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中学生編 第23話 合宿二日目 バーベキュー

前話の最後に少しだけ(十数行ですが)追加していますので、よろしければそちらもどうぞ。

 合宿二日目、今日は昼飯がバーベキューでその準備は大変だが、午前、午後ともにお勉強タイムなので、俺とかお手伝い要員としては楽が出来る。十時過ぎ位から買い出しに行き、女性陣は食材のカットや食器の準備、男共はバーベキューコンロの準備に忙しい。火起こしにはまだ早いかな。火種だけ作っとくか。例によって最初はヤキソバからだから、玄田家から貰ったヤキソバ用コンロで火種を作っとこう。昨年、大量に余った薪も少しくべよう。上に鉄板が来るから、炎は上がって来ないだろう。


 そういや今日は晃一(こういち)が居るんだったな。次世代のお手伝い要員を育てる為に少し手伝ってもらおう。晃一の幼馴染の雅也(まさや)も居る。OBでは無いが中学生なんだから補助要員として彼にも働いてもらおう。


「誠司と直哉はバーベキューの火の管理な。朋照はヤキソバ係で竹っちと雅也がその補助をしてやってくれ。」


「ヤキソバの補助って具体的には?」


「ソバや野菜の補充、出来たヤキソバの皿への盛り付け、朋照が休憩する時はどちらかがヤキソバを焼く、とかそんな感じかな。あと火の管理は俺が付いてるけど、それも見ながら覚えてってくれ。」


「後進の育成ってヤツですか?」


「そーいう事、朋照もそのつもりで教えてやってくれ。」


 少しずつ若手に継承していかんとな。勝陽(まさあき)も来年は中学に上がるからこっちに引き入れないといけないな。


 朋照がヤキソバをどんどん焼いていく。晃一と雅也が紙皿にそれを盛り付け、小さいのに渡していく。子供等にはヤキソバが行き渡ったかな。そろそろ本命のバーベキューの方を焼き始めるか。


明里(あかり)明衣(めい)、肉や野菜の方も焼き始めてくれ!」


「「はーい。」」


 今日は玄田四姉弟が勢ぞろいだ。末っ子の勝陽はまだ小学生だが、それ以外の三人はお手伝い要員で頑張ってくれている。


「先生、ヤキソバ、もうソバが無くなりました。」


「ありゃ、もう終わりか。お前ら自分は食ったのか?」


「かろうじて一皿ずつは……先生こそ食って無いんじゃないスか?」


「あぁ、それは仕方が無い。バーベキューに移動しよう。そっちで食うわ。」


「火はこのままにしといても大丈夫ですかね。小さいのがうろちょろしてたんじゃ心配です。」


「そうだな。庭の隅まで移動させようか。まずは鉄板だが……取手に雑巾を通して……両側から吊るす感じで……よし、朋照、引っ張り上げるぞ。せーの!」


 朋照と二人で不安定ながらも鉄板を庭の隅まで移動させた。


「どっちにしろ冷めるまで掃除出来んからな。コンロの上に載せたままだと火がある限り冷めんし。」


「そのコンロはどうします? さすがにあれはまだ熱くて持てませんよ。」


「燃え残ってる炭や薪はバーベキューコンロに出来るだけ移そう。炭スコップと火バサミ使って。ほぼ空にしてから水ぶっかけて強制的に冷却しよう。」


 バーベキューコンロに張り付けておいた誠司や直哉も動員して、ヤキソバ用コンロの火種をバーベキューの方に移す。バーベキューもやりながらなので結構難しい。


「よし、これ位でいいだろ。じゃ、水ぶっかけるぞ。」


 ジュ、ジュワーー……大量の水蒸気が発生して周りが見えなくなる。とりあえず手で触れる温度まで下げてから、鉄板と同じ位置に移動する。あとは自然冷却だ。放って置こう。さて、バーベキューに移動しよう。


 バーベキューで肉をかっ食らう男共、まぁ、らしいっちゃらしいんだが、野菜も食えよ、お前ら。おっ、明衣が居る。明衣は去年帰って来なかったから二年ぶり位に顔を見る。


「明衣、今日は手伝いありがとな。」


「いえ、多分これが最後になるから。」


「就職は向こうでするのか? 東京だっけ?」


「そうなります。」


「教員免許取ったんだっけ? 先生になるのか?」


「理学部数学科だったけど教育学部って訳じゃ無かったんで……教員免許はオマケです。箔付けですよ。だけど結局、数学あんまり関係ないとこに就職するんですけどね。」


「そうなんか。明衣くらい優秀ならうちが儲かってたら事務とかやってもらいたかったけど、零細教室だからなぁ。」


「そんな芽もあったんです?」


「可能性として無くは無いが、うちの稼ぎじゃ給料出せんよ。生徒が今の三、四倍位になればいけるかもしれんけど。」


「そんな規模じゃないと人雇えないんですか?」


「時給千円位でバイトとして雇うんならいけると思うけど、キチンとした雇用で給料出すとなるとそれ位の規模が必要だろうな。社会保険の負担とか色々あるし。」


「教室が大きくなったら声かけて下さい。Uターンして来ます。」


「それ位大きくなったらいいけど、そもそも少子化で子供が居ないんだよなぁ。」


「確かに……子供が居ないから先生も要らない。教員の資格は持ってるけど先生の空きが無いって教員志望の子が愚痴ってました。」


「高齢者相手の介護施設は人手不足で介護福祉士がいくら居ても足りないってんだから、世の中ままならんな。なぁ、貴教(たかのり)。」


「俺に振らないで下さいよ。まぁ、人手不足なのは事実ですが。介護士ならすぐ働けますよ。」


「でも介護の仕事には人が来ないんだよなぁ。なんで?」


「単純に給料が安いからではないかと。」


「そういう事だよな。仕事に見合った額が貰えてないって事だよな。医者なんて実労働時間からすれば完全にブラックだよ。でも成り手は一杯いるし、誰も辞めたがらない。何故か? 答えは簡単、きつくてもそれに見合うだけの給料貰ってるからだな。」


「おっしゃる通りで……」


「もぉ! 先生も屋島さんもこれから社会人になる人間に嫌な事言わないでよ!」


「おっと、失礼。」


「悪い悪い、希望が持てない様な事、言っちゃいかんな。」


「よし、明衣、バーベキュー食って午後からは子供等の宿題見たってくれ。何せ先生の資格持ってるんだからな。子供の相手は嫌な事考えなくて済むぞ。」


「先生、それフォローになってない。」


 どこもかしこも生きていくのは世知辛いのである。

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