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異世界で役立つ化学物質の作り方  作者: リトマ寿司
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第二話 炭酸ナトリウムの作り方

炭酸ナトリウムの作り方


①いわゆるソルベー法

高濃度30%以上のアンモニア水に食塩(塩化ナトリウム)を入れ飽和状態にする。

そこに二酸化炭素を吹き入れる。すると容器の底に炭酸水素ナトリウムが析出するのでろ過して加熱すると炭酸ナトリウムになる。水の中には反応しなかった塩化ナトリウムと塩化アンモニウムが残っている。

二酸化炭素は炭酸カルシウムを加熱して発生させる。二酸化炭素を発生させた後の炭酸カルシウムは酸化カルシウムになっているので水をかけて(発熱する)水酸化カルシウムとする。

塩化アンモニウムの水溶液に水酸化カルシウムを入れると、塩化カルシウムとアンモニアが発生するので蒸留すればアンモニアを集める事ができるので再び反応に回せる。

これは現代でも同じやり方だけどアンモニアさえ用意できれば異世界でもできるはず。アンモニアは別項目で書く予定。個人的にはあまりお勧めしない。面倒だから。だが量産するにはこの方法が一番だ。


②海藻を焼き灰を得る。ただし大量に必要。昆布の灰だと、灰に水を入れて溶けた物質の内、おおよそ炭酸カリウム5に対し炭酸ナトリウム3ぐらいの割合である。したがって溶解度の違いで析出させる。


まず木炭を用意する。日本国内産のコナラなどの木炭にはナトリウム分はほぼ入っていない。なので大半が炭酸カルシウムで残りの多くが炭酸カリウムだ。なので木炭はできればマングローブの密林で切ってきた木を木炭に加工してナトリウム分を上げる。マングローブとは汽水域(半海水)のジャングルの事で木の種類の事ではなく総称だ。マングローブに多く生息する木のほとんどにナトリウム分が含まれている。灰の成分のうち、多ければ30%という。中にはまったく含まない木もある。現代の日本のホームセンターで売ってるBBQ用の木炭もマレーシア産マングローブ炭が多いので多少は含まれているはず。ただ当たりハズレはあると思う。で、とにかくマングローブの木で木炭を作る。もしくはそのまま薪として焚火をしてもいい。

次に海岸で海藻を拾ってくる。昆布・ワカメ・ホンダワラ・テングサなど。ただ、アマモなどの海草にはあまりナトリウムが無い。味噌汁に入れて食えそうな物を選ぶ。拾ってきた海藻を水でよく洗い天日で干し乾燥する。海水が多く残っていると後で困る。海藻は干すと10分の1ぐらいの重さになる。そして焼いて灰にするとその2%ぐらいの分量しかない。更に灰の20%から30%が炭酸ナトリウムなので10㎏の昆布が乾燥して1㎏になり焼いて20gになりその20gを水に溶かすと半分ぐらいが炭酸カルシウムなので溶けずに底に沈み、上澄み液を濾過して煮詰めると溶解度の違いから最初に塩化ナトリウム、次に炭酸ナトリウムが出てくる。何段階かに分けて析出させ、炎色反応でカリウム(紫)とナトリウム(黄色)を確認する。うまくいけば10㎏の生昆布・もしくは1㎏の乾燥海藻から6gほどの炭酸ナトリウムが取れる。たった6gかよ!だから薪をマングローブにしたいのだ。それと海藻を使う場合はよく洗わないと塩分が多く塩化ナトリウムとの分離がうっとうしい。炭酸ナトリウムと塩化ナトリウムの分離は冷却析出が便利。塩化ナトリウム(食塩)は温度変化で水への溶解度がほとんど変わらないので飽和状態から冷却して出てくるのは炭酸ナトリウムだ。炭酸ナトリウムの水への溶解度は100㏄の水に対して20℃の時に22gだが、0℃に冷やすと7gしか溶けないので15gが結晶となって析出する。冷蔵庫のない異世界では冬にやるか、魔法で冷やす。


③アッケシソウを焼く。アッケシソウは日本の北海道や岡山の海岸に生息する塩生植物(海水が平気な植物)。現代の日本では天然記念物となっているので採取は禁止だ。法律でも禁止されているが、絶滅危惧種なので例え法律が無くても採るな。異世界ならいいけど。シーアスパラガスという名前でイスラエルから野菜として輸入されているらしいので入手はできる。あと栽培もできるようだ。ネットでタネを入手して栽培してる人の記録がある。ただ現在はタネが手に入るかどうかよくわからない。アッケシソウの灰はなんとカリウム0.8に対しナトリウム10.6だ。つまり灰を水に溶かしたものの上澄み液がそのまま炭酸ナトリウム水溶液と言ってもいい。マルセイユ石鹸が作られていた昔も、アッケシソウから取ったアルカリで石鹸が作られていた。石鹸はカリウムでは固まらない。固形石鹸を作るなら炭酸ナトリウムから作る水酸化ナトリウム(別項目予定)が必要だ。創作物で使うならこれがベストと言える。またオカヒジキ・ハママツナ・ウラギクと言った塩生植物からもそれぞれアッケシソウほどではないが炭酸ナトリウムが取れる。まあ、海藻とそれほど変わらない感じなので海藻の項を見て参照。(*ただ、塩生植物ではあっても海水の無い場所で育てれば当然ナトリウム分は含まれない。栽培された野菜として販売されてるオカヒジキの灰に炭酸ナトリウムがあるかどうかはわからない。栽培の状況による。なお、海岸に自生しているオカヒジキも絶滅危惧種だ。採取はしないように!オカヒジキの種はAmazonで売ってるので薄めた海水で水耕栽培してみるのもいいかも。)


④炭酸ナトリウム成分の温泉水を煮詰めて乾燥して作る。だけど炭酸ナトリウム成分の温泉を見つけるのはなかなか難しいかもしれない。現代日本では和歌山の白浜温泉なんかがそうかな?舐めて苦いと有望。


⑤もし魔法で電気が起こせる設定ならば、食塩水の電気分解で素焼きのツボなどを隔壁にして水酸化ナトリウムを作ることができる。まあ面白味は無いけど。電極には白炭(備長炭など)の通電する木炭を使うといい。白炭を作るのはウバメガシなどの固い木を使って炭を作り、高温になってからかまどの口を閉めて数日かけて炭化させてから(ここからが普通の炭と違う)口を開き空気を送り込んでかまどの内部をまぶしいほどの高温に加熱した後に外に出して灰や砂などをかけて空気を遮断し火を消して自然冷却する。普通の炭はこの最後の工程が無く、そのままかまどの中で冷ます。


⑥ナトロン鉱床から炭酸ナトリウムを鉱石として掘り出す。これは塩湖などが存在する乾燥した国でしか取れない。雨が多い国では流されてしまう。砂漠や荒野にあったりする。地球と同じ環境ならば間違っても森の中でとれる事はない。地球ではチリや中国などで採掘できる。中華麺に使われるかん水はこういったものから作られていたと言う。


現代

重曹としてホームセンターや100均にいくらでも炭酸水素ナトリウムが売ってる。これを水に溶かして加熱すると二酸化炭素が出てきて炭酸ナトリウム水溶液になる。水に入れなくてもそのまま金属容器に入れて240℃ぐらいで加熱すると水と二酸化炭素が出てきて炭酸ナトリウムになるけどすごく粉が飛ぶよ。部屋の中でえらいことになった記憶がある。


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