13、果物の木は毎日実がなるようです
翌朝は、目が覚めたのは空が白み始めた頃だった。
疲れていたのか前日よりよく眠っていたみたいだ。
ベッドから体を起こして伸びをすると、辺りを見回してみる。
今日も横を見てもクレイがいなかった為だ。
周りを見回しても今日はゲートも見当たらない。
「どこに行ったんだろ?」
部屋を出てリビングへ行ってみるがそこにもいない。
誰もまだ起きてきていないようで、リビングはガランとしておりまだ薄暗い。
コップを借りて水を魔術で出し飲んだあと、部屋に戻りゲートを開いてみる。
部屋にもリビングにもいないなら、クレイはきっと亜空間の中だろう……
「んー……ゲート」
魔力を練り、イメージを固め、ゲートを繋げる。
中に入って周りを見ていると、果樹の所で何かが動いた。
近づいて行くとクレイだった。
「クレイ、おはよう!」
「あ、リオ、おはようございます。よく眠れましたか?」
「うん。クレイはちゃんと休んでるの?昨日も今日も起きたらいなかったから睡眠時間短いんじゃないの?ずっと果物も取ってくれてるけど……疲れてない?」
「はい。休んでいますよ。ご心配ありがとうございます」
「それならいいけど……無理したりしないでね」
「はい」
それから日が昇るまで、2人で果物を取っていく。
箱庭の果物は毎日朝起きると取る前の状態にまで実が増えている。
クレイに不思議だと言うと、夜中に花が咲き実ができ熟していると教えてくれた。
空が白み始める前には、今の熟れた美味しそうな実が完成するのだそう。
異世界に来ても、日本の果物が食べ放題とか最高だ!しかも同じ季節には取れない果物が、同時に食べられるのも嬉しい!
果物狩りも3日目ともなれば、慣れたもので、サクサク作業のように進めていく。
時たまふわっと柔らかい風が吹くのを感じて、亜空間の中なのに風も吹くんだ……と頬を撫でる風に目を細める。
日が登り始めた頃、果物も狩り終わり身体を伸ばす。
「リオ、お疲れ様でした」
「クレイもお疲れ様ー。ありがとう」
話しながらクレイをじーっと見ていると、目が泳ぎ、照れたようにどうしたのかと聞かれた。
「クレイの髪の色って、まっ黒かと思ってたけど日に透けると紫っぽくみえるんなんだなぁと思って……」
「え?そうですか?紫?」
「うん、光に透けるとすごく綺麗……」
サラッと光に透けたクレイの毛に指を通す。
サラサラと撫でていると、気持ちよさそうに目を細めている。
手を離そうとすると、まだ撫でて欲しかったのか手の甲の上から手を絡ませるように頬に寄せる。
「リオ……もっと……」
ルビー色の瞳に見つめられドキドキしてしまう。
天然でこの綺麗な顔立ちかぁ……ヴァンパイア種はみんな美形ばっかりなのかな?
地球の映画とかもヴァンパイアは美男美女ばっかりだったけど……
クレイは見た目もいい上に性格までいいとか最高だね……
「そういえば、クレイ、ずっと敬語使ってくれてるけど、もっとフランクでいいよ?」
「え?……えっと……最初から覚えていた言葉遣いがこのようなもので、その……他の話し方は……」
難しくて。と、シュンっとしてしまったクレイの頭をワシワシ撫で、ごめんごめん、気にしないで。と、リオは困った顔で笑う。
「話しにくくないならいいんだよ」
急にワシワシと頭を撫でたせいで、わぁ!?とびっくりした声を出しながら頭を押さえている。その顔には笑顔が戻っていた。
元々知ってる知識も多いなとは思っていたけど、産まれた時から話し方も……言葉遣いまできちんとしたものを覚えてるなんて。
さすが魔法がある世界だな……よくわかんない不思議なことが多い……
「そろそろ皆さん起きている頃ではないでしょうか?」
ワシワシと撫でたせいで毛先がピョンピョンとはねた髪を手ぐしで梳かしながら、クレイはそろそろ戻りましょうとゲートを開いてくれた。
クレイ:はぁ……リオが急に見つめてくるからドキドキしました。
私の瞳も髪も綺麗だと言ってくれますが、リオの瞳や髪の方がもっと綺麗なのに……。
リオのあの青い瞳に見つめられると、瞳の中に吸い込まれそうです……。
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