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中学生編 第66話 特進検定に向けて

最近リアルが忙しくなって更新が滞っております。暫くの間、この状態が続くと思いますが、何とか週二話位のペースでいければと思っております。

 翌朝、少し早めに起き出した――と言っても八時だが――俺は、ATMが稼働し始める時間目がけて近所の銀行に出かけた。近所で硬貨が扱えるATMがあるのは二箇所。こっちの地銀とゆうちょ銀行だ。気を付けなければいけないのは地銀のATMの方は硬貨対応は対応なのだが、なぜだか九時から十五時の間――銀行の窓口が開いている時間帯――しか硬貨の扱いが出来ない。十五時を過ぎるとATMは稼働しているのだが硬貨の扱いが出来なくなるというお間抜けな仕様なのだ。何故そんな仕様になってるんだ、時間帯によって変える方が面倒だろ。


 出がけに手持ちの現金、というか硬貨の枚数を確認したが、五百円硬貨が4枚、百円硬貨が16枚、五円硬貨が5枚、一円硬貨が13枚あった。必要なのは808円×9人分だから百円硬貨72枚相当、一円硬貨72枚相当になる。手持ち五百円×4枚と百円×16枚で百円硬貨36枚相当になるから残りは36枚相当、手持ち五円×5枚と一円×13枚で一円硬貨38枚相当になり残り34枚相当。という事は909円を四回に分けてATMから引き出せば必要な硬貨が確保出来るという訳だ。もっと正確に言うならば四回の内、一回は907円でいい。地銀で二回、ゆうちょで二回降ろせばいいだろう。さすがに一箇所で四回も引き出すと不自然だし、ATMが混んでたら迷惑になる。


 一つ目の地銀から出ると莉紗に出くわした。


「せんせー、おはよー!」


「おぅ、おはよう。」


「先生、この後は教室に帰るの?」


「いや、もう一つ寄るとこがあるからそこの用が済んでからだな。用そのものは十分もかからんと思うが。」


「どこ行くの?」


「あぁ、すぐそこの郵便局までな。」


 正確にはゆうちょ銀行のATMだが同じ建物だし嘘では無いな。


「そうなんだ。じゃ、またねー。」


 莉紗はそういうと駆け出して行った。手にノートみたいなの持ってたな。何やってるんだろう?


 ゆうちょのATMからも二回引き出しを行い、自宅に帰って来た。早速手に入れた硬貨を分けて九人分の返金袋を作ってしまおう。合同合宿の貸借対照表や現金を入れる為の封筒はゆうちょのATMからパクっ……ゲフンゲフン、いただいて来た。808円ずつ各封筒に入れてと、よし、これでいいな。今週末の書道教室で渡そう。修道に来てる子には早めに渡してしまってもいいだろう。


 週末、八月最初の書道教室の日である。各塾生に八月の課題の手本を書いてやり、一息ついた。今月か特進検定月だからな。皆、頑張る様に。合同合宿に参加した者は必ず合格する――少なくとも一階級は昇級・昇段出来る――との事だが、これはあくまで暗黙の了解というヤツで師範クラスの中でも限られた者にしか周知されていない。寧ろ秘密事項であり公には出来ない内容である。現に俺も師範であるにも関わらず先日の合同合宿で知ったばかりだ。尤もうちの教室は合同合宿に参加した事が無かったからなぁ。合同合宿参加による特典? の恩恵も受けようが無かった訳であるが。


「彩音は合同合宿で野口先生に楷書の手本書いてもらったそうだからそれでいいよな。」


「確かに書いてもらいましたけどそれでいいんですか?」


「いいんだよ。中学生の検定の審査は野口先生がやってるから、その先生の手本と言うか指導の方が受かり易いぞ。」


「そうだったんですね。ひょっとして合同合宿の担当の先生って検定審査する先生が割り当てられてたんですか?」


「そういう事だ。だから合同合宿に参加すると検定に有利になる。彩音の今の級は何級だったけ?」


「三級天ですね。中学になってから一回しか受かってません。」


「楷書のハンデがあるからな。まぁ、今月は特進検定だから期待出来るな。」


「二階級は無理でもせめて一階級は昇級したいところですね。」


「何とかなるんじゃないかな。」


 実際、受かる事になってるんだが大っぴらには言えない。


「特進検定だから莉紗もいよいよ『特待生』になれる可能性が高いな。」


「『特待生』なるよ。その為にあねさんの厳しい修行に耐えたんだから。」


 いや、あれは書道とは関係ないぞ。そういやちゃんと書道の指導も受けれたんだろうか? 何か莉紗の筆づかいから気迫と言うか「覇気」を感じるのは気のせいだろうか。

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