第十一話 木炭・活性炭の作り方
木炭・活性炭の作り方
①原始的な燃料用木炭の作り方
乾燥した薪を乾いた地面に積み上げて燃やします。結構な量でないとダメです。
炎が収まりそうになったら乾いたサラサラの土をかけて埋めます。
深く埋めずに中から煙がでてくるぐらいで。
数日間放置すると木炭になっています。質は悪く煙も出やすい木炭です。
これはアフリカの原住民が乾燥地帯でタタラで鉄を作る為の燃料木炭を作る方法です。
乾いた大地でないと難しいかもしれません。
日本の気候でやるなら、晴れて乾燥した日が続く時にやる。
乾いたサラサラの土が無ければ川砂と灰を混ぜたものをかけて埋める。
土をかけると空気が遮断されていきなり火が消えてしまいそうですが、口を閉じた炭焼き窯でもなかなか火は消えません。これは樹木・炭に炭酸カリウムが含まれているからです。炭酸カリウムには助燃作用があり、ごくわずかな酸素でもとても燃えやすくなってます。木炭を長く川に漬けておくと流水で木炭内部の炭酸カリウムが水に溶け流されてしまいなかなか着火しない炭になります。鉄や銅を溶かす時に入れ物になるルツボは黒鉛(純粋な炭素結晶)でできているものもあります。何回か使えばボロボロになりますが、純度の高い炭素はなかなか燃えません。
②木炭(黒炭)の作り方
普通は粘土・レンガで窯を作り、中に原木を並べ火をつけ、火が回ったら入り口をふさぎ空気の入り口をほんのわずかにして、数日見守ります。煙突からの白煙が透明になってくると完全に空気の入り口をふさぎ、冷えるまで待ち、取り出します。普通の燃料木炭です。煙突から出てくる煙は一酸化炭素なので吸うと中毒を起こします。注意。
煙突から出てくる煙を竹筒などに導いて竹の周りを濡らした布などで冷やして凝縮させると木酢液が手に入る。
③木炭(白炭)の作り方
備長炭のような固い炭です。ていうか備長炭はブランド名で、種類としてはあれも白炭です。
原木には固いウバメガシを使います。窯で焼くところまでは黒炭と同じで、白煙が透明になってきたら空気の取入れ口を壊してたくさん空気を入れます。炭は一気に燃え上がり窯の内部を1200℃から1300℃のまぶしいぐらいの高温にします。そうなったら炭を外にかき出して、砂や灰をかけて埋めて空気を遮断し冷やします。砂だけだと粒の間から空気が入る可能性があるので灰できっちり遮断します。
ちゃんとした白炭は通電します。原始時代に作れる貴重な通電物質です。以前、銅鉱石の銅を使って塩酸を電解液にして備長炭に銅メッキした事があります。そして白炭は高温で焼かれるので結果的に活性炭の機能も持ってます。
④活性炭の作り方 その1
白炭は表面がすでに活性炭の機能を持っている。蒸留水でよく洗ってから使う。
備長炭をそのまま洗って使ってもいい。最初から活性炭目的で白炭を焼く場合は原木を小さくカットしておく。あくまで表面だけにしか活性炭の効果はないので、後から砕いてもあまり変わらない。
⑤活性炭の作り方 その2
砕いた黒炭を900℃以上で焼き直し、砂と灰を混ぜた物に埋めて冷やす。冷えたら蒸留水で洗う。黒炭を高温で空気や水蒸気(湯気ではない。あくまで水蒸気)にふれるようにすると酸素と炭素が結びついて二酸化炭素になり、炭素を奪われた炭側には小さな穴が開く。この穴に色素などの高分子が吸着する。
高温で燃焼中の木炭に水蒸気をかけるとCOとH2Oが反応して水素が生まれ激しく反応するので注意。
⑥活性炭の作り方 その3
竹やクルミの殻などを石で砕いて塩化カルシウム水溶液に一晩漬け十分に吸わせる。水溶液から取り出して充分に乾燥させて鉄などの容器に入れて上部に小さな排気穴だけをあけて空気を遮断し、七輪で炭を燃やし空気を送り込み600~900℃の高温にしてその中に鉄容器を入れ白煙が出なくなるまで蒸し焼きにして炭化させる。冷えたら取り出し、酢酸やクエン酸でよく洗い、最後に蒸留水でよく洗ってから使う。
塩化カルシウムは1600℃まで蒸発しません。900℃手前で溶けるけど。炭の中にとどまり穴を確保して冷えてから洗うと穴から溶け出て炭は活性炭になります。
本来は塩化亜鉛水溶液を使うけど、異世界に亜鉛あるかな?金属亜鉛があれば塩酸に入れて塩化亜鉛を作り塩化亜鉛水溶液を吸わす。これがベスト。塩化亜鉛を吸わせた場合も焼きあがった活性炭を塩酸やクエン酸で洗い、その後蒸留水で徹底的に洗う。
活性炭は昔はそんなに注目を浴びてなかったけど戦争が激化してくると毒ガス兵器が登場し、ガスマスクの吸着材として研究が進みました。割と平気で人を殺す異世界では倫理観の低さからもっと毒ガス兵器とか出てきそうですけどあまり見ませんね。
⑦炭素粉末の作り方
ナタネ油やハゼノキ・ミツバチの巣からのろうそくをの火の上に小皿をかぶせて
煤を集める。炭素粒子として原始的に得られる最も小さな粉末になると思う。
書道の墨はこの煤をゼラチンで練ったものだ。
⑧炭素粉末の作り方
紙や綿に硫酸をかけて脱水による炭化でも炭素が得られる。
70%ほどの濃硫酸に綿や紙を入れ温めると糖になり最終的に炭になる。
砂糖に硫酸をかけて黒く脱水反応を起こすのは有名である。
硫酸はただの触媒なので減らずに残る。
できた黒い液をツボに入れ空気が入らないように口に板を置き、
290℃で加熱すれば三酸化硫黄となって硫酸は揮発し炭素だけが残る。有毒なので注意。