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小六編 第28話 紳士と書いて変態と読む

今回は短いです。

 そう言えば彩音の母親が来るのは明日だったな。


「お母さん、予定は明日だが問題なさそうか?」


「それは大丈夫ですよ。こちらから指定したんだし。」


「一応確認しておくが、家族は知ってるのか? その……BL的なモノ描いてるのは。」


「いや、言ってませんよ。だからここで描いてる訳で。」


「成程、お前が修道教室に拘った理由がよく分かったよ。うちを隠れ蓑にしやがったな。」


「てへぺろ。」


 うざい、ムカつく!


「あっ、でも妹はうすうす気づいてるかも。布教としてわざとチラ見せしたりしてるから。」


「妹いるのか。何歳だ?」


「小二です。」


「まだひとケタかよ。男女(ノーマル)な方もよくわかってないんじゃないか? なのに男男(BL)とか。」


「ひとケタ幼女の頃からの英才教育です。」


「幼女言うな。」


「こういうのは幼いうちから始めないと駄目なんですよ。ピアノしかり、書道しかり、BLしかり。」


「最後以外については同意する。妹も書道やらんかなぁ。明日お母さんに言ってみよう。」


 塾生獲得の為、広報活動だ。


真彩(まあや)……妹はピアノ続けてるんで無理だと思いますよ。本人もまだ辞めたいとは思って無い様ですし。」


「姉妹でピアノやってたのか。そっか、残念だな。」


「弟も居ますけどこっちはリトルリーグで野球やってます。四年生です。」


「子供は早めに確保しとかないと他の習い事に獲られちゃうんだよな。」


「そうですね。幼女やショタのうちから捕獲です。」


「その言い方はやめろ!」


「私が捕まえて来ましょうか?特に幼女とか幼女とか幼女とか。」


 くっ、こんな犯罪者を野放しにしておいていいのか。しかし塾生は欲しい。これがハリネズミのジレンマというヤツか。


「犯罪行為は慎む様に。大体どうやって捕まえて来るんだ? 今は色々煩いぞ。特に世間の目というヤツが。」


「先生みたいなおぢさんがやったら通報モノでしょうけど、小学生女子である私であればセーフ?」


「アウトだアウト!」


「家の近所に何人か幼女が居るんで……ちゃんと本人と保護者に説明して拉致……連れて来ますよ。」


「拉致って言うな! でも保護者同意の上なら小さい子は欲しいな。」


「ほら、私も先生もWin-Winですよ。連れて来たからにはちゃんと面倒見ますよ。グへへ。」


「よーく分かった。お前、紳士だろ!紳士と書いて変態と読む紳士(へんたい)だな! おのれ、ついに正体を現したな。」


「失礼な!私は紳士では無く『淑女』です。淑女と書いて変態と読む淑女(へんたい)の方ですよ。」


「同じだ同じ! というか変態の(くだり)は否定しろよ。」


「そこを否定する程、厚かましくはありません。」


 み、認めるのかよ。開き直った犯罪者(へんたい)程怖いものは無いな。


「な、なぁ、お前ってBLだけじゃなく百合の方もいけんの?」


「淑女ですから多少は嗜みますよ。BL程ではありませんが。」


「ノ、ノーマルは?」


「まぁ人並みには?」


「何故に疑問形? よし、お前が全方位に対して危険人物(へんたい)という事がよく分かった。教室では無闇やたらとお前の嗜好を垂れ流さない様に。」


 何か対策出来る訳でも無いんだがな。まずは俺が知っておく事が大事なのだ。


 もうすぐ三時になる。他の子達が来る時間だ。


「今回はBLを認めてもらったという事で勘弁しといてあげます。」


「認めて無いぞ。BLを隠れて書く事に対して容認してるだけだ。つまり知らなかった事にするって事だからな。だからそれなりに口裏合わせしろよ。よし、そろそろ教室の時間だ。そのマンガは隠すんだ。皆には見られない様にしろ。」


 せめてこの腐界がこれ以上拡がりません様に……そう願う事しか出来なかった。


 その後の彩音は割とおとなしくしてたと思う。俺の言いつけ通り教室の一番後ろに陣取り、背後から画面を見られない様にして描いていた。今日はスキャナは使わない様だ。取り込みはあらかた終わったのだろう。ペン入れの段階、それと仕上げ作業をメインにやっているのだろう。


 明日は保護者説明会か。家族は彩音のマンガの内容を知らないとの事だが、やっぱり触れる訳にはいかんだろうな。容認、と言うか知らないふりをしてるのだから、そこは黙っておく事にしよう。

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