31、緑のリスとの出会い
クレイには亜空間にいてもらうことにし、森に入っていく。
何気に昼間の森に来るのって、クラフト用の木を切りに来た時だけかも……。
朝でも少し薄暗い森を北西の方角に歩いていく。
こっちの方角って、狩りしに来たことないなぁ……。
あ、あれって……。
少し進むと、草を切り、踏み荒らしたような獣道があった。
これ、みんなが通った後かな??
葉が刃物で切られたように真っ直ぐ切れている。
この後通って行ったら迷わなさそうだね!
獣道を見つけた辺りから、どっちから来たか分かりやすくする目的と、クラフト用木材採取目的で、木を切りながら進むことにした。
地図一応貰ったけど、ずーーーっと森だからなぁ……。
元々 地図見るの苦手だし……。
日本みたいな目印が多い道でもたまに迷うからなぁ……。
右を見ても左を見ても薄暗い森なので、地図など役に立たなさそうだと判断したリオは、皆の通った後らしきけもの道の様な道を進んでいくことにした。
みんなどこら辺まで進んだかな?
ジオが出発したのが、ここに来て3日目だったっけ?その次の日にランちゃんサンちゃんノアちゃんが出発したでしょ?
今日はその2日後だから、みんなまだ森の中だよね?
あ、でも走って行ってたら早ければ森抜けてるかなー?
や、走っても4~5日かかるって言ってたっけ?
「クルクルクルッ」
「……?!」
考え事をしながら木を切りにしばらく進んでいると、小さな鳴き声が聞こえてきた。
パッと振り向くと、綺麗なミントグリーンのリスがいた。
「わぁ!可愛いー!さすが異世界、凄い色!」
声を出しても逃げる様子がない。
小首を傾けてこちらを見ている。
「何か食べるかな?」
手のひらに乗りそうな大きさのリスなのであまり大きなものは食べれないかな……と、さくらんぼをマジックリングから取り出し差し出してみる。
食べ物だと分かったのか、リスは枝の上から身を前にのり出す。
「どーぞ」
「クルクルっ」
パッと両手で受け取り、ちいさな鼻を近づけクンクンと匂いを嗅いでいる。
小さい口をめいいっぱい開けて、さくらんぼを咥えると、タタッとどこかに走り去ってしまった。
「あー、食べてるとこ見たかったのに……。残念ー」
キョロキョロと周りを見ても、他にはいなさそうだ。
はぁ、可愛かったなぁ。また会えるかな?と、走っていったリスを思い出しながらまた道を進んで行く。
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しばらく進んでいるとお腹が小さくぐーっと鳴った。もうお昼か……。上を見ても今歩いている所は木の葉が生い茂り、空がチラホラとしか見えない。気を切りながら進んでいるので、通ってきた場所は少し光がさしているが、それでもまだ薄暗い。太陽の位置は確認できないので、時計を見ると13時過ぎだった。
ちょっと休憩しよう。と、今し方切った切り株に腰を下ろし、果物を取り出す。
あー、果物の皮、剥いてからしまっといたら良かったなー。
ゼンに貰ったマジックリングの中は時間経過も止まっているので、剥いて入れていても乾燥することも無い。
それを今思い出し項垂れる。
あ、でも剥いたのを入れとくお皿が無いや……
あ!!もしかして、これクラフトで作れるんじゃ?
数枚貰ってきていた木のお皿の1つを、乗せた果物を避けて空け、スキャンで読み込みクラフトしてみると同じ形の木のお皿が出てきた。
「わー!やった!クラフト、ほんと便利!」
果物を食べながら、ポチポチと半透明のプレートを操作して木のお皿を大量に作っていく。
「クルクルっ」
ん?と聞き覚えのある声に振り向くと、先程さくらんぼをあげたリスが仲間のリスと一緒に地面に立っていた。……多分同じリスだと思う……色は同じだ!いや、他のリスも同じ色だけど……。
「友達連れてきたの?」
笑いかけながら、さくらんぼを取り出す。
順番に、はいっと渡して行くとみんな受け取り、また口に咥えて走っていった。
……目の前では食べてくれないのか……残念だなー。
リス達の走る後ろ姿を眺める。大きなしっぽが可愛いな……と見送り、リスが見えなくなった頃にはお皿もかなりの枚数を作り終わったので、休憩も終わりにし、また先に進み始める。
木を切るのにもだいぶ慣れ、スパッと切った後、木が倒れる前に収納できるようになった。
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またしばらく歩いていくと、ずっと平坦な道かと思っていたら、少し先が登坂になっているようだ。
わぁ……登りかぁ……。
あ、でもこの身体なら平気かな?
1日動き回っても身体は疲れたことないもんね!
登り坂は普通ならかなりしんどいはずだが、このホムンクルスの身体だと、登り坂もちょっと歩きにくいな、くらいの感覚でどんどん進んでいく。
しばらく進むと、岩が重なって出来た壁のようになっている場所から、水がちょろちょろと流れ出していた。
「これ湧き水かなぁー?わぁ、冷たぁーい!」
触れてみると冷たくて気持ちいい。
「飲めるかな?ちょっと飲んでみようかな?ん!美味しいー!」
少し手で掬って飲んでみるととても冷たくて美味しかった!
美味しい水を堪能すると、辺りを見回す。
今まで通ってきたけもの道が、少し前から見当たらないのだ。
困ったな……
……人が街を作るなら川下だよね?
今度はこの水が流れている川下に沿って歩いて行ってみることにした。
リスA:おい、変わった生き物がいたぜ!この美味いもんをくれたんだ!
リスB:何だそれ?いい匂いだな!
リスC:ちょっと分けてくれよ!
リスA:な、コレは俺のだ!さっきの変わった生き物の所に連れてってやるよ!
リスB:本当に変わった生き物だったな!
リスC:見たことの無い生き物だったが、その辺の魔獣みたいに凶暴じゃなくて、良い奴そうだ!
リスA:だよな!こんな美味いもん、皆にくれたしな!
リスABC:んー!うまぁー!!
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