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中学生編 第37話 合同合宿往路 おっぱいに貴賎なし

今話で40万字を超えました。今後ともよろしくお願いします。

「月子と亜希はどこ行ったんだ?」


「月ちゃんは亜希ちゃんに泳ぐの教えてるみたいです。」


 そういや亜希は泳げないって言ってたな。俺の小学生時代には六年生で泳げないなんてありえなかったんだがな。大抵の子は一、二年生位、遅くとも三年生までには泳げる様になっていた。まぁ、周りには泳げる海が一杯あったし――海水浴場じゃなくてちょっと家の裏の浜でって感覚だった――夏休み中は小学校のプールが毎日解放されてたし、町内に――合併で市になる前は町だった――50m級の市民プールが二つもあった様な環境だったからな。むっ、今思えば50mプールが二つ、25mプールは各小学校にあったから四つ、これだけの数が一つの町内――何度も言うが市ではなく町――にあるって相当すごい事だったんじゃないか? 高々、人口二万人程度の町に。今では二つの50mプールは取り壊され、四つあった小学校も二つになってしまったから25mプール二つだけになってしまった。しかも小学校のプールだから一般人は泳げないというね、何とも悲しいなぁ……


 俺は少し休憩しよう。莉紗と彩音をおぶって泳いだんで疲れたよ。ちっちゃくて柔らかいのと、重くて固いの。しかも浮島に上がったすぐ蹴り落されたのでろくに休めなかった。


「ガシッ!」


「あだ! 何でまた掴む!」


 何故か彩音にアイアンクローを食らう。


「今、絶対不埒な事考えてたでしょ!」


 何でこいつは俺の思考が読めるのだろう? 思考じゃなくて嗜好から推測してるのか? それはそれですごいと思うが。


「何も考えてねぇよ。ただちょっと可哀そうだなって……あっ……」


 さらに指先に力を込められた。しかも若干爪を立ててきやがった。血が出る! 血が出ちゃうから! 彩音のクローを何とか振りほどくも、あまりの痛さにその場に(うずくま)ってしまった。うぅー、(いて)ぇー。彩音が何やらブツブツ言っている。


「やっぱり胸か! 胸無き者には人権すら無いのか!」


 何やら活動家みたいな事言いだしたなぁ。ここはちょっと(なだ)めておこうか。


「彩音、人は生まれながらに平等ではない。持つ者、持たざる者、この世に『貧富の差』があるのは仕方ない事なんだ。だが持つ者には持つ者なりの、持たざる者には持たざる者なりの苦労があって、皆それを乗り越えながら生きている。持つ者の中にだって卑しい者もいるし、持たざる者の中にも尊い者はいる、だから持ってる、持ってないだけで人の価値が決まったり評価されるべきではないと思うんだ。彩音(お前)にはこの言葉を贈ろう。『おっぱいに貴賎なし』だ。」


 とうとうと語ってやったぜ。これで彩音(こいつ)も感動して俺の事を崇めるに違いない。って、なんかどす黒い覇気が伝わってくるんですけどぉ!


遺言(言いたい事)はそれだけか? 死ね!」


 砂浜にへたり込んでいた俺の顔面に彩音のキックが炸裂! 俺は蹴られた反動で後ろにひっくり返り一回転半程してから止まった。まーた口ん中に砂が入っちまったぜ。ペッ、ペッ。


「『おっぱいに貴賎なし』は名言だと思うんだがなぁ。」


「まだ言うか。」


 彩音がまたもやアイアンクローをかけてきそうになる。


「ま、待て。この言葉をお前用に意訳すると『どんなおっぱいにも需要はある』って事になると思うんだ。」


「どんな、って所に悪意を感じる。やっぱりお仕置きが必要な様ですね。」


「人の好みは千差万別、(たで)食う虫も好き好きとも言うだろ。」


「後者は決していい意味では無いですよね。」


「There is no accounting for tastes. 試験に出るぞ。」


「そうやってすぐ胡麻化そうとする。参考までに先生の需要を聞いときましょうか。」


 何で俺の嗜好を晒さなきゃならんのか……でもここで何か答えとかないとまたアイアンクローが。うーん、()っきいのが好きとか言ったら、間違いなくアイアンクローどころではない手酷い制裁を食らうに違いない。言葉は慎重に選ばないと……


「バランスだな。胸の大小ではなくて体全体から見てバランスが取れた乳。」


「乳って……まぁ、いいです。他には?」


「形かな。あとそれを維持する張り。」


「なんか言い方がエロ親父ですよね。」


「おぢさん故、仕方なし。」


「バランスかぁ……バランスねぇ……」


「おっと、逆にアンバランスなのもいいかも。例えばちっちゃいのに胸は大きなトランジスタグラマーとか。」


「トランジスタグラマー? 何です、それ?」


「今の子には通じんか。小柄なのにグラマーな女性の事。お前にも分かる言葉で言うとロリ巨乳だ。」


「やっぱり変態紳士(ロリコン)だった!」


「小柄って言うだけで別にロリじゃないからな。トランジスタグラマーは。」


「結局、大きいのがいいのか小さいのがいいのか、バランスがとれているのがいいのか、アンバランスなのがいいのか、先生の性癖がよく分かりません。」


「性癖言うな。俺もよく分かんないんだよ。こういうのもいいな、あういうのもいいな、とか思っちゃう。」


「つまり重度の浮気性という訳ですか。女の敵ですね。死ね!」


 再び彩音のキックが俺に襲いかかる。が、今後はスウェーイングでギリギリ避ける事が出来た。危ねぇなぁ、もう。

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