326、悲鳴の理由
「ふぅー、お腹いっぱいー!」
「うむ、もう食べれんのぉ」
「2人とも食べ過ぎだよ……」
おいしかったぁー、と満腹で幸せな気持ちで微睡んでいると、「ぎゃぁぁーーーー!!」と叫び声が聞こえてきた。
「な、なになに?何事?」
「うむ……?」
「なんだろ??」
うとうとと微睡んでいた眠気も一瞬で吹き飛び、飛び起きると叫び声のした方を見る。
少し離れているこの場所からだとあまりよく見えない。
ゼンとノアちゃんと顔を見合わせると、様子を見に行くことにした。
みんなが集まっている所で何やらガヤガヤと話しているようだ。
囲まれているのは……
「……誰?」
見たことの無い綺麗な女性だった。
「あ、リオ……ノアもゼンも、えっと……ごめん……」
「うん、止められなくて……ごめん……」
気まずそうな顔で謝ってくるランちゃんとサンちゃん。
先程までほろ酔いだったのに、すっかり酔いが覚めている様子だ。
それから、女性を見て爆笑しているジオと、鏡を見て顔を青くしている女性。
サンちゃんとランちゃんの話では、ジオが酔ってクリスに絡み、悪戯心で変身ポーションを飲ませたようだ。
つまり……
「え、その美人の女の人って、クリスなの??!」
「……そう」
「お貴族様にこんな事……」と、顔を青くしている。
「ぷっ、あはははは」
「ちょ、リオ、笑い事じゃねぇだろ!」
「そうだぞ、何かお咎めがあるんじゃ……」
「それなら大丈夫だよ、多分!」
「えぇ……」
「多分って……」
ケラケラ笑うリオの返答に複雑そうな顔で返すランとサン。
「だって……」
と、リオが何か言いかけた時だ。
「なんじゃこりゃー!」と自分の胸を鷲掴みにして叫んでいるのはデビッドだ。
今度は何かと声のした方を見ると、デビッドも女性の姿になっていた。
あー……
それを見て、またジオは爆笑している。
女性の姿になっているのはデビッドだけではなかった。
デビッドのパーティメンバーのステファンとケンドール、それからリオが連れてきた冒険者ギルドのギルドマスターのスタンリーまで、女性の姿に変わっていた。
デビッド以外は、あまりの衝撃に言葉を失っているようだ。
渡された手鏡をブルブルと震える手で握りしてめ、写った自分の姿を見て目を見開いている。
「やべぇ!めっちゃ美女じゃん!」
次々と女性の姿に変え、美女が増えたとテンションの高いジオとは裏腹に、箱庭の住人以外は初めて見る性別変換に思考が追いつかないようだ。
コンラッド様達も、何事だ?何が起きたんだ?と、狼狽しているほどだ。
あぁ、また……と、顔を青くするサンちゃんとランちゃん。
ポカンと一瞬呆気に取られていたが、今は笑うのを肩を震わせながら我慢しているノアちゃん。ふぉっふぉっと、面白そうに顎を撫でながら様子を見ているゼン。
誰もこの場を収集するつもりは無いようだ。
仕方ないなぁ……
まずは1番慌てふためいているクリスから。
何故性別が変わってしまったのかの説明をしていく。
「へ、変身ポーション……?」
「8時間程で元に戻るから安心して」
「ほ、本当に戻るんだろうな?」
「うん、実験済みだよ!」
「……は?他にも誰か飲んだのか?」
「昨日、ジオとランちゃんとサンちゃんが試してたよ」
そう言って笑うリオをポカンと見つめた後、リオの説明を飲み込み少し落ち着いたようだ。
デビッド達も話が聞こえていたようで、何だ、ちゃんと戻れるのか……とホッとした顔をしている。
そんな人達の反応とは全く違う反応を見せる人もいた。
それは商業ギルドのギルドマスター達だ。
一時的に性別を変えられるポーションとは素晴らしい!と興奮気味だ。
どうやらリオ達から購入して販売しようと目論んでいるようだ。
目がギラギラしている。
酔って気の大きくなっているジオから篭絡しようと商談をもちかけに行った……
そんなてんやわんやな状況に、コンラッド様とジョヴァニー様は頭を抱えていた。
みんな少しは落ち着いたかな……?元に戻れることは伝えたし、後はなるようになるでしょ!
変身ポーションを飲まされ姿が変わってしまった人達に説明を終えたリオはぼんやりそんな事を考えながら、バタバタしているみんなの様子を眺めるのだった。
商魂たくましい商業ギルドのギルドマスター達に追いかけられていたジオや頭を抱えていたコンラッド様達が落ち着いてくると、ノアちゃんが「そろそろビンゴ大会しよーよ!」とみんなに声を掛けた。
その声に、呆れた様子で状況を眺めていた奴隷達や子供達は目を輝かせている。
ビンゴ大会をするという話は聞いていたが、ビンゴ大会がどのような遊びかは分からない。それをやっと体験できるのだ。
かなり楽しみにしていたようで、みんな早くしようと準備を率先して手伝おうと動き出した。
ビンゴ大会は数字を引いていく間、少し時間がかかるので、ビンゴ大会をしながら先日準備していたフルーツ大福も食べることになった。
白くて丸い大福の上に色とりどりのフルーツが乗った大福。
みんな、リオとは違って食べれる胃袋の容量には限りがあるので、どのフルーツが乗っているものにしようか真剣に悩みながら受け取って行っている。
その迷い、悩む様子がとても可愛らしい。
こっちも美味しそう、あっちも美味しそうと、どれも美味しそうでなかなか決められないようだ。
ふふ、可愛い……
ズラっと並べられた席に飲み物と大福とビンゴカードを受け取った人から座っていく。
大人達がバラけて子供達の様子を見てくれているようだ。
子供達も文字の勉強もしているのである程度は大丈夫だろう。
みんなが率先して準備してくれるのでやることの無いリオはその様子をぼんやり眺めていた。
すると、「リオー!」と言う声と共に肩にずしりと重さがかかる。
声の主はジオだった。
かなり酔っており、呂律が若干怪しい。
あいつら何とかしてくれ!と、フラフラしながら指さした先にいたのは商業ギルドのマスター達だ。
落ち着いたかと思っていたが、まだ追いかけられていたようだ。
走る元気がなくなりよたよた歩いていたので落ち着いたかと思っていたが、落ち着いては無かったようだ。
「俺は作れないって言ってんのに、しつこいんよ!」
「リオ、変身ポーションはどのくらいの量作れるんだい?」
「定期的に卸して頂くことは出来ますか?」
「あんなポーションは初めて見ました!素晴らしいです!これはかなり需要が見込めますぞ!」
「……はぁ……」
「そんな気のない返事をなさらずに!」
「そうですぞ」
「あんたは本当に多才だねぇ!しかもそのほとんどが珍しいものばかりだ!」
口々にああだこうだと言ってくる。
「……こちらへどうぞ」
まともに対応するのが面倒くさくなったリオは、セノーデルさん達3人に、大福と飲み物とビンゴカードを持たせ、コンラッド様達領主の側へ連れていくと、「連れてきたんならちゃんと責任もって面倒見てください」と、コンラッド様達に押し付けるのだった。
「「……」」
商業ギルドのギルドマスターの扱いに、それはどうなのだ……?と思いつつも、先程まで追いかけ回されていたジオを見ていたので、何も言い返す言葉が見つからない領主様達なのだった。
デビッド:こ、これが女の身体……
す、すげぇ、柔けぇ……
この手に吸い付くような弾力、細い腰、プルっとした尻……
ハッ!ちょ、俺にも鏡見せてくれ!!!顔はどうなってんだ??
な?!か、か、可愛い……すんげぇタイプだ………………俺、可愛すぎだろ……
ん、待てよ、今まで会った女の中で1番タイプの顔が自分が女になった顔って……
あぁ……なんてこった……
いつも読んでくださりありがとうございます!




