中学生編 第70話 お盆の時期
八月も中旬か。そういやお盆だな。ここ最近のお盆の時期は教室の事もあってうどんの国に帰省する事も無く、毎年グダグダのんべんだらりと過ごしてるな。いや、書道教室の時間までグダグダしてる訳では無いぞ。
「お盆と言えばコミケな訳ですが。」
またか。彩音はこの時期になると異様な熱意を見せるな。
「そうだな。まぁ、俺には全く関係の無いイベントだが。」
先手を取ってやった。
「ちっ、使えねぇ。」
こいつ、言うにことかいて。
「コミケは自分で稼げる様になってから行け。あと切符や宿の手配も自分で出来る様になってからな。」
俺はツアコンやらないからな。
「明衣さんに期待してたんですが、今年は夏休みいっぱいこっちに居るって事で宿が確保出来ませんでした。」
おまっ、明衣を巻き込むなよ。明衣も学生最後の夏休みだからな。逆に言うと最後の休みにずっと地元に居るのもどうなんだ。大学の友達と卒業旅行に行ったりしないのかな。合宿後に修道教室が再開してからはほぼ毎日来てるよな。
「明衣、毎日来てくれるのはありがたいが、最後の夏休みだろ? もっと自分の為に時間使った方がいいんじゃないか?」
「自分の為に使ってるよ。先生は気にしなくていいの。」
「そ、そうか。お前がいいっていうんならそれでもいいんだが何か申し分けないな。何か酬いたいけど飯奢るくらいしか思いつかん。」
「どうせならどっか遊びに連れてって下さい。」
「それはかまわんが……俺はおっさんだから若い子が気に入る様な所にエスコートは出来んぞ。」
「なら私が決めます。先生はそこに連れてってくれるだけでいいんで。」
「そうか? なら行きたいとこ決まったら言ってくれ。出来るだけ要望に応えよう。」
「海行きたい。」
「海? 行くだけでいいのか? それとも海水浴?」
「合同合宿で海水浴行ったんでしょ? 私も泳ぎたいです。」
「いいけど海水浴か……お盆の時期過ぎると海が荒れてくるからな。早めに行かないと。」
「今週末行きましょう! 修道休みでしょ。」
「修道は休みだが土曜の夕方は社会人向け書道教室があるからな。土曜の夕方まで、それか日曜だな。」
「両方。」
「はっ?」
「合同合宿では二日連続海水浴だったんでしょ? だから私も土曜と日曜、二日間海水浴で。」
「うーん、あれはそこくらいしか行く所が無かったからだからな。ちょっとは趣向を変えてもいいんじゃないのか?」
「いいの! 二日間泳ぎたいの!」
あれっ? 海水浴かどうかは別としていつの間にか二日間遊びに行く事になってる。まっ、いっか。
「そうだ。どうせなら明里や美沙恵さんも誘おう。合宿でお世話になったからお礼を兼ねて。そうなると婆ちゃんにも声をかけんとだな。」
「えっ? そ、それはどうかな……」
何か明衣が言おうとするがかまわず美沙恵さんに電話をかけた。概ね了承、詳細はもう少し詰めてから連絡しますって事にした。婆ちゃんは生憎、予定が埋まっていた。仕方が無い、今回は玄田家だけだ。
「という訳で玄田家+俺で行く事になった。場所はそうだな……サンサンビーチでいいかな。海道渡って島になるけど。」
何か明衣が不満げだ。何だよ、サンサンビーチじゃ嫌なのかよ。




