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中学生編 第74話  踏む

「先生。」


 ほげぇーと甲羅干しを継続していると明衣(めい)が話しかけてきた。


「んぁ? 何だ?」


「踏む?」


「またそれか。彩音(あやね)の言う事を真に受けるな。」


「そうじゃなくて、先生よく小さい子に背中とか腰踏んでもらってたじゃない。マッサージ的な感じで。」


「そっちか。確かに踏んでもらってたがあれは体重の軽い小さい子だから丁度よかったんだ。明衣がいくらスレンダーだからって成人女性だとさすがにな。」


 ちらりと明衣の肢体を覗き見る。うん、スレンダーだな。


「スレンダーってとこに悪意を感じるんだけど。」


 むしろ気を遣ったんだがな。


「それに成人女性に踏まれて気持ち良くなってるのは世間の目が痛い…いや、待てよ。ちょっと俺の横に来て背中に膝だけ乗せてみてくれ。」


「??? こう?」


「それで体の重心を少しずつ膝の方へ移して……そうそう、いい感じ。って、おぉー! きくなぁ。」


「なるほど、これなら全体重がかかる訳じゃ無いから調整出来るね。荷重によっては私がバランスとるのが難しいけど。」


「無理な体勢になるとそっちがキツいかもな。楽な姿勢の所でキープしてくれればいいよ。」


「やっぱり踏む感じで左右交互に荷重かけた方がいいのかな。」


「そ、それで頼む。あぁー、きくわぁ。」


「何? 気持ちいいの?」


「気持ちいいと言うより、痛いんだけどほぐれる感じがすると言うか……」


「ふーん、もっと体重かけるね。」


「ぐふぉ! い、痛いけどそれがいい。」


「なるほど、これが所謂(いわゆる)ご褒美ってヤツか。」


「ち、違う。違わないけど違う。」


「どっち?」


 ヤバっ、マジで気持ちいいんだけど。整体とか施術された事ないけどこんな感じなのかな。今度体験的なものに行ってみようかな。


「先生、もう全体重かけた方がいいんじゃないの?」


「試しにやってみてくれ。結構いけるかもしれん。」


「じゃ、乗っかっちゃうね。」


 明衣が正座の形でスネを俺の背中に乗せてきた。荷重が一気に重くなる。だが耐えられないと言う程ではない。


「あっ、何かいけるかも。」


「だけどこれじゃ左右交互に荷重がかけられないね。やっぱりこうしよう。」


 そう言うと明衣は俺の背中で立ち上がる。おいおい、安定して無いからバランス崩して落ちるぞ。


「これで……っと、足踏みすれば……って、バランスとりにくいな。」


「ぐわっ! (かかと)が!」


 接触面が一気に小さくなったからかなり痛い。


「痛い?」


「痛いけどかなりきく。」


「やっぱり踏まれると嬉しいんだね。」


「違う! そこは断固として否定する。」


 結局、こうしたやり取りは「バーベキューの準備しましょう」と美沙恵みさえさんの伝言を朋照(ともてる)が伝えに来るまで続いたのであった。

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