第十四話 食用油の作り方
食用油の作り方
①農業が始まってない原始時代の植物油。
山でアケビを探す。アケビのタネを集め石うすでひいて布に包み蒸してから圧縮して絞る。
しかし集められる量に限りがあるはずなので、栽培して増やす。
少しでも多く取りたい場合は13話で作ったアセトンで溶媒抽出法を使う。
自然の山で手に入る植物油の元は、日本だと
アケビのタネ 不明
エビヅルのタネ たぶん15%ぐらい
ヤマブドウのタネ たぶん15%ぐらい
天ぷらにはアケビのタネの油が最高だそうです。栽培もしやすい。
ココナッツオイル
南国だとヤシの実。ココナッツオイルは内部の白い果肉を加熱して油を取ります。豚のラードみたいな作り方をします。固まる油です。石鹸作りにも便利です。
②農耕が始まってる世界の植物油
油の量(重量比
オリーブの実 25%ぐらい
米ぬか油 糠の15%ぐらい
ゴマ油 50%ぐらい
綿花の綿実油 20%ぐらい
菜種油 40%ぐらい
大豆油 20%ぐらい
コーン油 胚芽部分の50%ぐらい
オリーブだけが特殊で、タネではなく果実に油があるので簡単に絞れる。潰して布で包み手で絞れる。
他は絞り機を自作しないと難しい。米ぬか油や大豆油は溶剤抽出法を使ったほうが楽ですね。
ゴマ油はゴマ300gから150gの油が取れるのでかなり効率がいいです。しかし圧搾で絞ると理論値まではいかないでしょう。収穫量を上げるならやはり溶媒抽出でしょうね。
椿油もあります。食用にするのはあまり聞きませんが、でもたぶん食える気がします。石鹸作りや整髪料としては最高です。異世界で2~3月に赤い花を見つけたら栽培して増やすべき。
似た種類でサザンカのタネ、茶の木のタネからも油がとれます。実は9月頭から11月終わりぐらいに収穫できます。お茶は緑茶も紅茶も全部同じ茶の木なので誰かがお茶を飲んでたら茶の木はあるはず。
ザクロ油というのもあります。ザクロは種が多いので油はけっこう取れそうですがあまり聞かないので食用に向いてるかどうかわかりません。油は商品として存在しています。
キイチゴ油 これもタネから絞ります。食用ではなく化粧品が多いですね。食べても特に問題はないような気がしますが断言できません。成分はザクロ油に似てるようです。
日本に生息するキイチゴで栽培品種でなく自生してるのは、パッと思いつくのは
クマイチゴ
ニガイチゴ
クサイチゴ
フユイチゴ
ぐらいでしょうか。収穫時期はニガイチゴやクサイチゴは6月、フユイチゴは12月ですね。
6月に急にキイチゴを探すのは難しいものです。4月に白い花を探しておいて場所をメモって6月に収穫に行きます。白い花のほうが圧倒的に見つけやすいです。
赤い果肉は濃し器で落としてケーキやジャムにして食べて種だけにします。
どれもタネを石うすで潰して蒸して圧搾するか、溶媒抽出します。
オニグルミの油もあります。ただクルミの油は乾性油で木の手入れなんかによく使います。実は食べる事が出来ますが、油がどうなのかよくわかりません。
③動物の油
猪、鹿、アナグマ、カモシカ、カモ、キジ、クジラ、アザラシ 家畜(牛、豚、鶏)
脂身を煮たり、鉄鍋で焼いたりすれば油は取れます。食用はもちろん石鹸作りにも向いてます。ちなみにカモシカは牛の仲間なので肉が旨いと聞きます。
大量に油がいるならクジラですね。「クジラを獲るのをやめろー!」って言ってるヨーロッパ人が産業革命で夜間も蒸気機関で機械が動くようになったせいで、夜も働くようになり、工場を灯す照明用の灯油としてクジラの油を求め争奪戦になって狩り尽くした歴史はみなさんご存じの通りです。異世界でクジラを獲って油を使う事になっても肉はちゃんと食べましょう。ヨーロッパ人は油と髭を取って肉を捨ててたと言います。
あとは魚の油ですね。秋のサンマなんか脂が乗っててうまいです。魚から油を取るにはやはり大鍋で煮て浮いてきた油を掬う感じになります。沿岸で簡単に獲れて油の多い魚というと経験上、スズメダイを思い浮かべます。6月のスズメダイは油の乗りがすごいです。あの油で揚げ物をしようとはあまり思いませんが。