中学生編 第32話 合同合宿の連絡事項
本日2話目の投稿になります。よろしくお願いいたします。
では明日の準備を始めるか。そういや俺、合同合宿の午前中の書道の時間には何すればいいんだ? 塾生の指導すればいいの? ひょっとしてうちの教室以外の子も見なきゃならんのか? うーん、分からん事は聞くしかないな。
「はい、白鳳書道会です。」
「梨香さん? 白石です。明日からよろしくお願いします。霞碩先生お願いします。」
「まぁまぁ、優くん、こちらこそよろしくね。旦那は今他の電話でお話し中なのよ。」
「そうですか。梨香さん、分かりますかね。合同合宿の午前中に書道の時間があるじゃないですか。俺はその時間、何すればいいんですか? 塾生の指導とか?」
「その時間は学年ごとに指導する先生が決められているのよ。あとそれを補助する先生が数人いるわね。優くんはそのどちらの担当にもなってないわ。」
「何となく嫌な予感がするんですけど、指導の担当じゃないって事はその他の雑用係って事ですか?」
「うーん……そういう事になっちゃうのかしらね。」
「ある意味予想通りですね。という事は俺は書道用具を持参しなくてもいいんですかね。」
「必要無いと思うわよ。仮に指導の担当になってても筆や硯はうちで用意するし、朱を入れる様な指導は無かったと思うから。」
「分かりました。塾生は勿論、書道用具は必要ですよね、常識的に考えて。」
「それが無きゃ何のための書道合宿だって事になっちゃうじゃない。あっ、でも半紙と墨液なんかの消耗品はうちで用意するわ。使い放題よ。」
「それはありがたい。特に墨液は個人で持って行くにも重いんですよね。」
「他には何かあるかしら?」
「そうそう、海水浴の件ですけど、前に霞碩先生と話した時に松原か沖津の海水浴場って言ってましたけど、どちらになりました? 二、三日前には連絡するって言ってたのに電話無かったんですよね。」
「あら、それは御免なさい。合同合宿前でバタバタしてて忘れてるんだわね。沖津の海水浴場よ。」
「という事は、海水浴場までの足となる車がそこそこ確保出来たって事ですね。」
「そうね。結構車で来る教室が多くて……おかげでこっちは駐車場の確保に大わらわよ。」
「何か、お寺の駐車場借りるって話でしたけど、そこだけじゃ収まりきらない感じですかね。」
「そうね。色々伝手を頼って会社とかの駐車場借りまくったわ。幸い、合宿が土日がメインだから会社の駐車場も空いてる所があって助かったわ。」
「うちの車はどこに停める事になりそうですか?」
「まだ調整中なのよ。明日の昼には決まると思うけど。」
「ギリギリじゃないですか。とりあえず本部まで行って、どこに停めるかの指示を仰ぐって事になるんですかね。」
「そうなりそうね。」
「分かりました。色々ありがとうございました。それでは明日からよろしくお願いします。」
「はーい、よろしくね。」
合同合宿の海水浴は沖津か。ならばうち独自の方は松原だな。おっ、そうだ。念の為に合同合宿参加者に半紙や墨液は持って行かなくていい事を伝えよう。特に啓志は行きがJRだからな。荷物は少ない方がいいに決まってる。俺は年齢が若い者から順に電話をかけていった。なぜ若い順からだというと寝る時間が早いと思ったからだ。また静や啓志はまだ仕事中かもしれんから、少し遅めの時間がいいだろうと考えたというのもある。伝える内容としてはこんなところだ。
・書道合宿なんだから書道の道具は忘れるな
・半紙と墨液は向こうで用意してくれてるから持って行かなくていい
・海水浴があるから水着の用意を忘れるな
・二泊三日だからその分の着替えもな
八時か……この時間なら社会人の二人も仕事終わってるだろ。
「お疲れ、啓志、明日は大丈夫か? あと月曜は休めそうか?」
「お疲れっス。明日は職場から直接向かいます。月曜は大丈夫っスよ。」
「お前の職場ってどこにあるんだっけ?」
「隣の市です。少しだけどこっちから行くより近くなります。」
「お前、SUICAとかICOCA持ってる?」
「ICOCAの定期券使ってるんで持ってますが……」
「実はな、JR四国でも一部の区間は交通系ICカードが使える。JR四国は独自のICカードが無くてな、ICOCAに面倒見てもらってるんだ。うどんの国の県庁所在地までなら通しでICOCAで乗れるぞ。橋も渡れる。」
「マジっすか。それはいい事を聞いた。」
「ただ、県庁所在地までだ。厳密にはもう少しいけるけど、乗り換えとか考えるとちょっと難しい。県庁所在地の駅まではICOCAを使って行って、そこで一旦改札を出ろ。そんで目的地までの切符買ってあらためて入場しろ。」
「途中でぶった切って切符を買い直すと高くつきませんか? 通しで隣の市から目的地までの切符買った方がよくないですか?」
「それがJR運賃の不思議な所でな、営業キロによって運賃が決まるんだが、分割して買った方が通しで買うより安くなる場合があるんだ。ちょっと待て、調べてやる。」
俺はネットで運賃を検索して通しの値段と県庁所在地駅で分けた値段を調べる。
「隣の市から通しで買った場合は3,320円、隣の市から県庁所在地駅までは2,850円、県庁所在地駅から目的地までは360円、分割した場合の合計は2,850円+360円=3,210円、通しで買った場合より110円安くなる。」
「すげー、こんな事あるんですね。」
「もっと安くなる分割のケースもあると思うけど、今回は出来るだけ早く着きたいだろ。110円で我慢しとけ。少なくとも通しで買うよりは安いんだし。」
「分かりました。県庁所在地駅までICOCAで行って、一旦改札出て360円の切符で入場し直して目的地まで行くって事でいいですね。」
「どうしてもICOCA使いたいなら私鉄の電車を使う手もあるぞ。同じJRのJR四国では使えない区間があるくせに、うどんの国の私鉄は全駅で使えるってのがまたおかしな話だが。ちなみに私鉄の場合、目的地までは430円で70円程高くなってしまうがICOCAで行ける。但し乗り換えが面倒くさい。」
「素直にJRで行きます。」
「県庁所在地駅に着いたあたりで電話しろ。目的地の駅に何時頃着くかも合わせてな。迎えに行ってやる。」
「お願いします。」
「あっと、それと……」
俺は子供等に連絡したのと同じ内容を伝える。半紙や墨液を持って行かなくていいと聞いた啓志は喜んでたな。少しでも荷物は減らしたいだろうからな。さて、次は静だが……パスしたら駄目かな。駄目だよな。仕方ない、電話するか。
「静、お疲れ、今いいか? 明日からの合同合宿の件で連絡だ。」
「構いませんよ。何でしょう。」
俺は皆にした連絡事項を伝える。半紙や墨液の支給以外はまぁ、当たり前の事だから伝えんでもいいんだがな。
「あと、車を出してもらう件でお願いがあるんだ。すまんが今日中、もしくは明日の朝うちに来るまでの間でガソリン満タンにしといてくれんか。お前、もしくは勝人さんに不要な出費をしてもらう事になるかもだけど頼む。合同合宿中のガソリン代はうちから払うんだが、こっちへ帰って来た時にスタンドで給油して、満タン返しという事にしたいんだ。だからこっちを出る直前に満タンにしといて欲しい。」
「ガソリン代はお父さんのカードで払うんでいいんですけど、もう少し早く行っておいて下さい。今からスタンド行かなきゃならないじゃないですか。」
「別に明日の朝でもいいんだぞ。」
「女の朝は色々と忙しいんです! 特に明日は八時集合とか早いし。」
「そ、そうか。すまんが頼む。」
静に怒られてしまった。女の朝とか言われたら何も言えんじゃないか。
「あと高速道路は俺のETCカード貸与するからそれ使ってくれ。そっちのカード使って後で清算するのが面倒なんでな。」
「先生の車のETCは?」
「あぁ、俺ETCカード何枚か持ってるから。サブカードをお前の車用に貸す。」
「そういう事ですか。分かりました。」
「じゃぁ明日からよろしく。」
「はい、おやすみなさい。」
ふぅ、これで連絡事項は一通り終わったな。子供等に連絡してたから時間がかかってしまった。よーし、明日に備えて寝るぞぉ!
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