帳
風、来たる
それは 虐げられ 朽ちて 生きる
記憶はない・・・
万物の香りを知ることも出来ない少年は、目覚める瞬間すら気付かない。
時が経ち、小さき心は微笑みが人々の心に陽を灯すと知る。
しかしそれは、勘違いの始まり。幼い彼は虐げられる。折れる。
時に、彼は素直で、純粋な笑顔を浮かべ、世界と戯れる。
幾人も、彼を光へ誘い咎める。
「何故、何故・・・今を生きないのだ?」
彼は・・・口にしない。口にできない。
【貴方達が、今を生きていない理由を知りたい】
静寂が言霊を放つ。
無垢に世界の光を求めた彼は、
闇を見ることが出来ず、
闇を認識出来ず、
朽ちる。
朽ちる。
朽ちる。
生きる。
数年後、まだ気付いていないその正しさに、差し伸べる手は無い。
純粋 無垢 好奇心。
・・・人は遅すぎる・・・。
彼は、笑って今日も戯れている。