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132、ジオの恐怖

コンコン


「ジオ?入るよ?」


リオは声をかけるとドアをガチャっと開け、部屋に入っていく。


「……ん……」

ぐっすり眠っていたジオが目を覚ましたようだ。眉間に皺を寄せ薄目を開けた。


「おはよう」

上から覗き込むように声をかけると、


ビクッ「ひっ……」ジオは驚きと恐怖を滲ませた表情で飛び起き、枕の上まで後ずさった。


「……まだ怖い?」

驚いただけでは無い表情を目ざとく読み取ったリオは、眉尻を下げて笑いかけた。


「……あ……リオ?」


「うん……おはよ」


「……こ、怖いって何が?」


「……記憶を消してあげられたら良かったんだけど……」


「何で………ビビってるって……わかったんだ?」


「え?隠してたの?」


「え?そんなバレてた?」


「うん……強がんなくていいよ。ここにいる人はみんなそういうのバカにするような人いないし」


「……なんで……わかったんだ?」


「昨日めっちゃカラ元気って感じだったし」


「ッ……」

リオはよしよしと、ジオの頭を撫でる。


「無理しないでいいよ」


「……っ……ぅ……リオ、俺……」

ジオは、ポロポロと涙が溢れてきた。止めようと目を擦っているが止まらないようだ。


「うん?」


「……ふとした時に思い出すんだ……」


「うん」


「叩かれたり、蹴られたり……」


「うん」


「針……刺されたり……」


「うん」


「喉が枯れて声が出なくなると、ナイフ刺されたり……」


「うん」


「ゆ……指とか、切られて……」


「うん」


「……足も……」


「うん」


「痛くて……」


「ん」


「人が近くにいるのも本当は怖くて……」


「うん」


「でも……誰もいないのも、不安で怖くて……」


「うん」


「ずっと身体中痛かった……」


「うん」


「痛くて……痛くて……辞めてって言っても、辞めてくれなくて……熱出て……耳鳴りもして」


「うん」


「痛みから解放されるならもう死にたいって……思って」


「……」


「でもリオと……みんなと約束してたから……」


「ん」


「街で会うって……フエも……ごめっ……ぅ……ぅ……」


「ジオ……よく頑張ったね、頑張った、偉いよ」


「うぅ……っ……ぅ……」


「生きててくれてありがとう」


「ぅ……うぁぁぁぁっ……うっ……うぐっ……っ……」

リオはジオをギューッと抱きしめて、背中をさする。


「もう大丈夫だからね」


「うぅっ……ひっく……ズズッ……うぅ……」


ジオが泣き止むまで、抱きしめたまま背中をぽんぽんと撫でていた。



数分後

「ズズッ……ごめっ……ありがと……」

ジオは泣きすぎたせいか、少し喉がガラガラになっている。


「落ち着いた?」


「ん。……ちょっとスッキリした」

目は真っ赤で、鼻水も垂れているが、表情は最初より晴れやかになっていた。


「よかった」


「ん……ズズっ」


「……辛いこと聞いてもいい?」


「ん?」


「名前……分かる?」


ジオはリオの声を聞いた瞬間背筋がゾクリッとした。

「!……リ……?……わ、分かる。でも……」


「教えてくれる?」


「……辞めた方がいい」


「……名前……聞いただけだよ?」


リオは笑顔だ。だが貼り付けたような笑顔で、目は全くと言っていいほど笑っていない。


「リオ、どんだけ……殺気漏れてるか気づいてないのか?」


「あー……ごめん?」


「……無理だと思う」


「無理じゃないよ」


「俺のせいでリオに何かあったら……」


「大丈夫。お願い」


「……」


「ジオ?」


「怪我……しねー?」


「うん」


「怪我……しねーって約束して……」


「うん。指切りしよ」

そっと、小指に小指を絡ませる。

「……」


「ジオ。私嘘ついたことないでしょ?」


「……ジェネファー・ジェネシス」


「……ありがと」


「リオ!」


「ん?」


「……やっぱり……」

ジオは不安そうな悲しそうな表情でリオを見つめる。


「ジオ!大好きだよ!」

ぽんぽんと頭を撫でる。いつものリオだ。


「……」

ジオは悲しい気持ちと不安な気持ちとリオの優しさが嬉しいのと思い出す度、恐怖と怒りが込み上げてくるのとで色々な感情がごちゃ混ぜになりまた泣き出しそうな顔をしていた。


「とりあえず、ご飯食べに行こっか!」


リオに頭をくしゃくしゃと撫でられ、手を引かれ立ち上がる。


「……ん」


「フエも行こ!」


「クァーン」


ジオの真っ赤になった目をヒールで治して、食堂に行く。


「「おはよう」」


「「リオ、ジオ、おはよう!」」


みんなと挨拶を交わしながら、空いている席の方へ行く。


「……リオ?」


「ん?」


「何かあったのか?」

アランが話しかけてきた。


「え?……何もないよ?」


「……言えねーような事?」


「?!……ふふ、アランは敏感だなぁ。大丈夫だよ」

ムニっと両手でアランの頬を挟む。


普通にしているつもりだった。いつも通りに……。さっきジオに殺気漏れてると言われたのもちゃんと落ち着けた。なのに……

アランはみんなをよく見ている。とても優しい子だ。少しのことでも今みたいにすぐに気がついてしまう。アランのこの敏感さが、いつもみんなを助けてくれてるんだな。と、とても納得できてしまった。

気をつけて見とかないとな……アランがあれこれ抱え込みすぎてしまわないように。


「俺もなんかできる?」

ほっぺをムニっと挟まれたのは嫌だったようで、すぐに手首を捕まれ、頬から手を離されてしまった。


「いつも通りでいて」


「……割と難しいこと言うな」と、アランは苦笑いだ。


「だよね?」

と、リオは苦笑いを返した。


「……マジで大丈夫なんだな?」


「うん。余裕!」


「わかった……」




朝食を食べたあと、出かけようとしていると、ルードとシュバルツに呼び止められた。


「「リオ様!」」


「どうかしたの?」


「アランに聞きました」


「……何を?」


「リオ様の様子がおかしいと……」


「リオ様の弟って言ってた、ジオって人が関係してるのか?」


「……なんのこと?」


「リオ様!俺らじゃ……頼んねーかもしれねーけど……」


「リオ様の為に使うと決めた命ですので」


「うわ、重っ……」


「茶化さねーでマジで聞けよ!」

シュバルツが声を荒らげた。


「……」


「お願いです。手伝わせてください」


「力になりてぇんだよ」


「リオ様には貰ってばかりなので、少しでもお役に立てることがあれば何でもしたいんです」


「リオ様が強ぇのは知ってるけど、俺らでも出来ることもちょっとくらいあるだろ?」


「ルード、シュバルツ、ありがと」


2人に今からしようとしていた事を話すと、とんでもないと呆れられた。


「そんなこと……1人でしようとしていたのですか?!」


「本当に無茶苦茶だな、もっと頼ってくれよ……頼むから……」


「……ありがと」


まずは衛兵に人物像を聞きに行く。

詰所に行き、こういう場合どうしたらいいのか聞くと、とりあえず、貴族なので、領主様に一旦確認する方がいいだろうとの事だったので領主邸に行くことにした。

領主邸に行くと、アポなしだったのだが、少し待っていて欲しいと護衛の人に言われ、少し待っていると、時間を作ってくれたようだ。


今からしようと思っていることを話す。

領主様は、やはり……とため息混じりに言っていた。

奴隷を次から次から買っていたが、買った奴隷はしばらくすると何処かに消えてしまっていたそう。

スラムからも街の中からも人をさらって来ているという(うわさ)もあったとか。

他にも悪い噂が絶えなかったようだ。

しかし決定的なことも無く、しっぽが掴めないと強制捜査もできないまま、放置されていたそうだ。


最近ではスラムの裏組織のブラックスコーピオンとも関係がありそうだという事で、戦力的な面でもなかなか手が出せず、行動しあぐねていたそう。


今なら証人(ジオ)もいる。

領主様は協力してくれるそうだ。


「全て潰してくれて構わない。出来れば殺さず捕まえて貰える方がいいが、全員殺してしまっても構わない」と、コンラッド様は真面目な顔で言った。


「そんなこと言っちゃって良いんですか?」と、コンラッド様の言葉にリオは驚きだ。


「うむ、問題ない。リオ、後片付けは私が引き受けよう」


「ありがとうございます」


「任せてしまって悪いね……」


「いえ、こちらからお願いしたことですので」


「危なそうなら途中で引き上げてくれて構わないからな」


「はい」


「頼んだよ」


「はい」


コンラッド様の屋敷を後にすると、そのままジェネファー・ジェネシスの屋敷に向かった。

屋敷に着くと、屋敷を囲う兵の外から索敵を使った。屋敷の中はかなりの人数が護衛の為ウロウロしているようだ。

護衛が何処にいるのかの確認が終わるとソロりと塀伝いに身を隠しながら門番を見る。


「シャドーバインド」


門番をしていた男2人を目視で確認すると魔術を発動し、口と手足をシャドーバインドで拘束する。


一瞬の出来事に門番の男2人は驚きに目を見開き、叫ぼうとするが口もシャドーバインドで塞がれていて、んーんー!と唸り声しか出せないようだ。

手足もばたつかせ、帯刀していた剣に手を伸ばそうとしているが、シャドーバインドの拘束から逃れられず、もがくだけになっている。

リオは、タタタッと素早く足音を立てないように近ずき、首筋に手刀を落とした。

「ぐ…」

「が…」

ドサドサッ


「ふぅ……」

上手く気絶させることが出来たようだ。

リオが気絶させた人は、ルードとシュバルツが、起きても動けないように服を脱がせ隠し武器まで回収して縄で縛っていく。


門番を無力化すると、今度は 門は開けずに、2メートル程の塀をフワッと飛び越えて、庭の木の影に着地する。


庭は一面に芝のような草が敷き詰められており、塀の傍には塀より1メートルほど背の高い木が等間隔(とうかんかく)に植えられていた。その木と木の間には高さが1メートルもないくらいの、背の低い葉の生い茂った木が生垣のように植えられていた。


リオは塀の傍に植えられている木の影に隠れると、索敵で周りにいる人達を確認する。

屋敷の表を見回りしているのは5人だけのようだ。

生垣の茂みを左に素早く移動して、茂み近くに見回りで来た警護の人、2人に狙いを定めた。

狙いを定めシャドーバインドを発動する。素早く口と手足を拘束して、茂みに引きずり込んだ。

咄嗟のことに反応出来ずなすがままの男2人は、抵抗することも無く首筋に手刀を落とされ気絶した。


ふぅと呼吸を整えると、 今度は右に素早く、静かに移動して行く。警護の人が2人見えてきた。息を潜めて、そっと木の影から覗き見る。まだ気づかれていないようだ。少し遠いが、届くだろうと判断したリオは、先程と同じようにシャドーバインドで口と手足を拘束して茂みに引きずり込んだ。成功だ。

こちらの2人にも手刀を落として気絶させたところで、残りのもう1人の男が、キョロキョロしながら早足に歩いている。

どうやら、見回りの警護の男達がいなくなったことに気づいたようだ。帯剣している剣に手をかけ、他の警護の人の名前を呼びながら歩いている。何処に行ったんだ?と軽い感じではなく、何かがおかしいと感ずいているようで、かなり警戒しているようだ。

ふぅぅぅ…………深呼吸をして、集中すると、シャドーバインドを発動。大声をあげられる前に拘束した。


「もがもが!?」

シャドーバインドで拘束すると叫ぼうとしていたが、影の端を口の中にパンパンに詰め込み声が漏れないようにした。

バタバタと動かない手足をなんとか動かそうと身を捩っているがもう遅い。トンっと手刀を落とし気絶させた。


表を見張っていた警護の男は以上だ。


門に近づき中から鍵を開け、ルードとシュバルツを中に入れる。

2人に気絶させた警護の男の人数と転がしている場所を伝えると、あとは任せてリオは屋敷の裏庭に回る。

物音を立てないように静かに移動すると、 屋敷の壁に背を預けながら、裏庭を覗いた。

索敵で、裏庭の様子を探るが、裏庭の方には護衛は3人しかいないようだ。


表の庭とは違い、裏庭には一面に芝のような草が植えられているだけで木は植えられておらず、隠れるところがなかった。

仕方ないので魔術で身を隠すことにした。


「ミラージュフェイク」


ミラージュフェイクを使い、リオは自身の姿を見えなくすると、男たちの方に駆け出した。

タタタッ


トスッ

「うっ……」

ドサッ


1番近くに居た男に手刀を落とす。

リオの事が見えない警護の男は抵抗もなくその場に倒れた。


「なんだ?」

倒れた男からは少し離れていた男が気づいたようだ。

急に倒れた男にどうしたんだ?と声をかけながら近づいてくる。


タタタッ


トスッ

「グッ……」

ドサッ


2人目。リオの事は全く見えていないこの男も、抵抗もすることなく手刀一発で簡単に気絶した。


「な?!侵入者か?……どこだ!?」


だが、最後の一人は馬鹿ではなかったようで、さすがに気づいたようだ。

共に警護していた男が急に2人も倒れれば気づかない方がおかしいが。


リオは、タタタッと音もなく男の方に駆け出した。


「クソっ!クソっ!出てこい!」

男は警戒しながらも、ブンブンと剣を振り回すが、リオの姿も捉えられず、闇雲に振る剣などリオには当たらない。


トスッ

「ぐぁっ……」

ドサッ


誰かが侵入したのには気づいていたようだが、リオの気配に気づかないまま、手刀を落とされ気絶した。


「ふぅ……」

大声は上げられなかった事に、安堵の息を吐き、気絶させた男達は隠す場所が無いのでそのまま放置して建物の中に入る事にした。


3人目を倒した辺り、建物のちょうど真ん中に裏口らしき扉があった。表にあった観音開きの扉ではなく、片開きの扉だった。そっと、裏口のドアノブを回すと、鍵はかかっていないようだ。少しドアを開け、中の様子を確認するがかなり広く長い廊下があるだけで誰もおらず、容易に中へ入ることが出来た。


索敵で1階の部屋の中の様子を伺う。廊下沿いに、等間隔で扉があるので、全て部屋だろう。

そっと中を索敵し誰もいない部屋に入った。

部屋にも鍵はかかっておらずすんなり入る事が出来た。


ここは、客室のようだ。部屋の中央に大きなテーブルと、それを挟むように2人がけくらいの大きさのソファーが置いてある。高そうな壺や壁には何かよく分からない絵が飾られている。めぼしいものは無さそうなので移動する。


そっと廊下を覗き、誰も居ないのを確認すると隣の部屋へ。外から索敵をかけ、こちらも人はいなさそうなのでドアノブを回した。

中に入ると……ここはなんの部屋だろう?

ベッドもテーブルもソファーも置いてあり、泊まることもできそうな部屋だった。

だが、お客様用なのか生活感は全くなく、誰かの私物のような物も見当たらない。こちらにもめぼしいものは無さそうだ。


この調子で、隣に、隣に隣にと、中を確認しながら進んでいくが、2部屋目と同じような部屋ばかりが続いており、人もいないし、物もない。高級な宿屋のようだ。


端まで行くと、廊下を曲がり表に面した廊下方向に、部屋をかくにんしながら向かう。

表から曲がってすぐの部屋を確認していると、外を通る足音や、話し声が時たま聞こえてきた。


裏の部屋はお客さん用かな?


この部屋には、本棚が置いてあったり、部屋の奥にテーブルと椅子が置かれていたり、そのテーブルには紙が置かれていたりと使われている感がある。

なんの部屋かは分からないが、執務室の様な作りの部屋だった。だが、今は人は居ない。


たまにしか使われていないのか?たまたま今いなかったのか?

なんの資料?が置いてあるのだろうか?と手に取った時だ。

ガチャッとドアが開いて、人が入ってきた。

リオが来た時はたまたま出ていた時だったようだ。


部屋の奥の机に身を隠し、誰が入ってきたのか確認すると、ピシッとした服を着た執事の様な壮年の男だった。


ごめんね!と心の中で謝ると、呼吸を整え、グッと力いっぱい踏み込んだ。

目にも止まらぬスピードで壮年の男の後ろに回り込むと、手刀を落とした。


男は驚く暇もなく、地面に倒れた。


「はぁ……」

リオも、このような見るからに非戦闘員という人を気絶させるのは気が引けるようだ。

ごめんね……とため息を吐きながらポツリと漏らしている。


執事の様な男を奥の椅子に座らせ、手を後ろで縛り、足を椅子に括り付けると、廊下の様子を伺った。


ドアを開けようとドアに手をかけると、ドアノブが動いた。

パッと手を離し、ドアが開く方へ移動する。


誰かが入ってきたようだ。


開いたドアに隠れながら、入ってきた人を確認する。

メイドのような服を着た女性だった。椅子に座らせ拘束した男はやはり執事だったようで、女性は何かを聞きに来たようで執事さんと呼んでいた。

だが、その質問は執事は気絶しているし、最後までいい切る前にリオがメイドを気絶させたので聞くことは出来なかった。

ドアが閉まる前に気絶させたので、物音がしては大変と、気絶し倒れそうになるメイドを腹部分を片手で支え、そっとドアを閉めた。


執事の部屋なら色々な人が尋ねてきそうだからちょうどいいや!


今気絶させたメイドは入口から見えない場所に寝かせ、この部屋で待ち伏せすることにした。

さらに、場所もちょうどいい。角を曲がってすぐの部屋だ。廊下を曲がって来た人が消えても誰も気づかないだろう。


部屋の中から、廊下を進む人が近づいて来るのを待ち……近づいて来た所をシャドーバインドで口も手足も拘束し、部屋に引き込む。

部屋に引き込むと気絶させ、転がしておく。

あとから、ルードとシュバルツが来て拘束してくれるだろう。


かなり沢山捕まえ、行ったり来たりする人の足音がしなくなったので移動する。表の部屋は何かしていたら目立つかな?


近くの部屋を索敵して中を確認すると、外から中の人をシャドーバインドで拘束する。

そして、中に入り気絶させた。

シャドーバインドは影を操る魔術なので、ドアが開いていなくても滑り込ませることが出来るということに途中で気づいたのだ。


同じ要領で、部屋を隣に、隣にと移動しながら屋敷内にいる人を無力化していく。

1人…2人…3人…4人…

8人…9人…

不意打ちな事もあり、まだリオが手こずるような手合いはいない。


15人目。

ドサッ


1階の部屋は全部見たはずだ。1階にいた人は全員無力化し、2階に上がろうと、階段に足をかけた時、上から男が2人階段を降りようと奥から歩いてきた。


何か話しているようだが、離れているせいで言葉までは聞き取れない。


リオは階段から1番近い部屋に入り、タイミングを狙う。


「今日は何人だ?」

「今日は5人捕まえてきてあります」

「そうか……日に日に希望する人数が増えているな」

「そのようですね」

「まだいけそうか?」

「先日の1件でスラムから連れてくるのがかなり難しくなっていますね」

「クソっ、スラムの連中の怪我を全部治すとか……」

「街中探したようですが……見つからず……」

「まだ捜索中か?」

「もう、ひと月も経ちますので……街には居ないかもしれません……」

「チッ 忌々しい……」

「ダンジョンから怪我をして戻ってきた者を中心にさらってきてはいますが……」

「それだと人数を揃えるのは難しそうだな……」

「はい……」



「シャドーバインド」


「な?!もごもが……」

「?!……もご……」

ドサッ ドサッ


もう少し聞いていたかったが、ドアの前まで来てしまったので話していた2人を気絶させた。


話の内容から察するに、領主様が言っていたようにかなりの人をさらっているようだ。

その人たちを売っているのか……ジオみたいにされているのか……



上より先に地下を見に行こうと、地下室の階段を探す。


地下室の階段を探しながら走っていると、右に曲がった先から人が来る気配がした。

角を曲がりざまにシャドーバインドで拘束する。


「ん?!もがもが……」

「?!んーもがもが……」


「あれ?」


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