324、パメラ達のお迎え
パメラの家の近くまで行くと、パメラが家の前にいるのが見えた。声をかけようと思ったが、少し固い表情で誰かと話しているようだ。
話している相手は後ろ姿しか見えないが、冒険者のような戦闘職らしき服装をした男が2人のようだ。1人はガタイのいいスキンヘッドの男と、もう1人は隣の男よりは細身の濃い青色の髪の男だ。
パメラの表情が固いので、リオは早足で近づいていき、パメラに話しかけた。
「パメラ!」
「え?……リオ……?」
声をかけるとパメラは幽霊でも見たかのような顔をしている。
「何してるの?」
リオは男達を無視してパメラの所まで歩いて行くと尋ねた。
「あ、あの……」
尋ねると、ハッとしながら、パメラはこちらを見ていい淀みながら、男達をチラリと見た。
「おうおう、姉ちゃん、そのガキとは俺らが話してるんだが?」
「そうだぜ、邪魔しないでもらおうか!」
「この子と何の話?」
男達の口振りからあまりいい関係では無いと判断したリオは、さりげなくパメラを自分の後ろに隠しながら、男達の方を振り向いた。
「ヒュー!いい女だな」
「これはなかなか上物だぜ」
男達はリオの身体を上から下まで舐めるような視線を向けた後、そんなガキほっといて俺らと遊ばないか?と誘ってきた。
これは絶対パメラも絡まれてたんだろうなと判断したリオは、男達の言葉を一蹴した。
「嫌に決まってるじゃん!」
「な?!てめぇ!」
逆上している男達とは話ができなさそうだと判断したリオは、パメラにどうしたのかと後ろに隠した状態のまま尋ねた。
「あ、あの人達がお金を出せって……」
「は?何で?」
「わ、わかんない……」
「そのガキはな、すげぇ大金を盗んだんだよ」
「……どこから?」
「はん、そんなもん俺らが知るわきゃねぇだろ!」
「……じゃぁ何で大金を盗んだなんて思ったの?」
「その家の滞納してた家賃が全部支払われてんだよ」
「へぇ、それで?」
「は?ガキが働ける訳ねぇんだから、金は盗まねぇと湧いて出るわきゃねぇだろ!」
「ふーん、で?」
「金が余ってんなら俺らが有効利用してやろうと思ったわけよ!」
「そうそう、優しいだろ?」
「は?子供にお金をたかるとか、馬鹿なの?」
「んだと?!」
「子供からお金巻き上げてる暇があるなら働きなよ!子供は働けないけどおっさん達は大人なんだから働けるだろ?」
「うっせぇ!」
とスキンヘッドの男が逆上して殴りかかってきた。きっと返す言葉がなかったのだろう。
避けたらリオの後ろにパメラがいるので当たってしまっては大変だ。
なのでパシッと拳を受け止めた。
「な?!」
受け止められるとは思っていなかったのだろう、男は驚愕している。
驚愕したのも一瞬の事で、リオが受け止めた拳にギリギリと力を込めて行くので男はリオの手から抜けない事に焦り、痛みに顔を顰めながらもがいている。
反対の手でリオの手首を持ち、拳をリオの手の中から引っ張りだそうとしているがリオの手はピクリとも動かない。
その間もギリギリと徐々に捕まった拳が圧迫されていき、痛みに呻き声もあげ青い顔をしている。
「お、おい、何やってんだ?」
もう1人の男が叫ぶが、こちらの男は痛みに呻くばかりで返事をする余裕は無いようだ。
すると、声をかけた男が、状況を察したようで、スラリと剣を抜くと斬りかかってきた。
リオは斬りかかって来た男に、捕まえていた男をドンッと押してぶつけると、2人は「うぐっ」「ぐわぁ」と声を漏らしながらぶつかり、転けた。
これで諦めるかな?と思ったが逆上した男達はしつこかった。
よろよろと起き上がった男達は2人とも武器を構え襲いかかってた。
先に斬りかかってきたのはスキンヘッドの男だ。
大きな大剣を上から振り下ろす。
さすがに素手だと怪我をするかもしれないと思ったリオは、いつもの武器を具現化する。
「なに?!」
急にリオの手元に槍が現れて、スキンヘッドの男は驚くが、振り下ろした武器はもう止まらない。
そのままガキンッと金属がぶつかり合った音が響いた。
そのまま、キンッキンッと切り結んでいる時だった。
「きゃぁぁぁ」と後ろから叫ぶ声が響いた。
パッと振り返ると、リオがスキンヘッドの相手をしている間に青い髪の男がパメラを人質に取ったようだ。
パメラの首元に剣を添え、下卑た笑いを浮かべている。
「パメラ!」
「リオー……」
パメラは目に涙を浮かべ、ガタガタと震えている。
「くくっ、ガハハ、このガキが大事なら大人しくしろ」
青い髪の男は、パメラを抱えて高笑いをしている。
その様子を見てリオはキレた。
瞬きするよりも早く男に近づくとパメラを男の腕から救い出し、剣を持った手を蹴りあげた。
「は?!…………ッ……ぐあっ!」
驚きから一拍遅れて手の痛みに気づいたようだ。赤くなっている腕を押さえて痛みに悶えている。
「パメラ、大丈夫?」
「うん、リオー!」
パメラは、先日の強気なパメラからは想像できないほど、体をガタガタと震わせ涙を流しながらリオに抱きついた。相当怖かったのだろう。
リオはパメラをぎゅっと抱き締め、よしよしと頭や背中をしばらくさすっていたが、腕の痛みが治まってきた男が額に青スジをたてて、こちらを睨みつけてきたのを見て、パメラに少し避難していてと声を掛け立ち上がった。
「このアマァ!調子に乗ってんじゃねぇ!!」
それはこっちのセリフだっ、つーの!
「ぎゃぁぁ」
「ぐわぁぁ」
襲いかかってきた男達。だが、怒っているのはリオも同じだ。
怒っているリオにそこらのチンピラが勝てるはずもなく、武器は取り上げられ2人とも張り倒された。
「反省が足りないようだね」
「は……?ちょ……」
「ま、待て……」
リオの一切目が笑っていない、引きつった笑顔を見た男達はヒュっと息を吸いこみ、顔を真っ青にした。これはヤバイと心臓が早鐘をうつ。しかし、逃げようと思った時にはもう遅かった。
男達は四つん這いにされ、リオに尻を叩かれた後だった。
バチィイイインと音が響き、「ぎゃぁぁああああああああぁぁぁ」と男達の声が雷鳴のように響いた。
「反省するまで行くよ!」
その言葉通り、リオのおしりペンペンは何度も何度も繰り返され、男たちのおしりはどんどん、どんどん腫れていく。
男達がギャーギャーと叫んでいた声もガラガラになり、カラカラになり、顔も涙と鼻水とヨダレでグチョグチョになって行った。
その頃にはかなりの人だかりができており誰かが衛兵を呼んでくれていたようで、人垣が割れて衛兵が顔を出した。
「えっと……誰かが襲われたと聞いたのですが……コレは……」と、困惑した様子で話しかけてきた。
「あの子供が襲われたので、反省して貰ってました!後よろしくお願いします!」と、リオはいい笑顔で伝えた。
「え、あ、はい!お預かりします」
うわぁー……と若干顔を引き攣らせながら衛兵達は二人の男を見ると、両脇から抱えて立たせた。
「ずみまぜん、もうじまぜん……」とうわ言のようにつぶやく男2人。
お尻をパンパンに腫らした男達は顔を涙とヨダレと鼻水でぐちゃぐちゃにしたままヨタヨタしながら衛兵に連れていかれるのだった。
男達が衛兵に連れていかれるのを見送るとパメラの方へ近づいて行った。
「大丈夫?」
「うん、ありがと……」
「どういたしまして!お昼はもう食べた?」
と、怪我が無さそうなのを確認すると一瞬で切り替えた。まるで何も無かったかのように笑顔で話すリオに、さすがのパメラも困惑気味だ。
「へ?……いや、まだだけど……」
「それなら良かった!弟くん達もいる?」
「うん……」
と、話していると、姉ちゃん……?大丈夫……?と、扉が開きローハンとラリーが顔を出した。
「2人もいるなら良かった!よし、面倒事も片付いたし、パメラ行くよ!」
「へ?どこに?」
「うちでお花見してるから誘いに来たんだよ」
「おはなみ?」
「ローハンとラリーも行こ!」
「うん!」
元気よく返事をするラリー。
え?え?と困惑しているローハン。
え、待って、なに?どゆこと?と戸惑っているパメラ。
おっさんの相手をしていたせいで無駄に時間を取られてしまったと、無駄に消費した時間を取り返そうと、家の鍵を閉めると、3人を連れて早く早くと急かしながら、箱庭に帰るのだった。
パメラ:うわぁー……リオ強すぎなんだけど……
しかもあんな事があったのに切り替え早っや!
え?え?私が引きずりすぎなの?いや、そんな事ないでしょ?普通よ普通!リオがおかしいんだと思う……多分……そ、そうたよ……だって私まだ手が震えてるし……
でも、本当に凄かったな……
今までしてきた事のツケが回ってきたんだって、死ぬかもって……覚悟したけど……
あんなタイミングで助けに来てくれるなんて、ママが言ってた王子様みたいだった……ドキドキ……ハッ!いやいや、そんな訳ないでしょ!リオは女で王子様は男なんだし!
……でも、本当にカッコよかったな……ドキドキ……
いつも読んで下さりありがとうございます!




