小六編 第26話 なんだかとても眠いんだ
本日、2話目の投稿になります。よろしくお願いします。
夕飯食ってグダグダしてると直哉から電話があった。事前打ち合わせの日程についてだ。直哉は土日はOK、誠司は土曜と日曜の午後以降なら空いてる。朋照にも連絡してくれたみたいだ。助かる。土曜の午前中には帰って来るから土曜の午後と日曜は行けるとの事だ。他にも何人か誘っている途中で、打ち合わせ日が決まってそこが空いてるヤツがいたら連れて来るらしい。
明里からも連絡があった。茉実は合宿の参加は全日程は無理だが二日位なら大丈夫との事。金土日(の何れか)の打ち合わせはもう予定が入ってるって事で行けないそうだ。明里は金土日どこでも大丈夫で、あと美沙恵さん――玄田姉弟の母親だ――も合宿の手伝いに何日かは来てくれるらしく、打ち合わせも日程によっては参加してくれるそうだ。ありがたい。直哉から聞いてはいたが朋照関連の情報も教えてくれた。
こうなると打ち合わせは土曜の午後か日曜の午後がよさそうだ。日曜は合宿の前日になってしまうので土曜の方がいいかな。日曜は準備が必要な場合の予備日って事で。金曜には教室で参加申込書を回収するから参加人数の把握も出来てるだろう。土曜の夜にも教室があるが、そっちに小学生はいない。中高生もいない訳では無いが少数だし、参加者がいたとしてもお手伝い要員寄りだからな。
明里にはその場で土曜の午後一時から教室で打ち合わせをやると伝え、皆に連絡してくれと頼んだ。その後すぐ直哉にも電話して同じ事を伝えた。今日は徹夜明けだったからもう寝よう。明日の朝、彩音が襲来してくるからな。
と、思ったのだがラジオ体操の後、昼過ぎまで寝てしまったので寝付けない。ヤバいな……少しでも体を休めないと。布団――この時期だから掛けてるのはタオルケットだが――の中で寝返りをうったりゴロゴロしてたが寝られない。げっ、もう二時じゃないか。マズい、六時には起きないといかんのに。目を瞑り仰向けで安静にして何とか眠りに落ちたのは多分三時位だと思う。
「トゥルトゥトゥトゥントゥトゥトゥン、トゥントゥトゥトゥン…」
喧しいわ!スマホの着信音で起こされた。せっかく寝入ったとこだったのに。画面を見ると知らない番号、つまり俺が登録していない番号からかかってきたという事だ。不機嫌な声で電話に出る。
「むぉしもし……」
「もしもし、私、彩音さん、今、先生の家の前に居るの。」
怖えぇよ。朝っぱらから何ちゅう電話してくるんだ。
「彩音か、何だよこんな夜中に…」
「もう朝ですよ。約束通り迎えに来ました。」
何っ!ガバッと起きて時計を見る。もう六時じゃねぇか。おかしい、さっき寝たばかりなのに…
「早く出て来なさい。四十秒で支度しな!」
お前はどこの空賊だよ。
「無茶を言うな! 五分待ってろ。」
とりあえず顔を洗って形だけ歯を磨いて……パンイチで寝てたからTシャツと短パンだけ穿いて……ヨシ、とりあえずはこれで外に出れる。玄関でサンダルをつっかけて……そういえば実家の方ではサンダルをツッカケって言ってたが、こっちでも言うのかな。鍵を開けて表へ出る。まだ目が完全に開いてないし頭もボーっとしている。
「おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
項垂れて何とか挨拶を返す。
「だらしないですねぇ。どうしちゃったんですか。」
「なんだかとても眠いんだ、パト〇ッシュ……」
「私はセントバーナード犬ではありません。」
「歩く気力が湧かないからこのまま一緒に天使に連れてってもらおう。」
「イヤですよ。召されちゃうじゃないですか。」
お前は滅されるべきだと思うけどな。俺にこんな労役を強いやがって。
「ホラ、シャキシャキ歩く! グズグズしてると蹴り飛ばしますよ。」
朝からテンション高いな。どこからそんな元気が出て来るのか。
「あっ、でも足蹴にしたら喜んじゃいますよね。それだと罰になりませんね。寧ろ蹴られたくてわざとゆっくり歩きますよね。」
「俺にそんな性癖は無ぇよ!」
こいつは俺の事、どういう目で見てるんだ、全く。それにしても昨日は自分で行く事にのり気じゃなかったのに、率先して行きたがってるな。
「昨日は自分では行きたくないみたいだったのに、どうしてそんなにノリノリなんだ?」
「ふっふっふっ、昨日までの私は愚か者だったのです。目覚めたのですよ、ラジオ体操に! だから神社に行くのです。」
「本音は?」
「神社なら巫女さんが居るかと思って……巫女装束でラジオ体操してくんないかなぁ。」
そんな事だと思ったよ。だけど残念だったな。
「言っとくけどあそこの神社に普段は巫女さん居ないぞ。年末年始とか例大祭とかの行事の時だけバイトで雇ってるだけだ。仮に居たとしてもこんな早朝から出仕してる訳ないだろ。」
「そ、そんな……初詣で行った時に巫女さん居たから今日も居るかと思ったのに……何の為にここまで来たのか……」
「おい、お前の目的はラジオ体操カードだろ。」
「そう言えばそんな取るに足らない目的も微レ存しましたね。先生、そんな訳で貰っといて下さい。私は帰って寝ます。」
「手前ぇー、そんな言い分が通ると思ってか! 意地でも連れてってやる。」
「テンションだだ下がりでラジオ体操どころじゃありません。」
「お前が昨日言ってた通り、不幸は皆で分かち合おうや、なっ!」
「イヤだー!」
嫌がる彩音にグリグリとウメボシの刑を処しながら神社まで連れて行った。児童虐待とか騒いでたけど知った事か。
「うぅ……コメカミがまだヒリヒリする。なんでこんな目に……」
「そっくりそのまま返してやるよ。」
「巫女さん……やっぱり居ない……」
「そんなに巫女さんに会いたいならバイトで巫女さんやれば? 自分が巫女さんになれるぞ。」
小学生でバイト出来るかどうかは知らんけど……一般的には高校生位からかな? でも由利子は中学の時に巫女さんやってたな。身内だから特例なのかな。
「分かってませんね。全然分かってませんよ。」
「な、何が?」
「私は巫女さんになりたい訳じゃないのです。巫女さんを、見たい、愛でたい、そして萌えたいんです!」
「お、おぅ、そうか。」
「先生に分かり易い様に言ってあげます。私はレイヤーになりたいんじゃない、カメコになりたいんです!」
「よけい分かり難いわ。」
でも分かってしまう自分が悲しい。
桜田さんに一応、言っとくか。ラジオ体操カード無くした彩音が居るんで渡してやって下さいと。あっ、体操終わってスタンプ押す時に渡して下さい。事前に渡すとそのまま帰っちゃう恐れがあるんで。彩音がブーブー言ってるが無視だ無視!
こうして図らずも二日連続でラジオ体操に参加してしまった。明日は絶対に惰眠を貪ってやるぞ!
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