと、地下道は早く使えるようにしたいから他の人も雇うが、結局メインの道はリオが作ることになってしまった。
冬は雪がかなり降ると聞いていたのであまり雪が積もっているのを経験した事が無かったリオは、遊ぶ気満々でいたのだが、話を聞くと雪の積もる量は予想以上だった。
「年によって違うが、私の背よりは高く積もるな」と、コンラッド様。
コンラッド様はかなり身長が高い。
180センチは超えていそうな身長だ。
それよりももっと高い位置を手でこれくらいか?と指し示していた。
その高さは2メートル以上のようだ。
そんなに降っては、確かに外に出るのは難しそうだ。
冬の間にしようと思っていた事がその積雪量では難しいかもな……と思いながら話を聞いていた。
みんな買い出しとかどうしているのかと尋ねると、春から秋の間にする冬支度にエネルギーを集めるというのもあるそうだ。
なんのエネルギーかと思ったら、街全体を覆う結界を冬の間貼りっぱなしにしておく為のエネルギーだそうだ。
特にペルカの街の建物は木造建築も多い。
2メートルも雪が積もったら潰れてしまいそうだ。
雪の量がそれほど多いので、街の人達は秋が終わるまでにかなり頑張って冬支度をするのだそう。冬の間の食料や保存食の作成、薪などを集めたり、冬の間働かなくても良いだけの貯蓄をするそうだ。そして冬の間は外壁の外へ出る者は滅多にいないそうだ。
「それなら、地下は雪も関係無さそうだし、冬の間に掘るのもいいかもね」
「うん、まぁ、リオはなんやかんや他にもやることありそうだけど……」
「あー!ほんとだ!どっちかしか無理だよ?」
「他のやる事とは……?」と首を傾げるコンラッド様達。
「魔法鞄はリオしか作れないですし」
「「あぁ……」」
「水中で呼吸が出来るようにする魔導具?あれもリオが作ってますし……」
「「あぁ……」」
「ポーションも、中級から上級はまだリオに依頼が来るって言ってなかったか?」
「うちの子達も中級は少しなら作れるようになってる子もいるんだけど、まだ数が足りないらしいんだよね」
「「あぁ……」」
リオとサンの話を聞き、商業ギルド、冒険者ギルドのマスター達は顔を徐々に顰めていく。
「そっちを何とかして貰えないなら、リオが地下道を掘るのは難しいんじゃないですかね?」と、サンちゃんも応戦してくれた。
「そ、そうだな……それは確かに負担が大きい……」
「ほらやっぱり、人を雇って地道にやるのが1番ですよ!」
「いや……」
「ん?」
「地下道の方を頼みたい」
「え?」
「そちらの魔導具などの製造が止まる方は私が何とかしておこう」
「何とか?」
「文句を言わさんようにだ!」
「なるほど……」
「冬だな?」
「え……?」
「冬までに必要な物を集めておく」
「はあ……」
「サン!」
「え?はい?」
「地下道を作るのに必要な物をリストアップしておいてくれるか?」
「え、はい……分かりました……」
「……本当にやるんですか?」
「もちろんだ!!」
と、こんな感じで、少し抵抗してみたが、結局丸め込まれてしまったのだ。
出入口の建設は設計図が出来次第すぐにでも取り掛かると張り切っていた。
ペルカの街とアヒンの街が繋がったら、今度はペルカの街からセルジュの街にも地下道を通すのだとか……
そのうち王都までとか言い出しそうで不安しかない。
オニキスと食堂に行くと昨日は、あのまま泊まっていたらしい領主様達やギルドマスター達にジオが取り囲まれていた。
どうやら地下道の設計図を書いて欲しいと頼まれているようだ。
「俺は家専門だって言ってんだろ!」
抵抗はしているが、なんやかんやと煽てられ、「そこまで言うなら仕方ねぇな」と、引き受けたようだ。
もうジオの扱いも熟知しているようだ。
そんな様子を横目に、どこに座ろうかと食堂内を見回すが、空いている席がないようだ。
あれー?空いてないな……?
そこへ、リオー!と、リオより後から入ってきたシバ達が困り顔で話しかけてきた。
食堂内を見て回ったが席が無いのだという。
あ!ギリギリだったのが、コンラッド様達が来てるからかな……?
席が足りなかった子供達と一緒に、朝食をお盆に乗せてもらい、リビングの方で食べることにした。
キャッキャと朝から元気な子供達とリビングの方へ移動していると、玄関の入口の扉が開いてゼンが入ってきた。
「あ、ゼン!おはよう!」
「うむ、おはよう」
「帰ってたの?」
「うむ、途中で姿が戻っては事じゃからのぉ」ふぉっふぉっと、綺麗な女性の姿で笑っている。
「あはは、朝ごはん食べに来たの?」
「うむ、それにリオの倒したと言っておった魔物も気になってのぉ」
「ん?……あ、サメの魔物?」
「うむ、私は見た事が無いからのぉ、解体に出すのじゃろ?」
「うん」
「一緒に行こうかと思っての」
「ほんと?!行こ行こ!ゼンのこと、ゼバンにも紹介したいし!」
リビングで一緒に朝食をとったのは、子供達とゼンだけでとても平和だった。
最近は何かとバタバタしており、子供達の話をゆっくり聞く機会が少なかったが、みんな昨日のお花見が楽しかったとか、最近ハマっている遊びの事や、勉強の事、魔法の事、剣術の事等を話してくれた。とても楽しそうだ。
朝食を食べ終わると、食器を片付けに食堂に行く。すると、食堂にいたみんなは、絡まれて大変だったのだと泣き言を言いながら寄ってきた。
体格のいい大人達は、冒険者ギルドのマスター達に勧誘され、鍛治スキルや付与スキル、鑑定スキルや錬金術スキルを持っている人達は商業ギルドのマスター達に絡まれ、ジオだけでなく、サンちゃんランちゃんノアちゃんも領主様達に囲まれ色々言われていたようだ。
まだ朝なのに、朝食をちゃんと食べたかも記憶に無いほど疲れたと、ぐったりしていた。
なんでバレたのか……?と思っていると、今日の仕事の予定なんかの確認をしていた時に耳ざとく聞きつけられ、絡まれたようだ。
あヤツらが来ておる時は仕事の話もおちおち出来んわい!と、ガンツ達ですらげっそりしている程だった。
「お、お疲れ様?」
「リオー!どこ行ってたのー?」と、ノアちゃんも頬をふくらませている。
「席が空いてなかったから、リビングに行ってたんだよ」
「……逃げてたのかと思った……」
「リビングは平和だったよ」あはは
「もぉ、リオ!ちゃんとギルマス達の相手してくれなきゃ!」
「へ?いやいや、私じゃなくてもいいじゃん」
「でも、リオが相手してくれてたら大人しいでしょ?」
「え?変わらないと思うけど……?」
「はぁ、ギルマス達もみんなに絡んで大変だったんだよ」
「みたいだね……」
「もぉ、くったくただよぉ」
ノアちゃんがこんなに文句を言うほどとは……かなり大変だったようだ。
ちなみにこの元凶の人達は、今はもういない。
朝食を食べ終わると、やる事がたくさんあるからとそそくさと帰って行ったようだ。
せっかく英気を養うためにお花見をしたのに、養った英気を全て吸い取られたようだな……と、次からはイベントをする時には気をつけようと心に決めるのだった。
セノーデル:ジオ殿、地下道の設計図を作成して頂けませんか?
ジオ:は?無理よ
ファビアン:ジオ殿なら出来るのでは?
ジオ:いやいや、俺は家専門じゃけぇね
ロザリンダ:家以外も出来るんじゃないのかい?
ジオ:俺は家専門だって言ってんだろ!
セノーデル:いやいや、ジオ殿の腕前は以前から伺っていましたよ!
ジオ:は?
ファビアン:ええ、かなり優秀な設計士だそうですね!
ジオ:そうか?
セノーデル:デザインのセンスもピカイチだとか!
ジオ:そ、そうかな?
ロザリンダ:リオやサンも何のデザインをさせてもセンスが良いって褒めてたよ
ジオ:え!本当か?
セノーデル:家だけでなく他の設計も出来るのでは?
ジオ:ま、まぁ、出来んこともないけど……
ファビアン:やはりそうですか!さすがですねぇ!ボーリング場の建物も素晴らしかったですし!
ジオ:あー!あれはなかなかええ出来じゃろ!
ファビアン:ええ!あんなに素晴らしい建物を見たのは初めてです!
ジオ:だろー!俺もいい感じに仕上がったと思っとったんよ!
ロザリンダ:そんなにセンスがいいなら建物だけでなく他の物の設計もしないとねぇ、そのセンスを埋もれさせとくのは勿体ないからねぇ
ジオ:そ、そうかな……?
セノーデル:そうですそうです!是非とも、他の誰でもなくジオ殿にお願いしたいですな!
ファビアン:ええ、私も賛成です!是非ともジオ殿に!
ジオ:そ、そこまで言われたら……やっちゃらん事もないけど……
ロザリンダ:ありがとうねぇ、是非とも頼んだよ!
ジオ:おう、任せとけ!
いつも読んでいただきありがとうございます!




