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133/364

133、捕まっていた人

気持ち悪い表現を含みます。(グロテスク系)

苦手な方はご注意くださいm(_ _)m

曲がり角で会った2人を拘束したが、顔を見るとすぐにシャドーバインドを解いた。

拘束した相手は、敵ではなくルードとシュバルツだったのだ。


「リオ様!」

「酷いですよ!いきなり!」


「あはは、ごめんごめん、敵かと思って……」


「それにしても凄かったな……」

「そうですね……あのスピードで拘束されたら反応できませんね……」

「だな、気づいた時にはもう手足も動かねぇし、口も塞がれててて声も出なかったもんな……」

ルードとシュバルツは捕まった時を思い出し青い顔をしていた。


2人はどうやって音も立てずに次々と敵を無力化しているのかと不思議に思っていたようだが、自身で体感して理解したようだ。これは回避不可能だ……リオ様が敵じゃなくて良かった……と。


「そんなことより、地下に誰か捕まってるみたいなの。地下室の階段探すの手伝って」


「「はい」」

そんなことって……と2人は思ったが、誰か捕まっているなら対応するのが先かと、声には出さなかった。


地下室の階段を探すのにはとても苦労した。

普通に階段があるのかと思って探していたが何処を探しても無いのだ。

もしかして……と、ウインドゾーンを使用してみる。


~ウインドゾーン~

風の結界を張り、結界内にいるものや、敵の侵入を感知する。

風属性レベル20で覚える。


上下左右に半径20メートルほどのウインドゾーンを展開して、あちこち動き回ってみる。


「あった!」


「ここ……ですか?」


「うん。隠し扉になってるみたい」


そっと壁に触れ、押してみる。


ギギィィーッ…


「おお……開きましたね」


「うわ、変な臭い……」

中を覗くとなんとも表現し難い臭いがした。

スラムとも違う、奴隷商会とも違う、でもとても不快な臭いだった。


「ライト」


階段は真っ暗で足元も見えなかったので、明かりを灯して降りていく。


索敵を使ってみるが、階段の周りには人は居ないようだ。


「見張りの人とかいなさそうだね……」


「ええ」


「でも、奥の方には誰か居そうな気配がするな」


「うん。……シュバルツ鼻大丈夫?」


「大丈夫じゃねぇ……麻痺してもう何も匂わねぇわ……」


「……声も変だもんね……」


「鼻がイカれたせいかもな。狼や犬の獣人よりはマシだと思うけどな……」

シュバルツは黒豹の獣人だ。人族に比べて、目も耳も鼻もかなりいい。なので、こういう臭いがキツい場所ではかなりしんどそうだ。狼や犬の獣人よりはマシだと言っているが、この臭いでイカれるほどには元々の性能は良いのだろう。


「狼とか犬とかめちゃくちゃ鼻良さそうだもんね……」


「今日いなくて良かったですね……」



話しながら下まで降り、通路の方を覗くが見張りらしき人はいなさそうだ。

通路は左右に伸びており、通路沿いにズラっと牢屋が並んでいる。


「うわ…。」


「汚いですね…。」


牢屋の中は、かなり汚れている。黒い汁?や排泄物?何かの液体が飛び散った痕等が壁に広がっており、体を拘束する為の物のような鎖や枷が何処の牢屋にも散らかっていた。

まずは右の通路から3人で進んでいく。

奥に人の気配がしたからだ。

通路を進みながら、通路沿いに並ぶ牢屋の中を見るが、どこも同じように汚れ、鎖や枷が散らばっている。


奥に奥に進むと、1番奥の牢屋には人が2人入っていた。

首と両手首、両足首に枷が嵌められており、枷は天井と床から伸びる鎖に繋がっている。

2人とも服は着ておらず、大の字に立たされたままぐったりしていた。

身体中に打撲後のような青い痣があり、ミミズ腫れのような赤い線が浮き上がっている箇所も多く見られる。

左の男は顔面も殴られたのか、左の目の上が目が開かないほど腫れていた。

口には太い紐の様なものが噛ませてあり、口の端からヨダレがポタリポタリと垂れている。


「こんにちは?」

リオが話しかけると、男2人はビクリと体を跳ねさせ、こちらを向いた。


「喋れなさそうだね?」


「そうですね…。」


こちらを向いた男2人は、腕の枷に繋がった鎖をガチャガチャと鳴らし、んーんーと言葉にならない声を漏らしながら何かを伝えようとしている。


「口の外すか?」


「うん。そうしよ!」


「鍵かかってますね…。」

ガチャガチャと、ルードが鍵を見てくれるが、外れそうには無いようだ。

「鍵がないと無理そうですね…」


「んー…まぁ、ドアから入んないとダメってことも無いよね?」


「「へ?」」


牢屋の鍵が無いならしょうがないと、リオは牢屋の柵を掴む。


「よっ!」

ミシミシミシギシギシッギギギギーィッ


牢屋の柵はリオが左右に押した場所からくの字に折れ曲げられ、人が1人余裕で通れる位の隙間が開いた。


「リオ様やべぇ…。」

「はい…。」


「口の取るね?」

口枷を外し、話せる状態にすると、なんでこんな所にいるのかと聞く。


話を聞くと、最近ペルカの近くのダンジョンからペルカに戻ってきた冒険者だそう。

仲間と酒場で飲んだ帰りに襲われて、気絶させられ気がついたらこの状態で拘束されていたのだとか。

何日経ったか分からないが、3日以上は経っていると思うと言っていた。

ここの主人だという女が毎日やってきては鞭で打たれたり、棒で殴られたりしていたそうだ。


「俺らはまだ…マシな方かもしれねぇ…。」


「お、奥の方から、凄い悲鳴が毎日聞こえて来るんだよ。」


2人は思い出したのか、顔を青くしながらガクガクと震えている。


とりあえず、被害者のようなので拘束を外す。

「枷の鍵も無さそうですが…。」


「ちょっと待ってよ?」


槍を取り出し、まずは天井から伸びていた鎖を切り、床から伸びている鎖も切った。

一旦座ってもらい手の枷を近くて見せてもらう。

鎖が繋がってない方に2つ合わせて錠を付けるような形だった。


これなら引っ張って壊せないかな?


「よっ!」

枷を左手で押さえ、右手で錠の部分を引っ張る。

ミシミシバキッ


「……。」

リオの怪力具合に皆ポカンと口を開けてただただ眺めるしか無かった。


「あ、取れた取れた!んじゃ全部外していくね。」


錠の強度はどれも同じ位だったようで、最初に壊した錠と同じようにバキバキと壊れていった。


「「ありがとうございます。」」


「どういたしまして。ついでに怪我も治しとくね。パーフェクトヒール」


2人は淡い光に包まれていく。

淡い光が傷口に触れると強く発行し、光がどんどん傷口に吸い込まれていく。

強く光る場所が無くなると、淡く光っていた光も消えていった。

2人とも綺麗に打撲もミミズ腫れの後も治り、体調も良くなったようで、顔色も戻っていた。

リオはアイテムボックスの中を探すが、男物の服を持っていなかった。しょうがないかと、大きめのタオルがあったので、それを2枚取り出し2人に渡す。


「今これしかなくて…ごめんね。」


「いえ、ありがとうございます。」

「傷まで治してもらって、ありがとうございます。」


「リオ様、連れていくのですか?」


「ん?……んー。ここに置いとくのも…」


「傷も治してもらったし邪魔しません。」

「俺も。連れてってください。」


「うん。…わかった。シュバルツ、ルード、2人の護衛お願いね。」


「「はい。」」


あと、この奥…


「…そこの奥から悲鳴が…」


キイッ


1番奥はドアになっており、中は見えなかった。

ドアを押して開けてみる。


「「………。」」

全員絶句だった。


壁側は全て棚になっており、何かの液体に身体の一部が漬けられた瓶が壁一面に並んでいた。

身体のパーツは様々で、右の壁際には、目玉、鼻、歯、耳、指、性器、髪の毛、手や足が丸ごと入っている瓶もあった。

左を向くと、心臓?、肺?、肝臓?、腸?、脳?、内蔵と思われる物が入った瓶が並んでいた。

そして正面には、あちこちのパーツを失った人達が乱雑に積み上げられていた…


「はぁ…はぁ…うっ…。」

よろよろと奥に進む。


「リオ様!大丈夫ですか?」

フラフラ歩いていると両脇からルードとシュバルツが身体を支えてくれた。


「はぁ…だい…大丈夫…。まだ生きてる人……」


「確認します。」

ルードが、リオの体をシュバルツに預け、先に走って見に行く。


「リオ様!こっち!」


「生きてる?」


シュバルツに支えてもらいながら急いで駆け寄っていく。

呼吸は浅い、心音も止まりかけのようにかなり弱い。

手足は切り取られ無くなっており、体も傷だらけであちこちから血が流れている。


「オプティマールヒール」


それでも、生きてさえいれば、心臓が止まってしまった後でなければ、リオには治せる。

急いで、急ぎながらも集中して、震える手をその人に掲げ、回復魔術を発動させた。

今までで1番強い光を放っている。

傷が酷い時は強く光っていた。

今回は今までより光が強いと言うことはそれだけ傷も酷かったということだろう。

その場にいた他の4人は、気味の悪い体のパーツが並べられた猟奇的な室内で、その場所だけは神聖な空間に感じられるほど、その光景は神々しく感じられリオの姿に見惚れていた。


数分後、手も足も綺麗に再生され、ぐちゃぐちゃだった顔も体もすっかり治ったが目を覚まさない。

傷を綺麗に治すと、とても整った顔をした女の子だった。

まだほとんど膨らみのない胸、幼さを残す容姿は12歳~13歳くらいに見える。

その女の子もとりあえずタオルで包み、他に息のある人はいないか聞くが、他の人はみんな息を引き取った後のようだ。

乱雑に放り投げられたような死体は、かなりの人数だった。

目がえぐられている死体も…お腹がパックリと開かれ腸が垂れ下がっている死体も首がない死体も……どれもこれも無惨な状態だった。


「リオ様…これ以上見てはいけません。」

ルードが正面から抱きしめてくれた。

「ぅん……ぅ…ぅ…ぅう…」


以前、ゴブリンの巣で女の人を見つけた時より酷い惨状に、リオは胸がギュッと痛くて苦しくて、息も上手く出来ないほどショックを受けていた。

もう助けれる人がいないと分かると、少し張っていた気が抜けたのか、涙が止まらなくなってしまった。


この部屋にいるのは、リオ様に良くないと、リオを連れてルードは部屋の外へ出て行く。

シュバルツも目を覚まさない女の子を連れて、先程助けた男性2人も出てきた。

部屋から出て、リオの涙が止まるのをまつ。


ズズっ ブーーッ 「んはぁ。ごめん、もぉ大丈夫。」

涙をふいて、鼻水をかみ、落ち着いたと笑顔を見せる。

目も鼻も赤くなっている。


「リオ様…無理せず、今日は帰りますか?」


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