第十九話 硝酸の作り方
硝酸の作り方
知識だけにとどめて実際には作らないでください。有毒ガスがでます。
硝酸自体も危険な物です。
①大きなツボ、中ぐらいのつぼ、小さなツボを用意する。
大きなツボに少し冷水を入れて、その中央に小さなツボを置く。
その小さなツボに高濃度の硝酸塩水溶液を入れる。(硝酸ナトリウム80gに水50㏄)
(硝酸カリウムや硝酸カルシウムでもいい)
そこに金属銅の破片を32g入れる。
そして塩酸37%を100㏄入れ、素早く中ぐらいのツボをかぶせる。
中ツボの直径は大ツボより小さいので、中ツボの口は大ツボの水に沈んでいる状態。
二酸化窒素ガスが小さなツボから出てくる。ガスが外に出るには水中を通らねばいけない。
ガスが大ツボの底の水に吸われて硝酸になる。
大ツボの下周りを氷で冷やすと効率が上がる。
たぶんこの作業に携わる者は早死にする。
吸収されなかった二酸化窒素ガスがたくさんツボから漏れる。
だけど異世界だとこれが一番楽だろう。
得られる硝酸は低濃度。
蒸留によって濃度を上げてもいいが共沸するのでそんなにあがらない。
冬の氷点下に置けば水分だけ凍って氷になるので、それを取り除けば濃度は上がる。
②硝酸カリウムや硝酸カルシウム水溶液に硫酸を入れて油浴で加熱・蒸留すると硝酸が取れる。
でも異世界で湯浴の加熱、できるかなあ。
ツボに110gの硝酸カリウム(個体)を入れ60㏄の濃硫酸を入れる。(何か沸騰石代わりになる物も。素焼きの陶器のかけらとか。)
それを油で加熱する。油を入れた鍋を加熱し、
できれば120℃付近を維持し硫酸・硝石の入ったツボを下から温めながら蒸留する。
ガスを誘導する陶器の筒は沢の水などで冷やす。いわゆるリービッヒ管にする。管の先に置いたツボで受ける。
硫酸をいれていたツボの中には硫酸水素カリウムが残る。
かなり高濃度の硝酸が得られる。
③オストワルド法
アンモニア気体を触媒に当てて500℃に加熱すれば一酸化窒素ガスになる。
一酸化窒素が空気中の酸素と反応して二酸化窒素ガスとなり、それを水に吸収させれば硝酸になる。
触媒には白金を使う。異世界物なら大抵王様が白金貨を持ってるので存在はするだろう。
白金は日本の川でも砂金に交じって採れる事があるので、
町に白金が無いのであれば必死になって川で砂金を獲れば少量は手に入るだろう。
ちなみに現代では5酸化バナジウム。よほど古い車じゃなけりゃ車のマフラーに必ず入っている。
装置としてはまずアンモニア水を入れたツボを用意し、下から温め、一方から風を送り込んでもう一方からアンモニア気体が出るようにする。出たアンモニアを反応管につなぐ。反応管は陶器の管で中の中央部にくぼみを作りそこに砂白金を入れ、上を粘土で埋め白金部分をガスが通るようにする。管のくぼみ部分を下側から炭火で加熱する。出てきたガスは二酸化窒素になってるはずなので水の中に管の出口を入れて、水に吸収させる。
④もし雷系の魔法が使えるなら、少し水を入れて蓋をしたツボの中で放電すればいい。アーク放電で空気中の窒素と酸素が結びつき二酸化窒素ガスになる。効率は悪いがこれは現実の世界でも実際にやられていた硝酸製造法。しかしコスト面で電気代がコスト高だった為に今では行われていない。
現代
今ではハーバーボッシュ法とオストワルド法のおかげであちこちで硝酸塩が売られている。
Amazonで硝酸カルシウムが肥料として普通に買えるので実験はできるけど、
本当に怖いガスなのでやめたほうがいいよ。
あなたの健康と引き換えにできるほどの実験ではないよ。




