表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/183

小六編 第34話 合宿の準備

 冷やしうどん二玉を平らげて食後のコーヒーを飲んでいると、直哉が誠司と一緒にやって来た。打ち合わせは一時からだったな。


「モリジ、久しぶりだな。」


 モリジってのは森川(もりかわ)誠司(せいじ)のあだ名だ。


「お久しぶりです。」


「今、大学生だっけ? 確か県外だよな。」


「県外って言っても隣の県ですけどね。キャンパスが僻地にあるんで遊びに出るのが不便なんですよ。」


地元(こっち)帰って来る迄どれ位かかるんだ?」


「そうですね、新幹線使えば二時間位で、使わなければ乗り継ぎにもよりますけど五時間ってとこですね。」


「結構かかるんだな。新幹線なら半分以下の時間か。運賃はどれくらい違うんだ?」


「在来線のみだと確か四千円弱でしたね。新幹線は……(スマホ検索中)……七千円ちょい超えますね。」


「三千円追加して三時間の時間短縮を買うかどうかってことか。」


「そうなりますね。学生は時間よりお金なので在来線五時間コース一択でしたけど。」


 久しぶりに会った誠司とそんな会話をしていると、玄田姉弟がやって来た。明里(あかり)朋照(ともてる)だ。


朋照(トモ)、久しぶり。帰って来たばかりでスマンな。」


「全くですよ。母親(ババア)と姉ちゃんに無理矢理ですよ。」


 ババアって美沙恵(みさえ)さんの事かよ。怒られるぞ。


「そういや美沙恵さんは? 打ち合わせ来るかもって聞いてたんだけど。」


「お母さんは突発の仕事が入って、すぐには来れなくなりました。遅れて参加出来ればいいけど期待しないでおいてとの事です。」


 明里からの返事だ。


「明里、それに直哉、他に今日来れるのは?」


「私の方はこれだけです。本来ならこれにプラスでお母さんだったんですけど……」


「こっちも今日はこれだけです。合宿の手伝いには何人か確保できたんスけど打ち合わせはこれだけっス。」


「分かった。じゃあ始めよう。えー本日はお忙しい中、ご参集頂きましてありがとうございます。それではお時間になりましたので、白鳳書道会恒例の夏合宿の事前打ち合わせを行いたいと思います。はい、拍手。」


「パチパチパチ……」


「先生、これ意味あるんスか?」


 直哉が混ぜっかえす。


「うるせぇな、とりあえず最初だけでも形は大事なんだよ。よし、とりあえず各自が持ってる情報の共有からだ。お手伝い人員の曜日ごとのリスト作るから、それぞれ声をかけた奴の出欠状況を言ってくれ。」


 明里、直哉を中心に聞き取りしてお手伝い要員リストを作成する。皆、毎日手伝いに来れる訳じゃないからお手伝いが多い日、少ない日というのが必ず出て来る。それによって昼飯やらレクリエーションの内容が変わってくるのだ。


「こんなもんか、あとこれが子供等のリストだ。小学生の人数的には多い日で30人、少ない日で20人程度だ。今日の夜の教室で中高生が増えるかもしれんが、これはお手伝いが増えると考えていいだろう。」


 参加人数、お手伝い要員、過去三年分の合宿スケジュール等のデータを一通り机に広げ、さしあたっては初日の昼飯とレクリエーション何するか決めなければならない。


「初日の参加人数は今回最多の30人、手伝い要員は……5人か。まず飯をどうするか。」


「初日はバーベキューでいいんじゃないでしょうか。」


「ご飯炊くのが面倒いんだよな。」


「ご飯はやめて焼きそばにすればバーベキューコンロでいけますよ。焼き網じゃなくて鉄板が必要だけど。」


 こんな風にOB連中に意見を出して貰って合宿の内容を決めていく。初日については昼飯は庭でバーベキュー、午後からのレクリエーションは特に行動を束縛しない、つまり自由時間とした。勿論、いくつかのオプションは用意してある。宿題の続きやってもいいし、ゲームやってもいい。OB引率で地元の史跡巡りなんてのも考えた。近所にある史跡なんて殆ど無いから神社仏閣巡りになりそうだ。次の日以降にやる予定の流しソーメン台作りなんてのもあるな。竹を調達してきてソーメンが流れる水路を作るだけだがな。


「で、肝心の麻雀なんですが……」


 いや直哉よ、麻雀はオマケだからな。


「初日の月曜は先生、俺、トモ、モリジでいけますね。」


「そうか、トモとモリジはそれでいいんか?」


「大丈夫です。うすうすそんな気がしてました。」


「大体、直哉が電話して来るなんてそれ以外に考えれんし。」


 直哉のハマり具合は二人もよく知ってる事らしい。


「問題は火曜なんスよね、モリジが予定があって来れないんですよね。」


「しょーがないじゃん、先約があったんだから。」


「やっぱり姉ちゃんを……火曜なら来れるって言ってたし。」


「気になってたんだが、茉実(まみ)って麻雀出来るのか? お前が教えたの?」


「いや、彼氏に教わったらしいですよ。彼氏が麻雀好きで、メンツ足りない時の要員として教えたみたいで。」


「うーん、それもどうなんだ? そんなんじゃ強くはないんだろうな。」


「別に賭けてる訳じゃないからいいじゃないですか。またラスがトップに飯奢るってヤツでしょう?」


「まぁそうなんだがな……何か気の毒だな。」


「姉ちゃんがラスだったら俺が奢りの飯代半分出すって事で。」


「そこは全部出してやれよ。無理矢理引き入れやがって。」


「俺がトップ獲って奢られるのをチャラにすればいいんですよ。」


「言うねぇ……符の計算は出来る様になったのか?」


「満貫以上なら符は関係ないっス。」


「つまり出来ないって事か。」


 その後、火曜以降の内容についても詰める。今年はプールは駄目だな。老朽化により補修工事が必要とかで市民プールは閉鎖になっているそうだ。それならば海はどうかと言うと、海水浴場までの足が確保出来ない。車で15から20分位の所にあるのだが、20人以上の子供を乗せるには少なくとも五、六台必要になるだろう。仕方ない、海はあきらめてプチ登山もどきのハイキングだ。小さい子には酷か? 標高100mを少し超える位だから大した山では無いんだが傾斜がなちょいキツい。


 何だかんだと無理矢理スケジュールを決め――但し、予定は未定、都合により変更もあり得る――事前打ち合わせを終える。その後、初日月曜のバーベキューの準備をある程度しておくことにした。バーベキューコンロの確認と、ホームセンターで炭の補充など。コンロはうちに二台あるのだが、参加人数が多く足りなさそうなので玄田家のコンロも借りる事にした。焼きそば用鉄板もだ。食材は当日の午前中に明里が美沙恵さんと買い出しに行ってくれるそうだ。とりあえず二万円渡しておいた。足りなければ立て替えておいてくれ、後で払う。そうそう、コンロ借りに玄田家に行った時、美沙恵さんに久しぶりに会った。もう十年以上の付き合いだが相変わらず動きがいい。シャキシャキ動いてくれるから助かる。


 夕方になったのでここで解散、これから教室があるからな。直哉はそのまま麻雀に突入出来るかと思っていた様だが、今日は検定の課題提出の日で教室が終わった後もその事務処理なんかがあるから俺の体が空かない。残念だが諦めてくれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ