第十二話 酢酸の作り方
酢酸の作り方
①まず木酢液を作る。木炭を作る時に窯からの煙を竹筒に導いて、竹の周りを濡れ布などで冷やし凝縮させる。冬の寒い日だと勝手に液になる。これが木酢液で農薬代わりに使ったりする。ツボに貯め蓋をする。
木酢液を3か月ほど安静に置くと表面に油が浮かぶ。これを紙で吸い取る。底にはタールが溜まってるので上の茶色い木酢液を掬い取る。酢酸がたくさん入っているけど不純物も多い。茶褐色の鼻につんと来る液体である。水分が多いようなら少し煮詰める。
掬い取った木酢液に水酸化カルシウムを入れる。すると酢酸と反応して酢酸カルシウムになる。未反応の水酸化カルシウムは底に沈むので白濁りが無くなってから上澄み液を別のツボに移す。
酢酸カルシウムは水には溶けるがアルコール・エタノールには溶けない。だから酢酸カルシウムの溶けてる液体に高濃度のアルコール、できれば無水エタノールを入れていく。酢酸カルシウムが析出する。個体にはなってるけどアルコールを含んで固形燃料のようになっている。実際固形燃料として使える。そんなに固くはないのでそれを平らに伸ばして天日で干して乾燥する。直火にかけてしまうとアセトンが発生する。アルコールを回収したい場合は湯煎で70℃ぐらいまでにしてじわじわ低温加熱する。だけど温度計がないと温度管理は難しいと思う。乾燥したら不純物がまだ多いので黒い粉になる。
酢酸カルシウムを乾燥させた後に、ツボに入れ硫酸をかける。すると硫酸カルシウム(石膏)と酢酸水溶液ができるので、これを蒸留する。最初に水が出るが水が無くなると酢酸は116℃で気化するので気体になる。これを管で導き、周りを冷やしたツボに集めて凝縮させると高濃度の酢酸(氷酢酸)になる。
②木酢液からだけではなく米酢からも抽出できる。ワインビネガーからも作れるがブドウには酒石酸が多いので純度を上げるのは難しいかも。
薄い酢酸水溶液は煮詰めれば濃度が増す。弱火でことこと煮込んで水だけ飛ばせばいい。ただし金属容器は使わない事。土鍋かツボで。
高濃度の酢酸は氷酢酸と言って16℃ぐらいで凍る。冬は固まってる。水に溶かすと固まらなくなる。
なお高濃度の酢酸は可燃性である。燃えないように注意する事。
食品としての穀物酢はだいたい濃度が5%程度
薬局で売ってるのもは30%かな。