中学生編 第15話 合同合宿スケジューリング
「静、啓志、雅也、ちょっといいか? 来週の教室、ちょっと早目に来れるか? 一時間位。合同合宿について打ち合わせしたいんだが。」
「私はかまいませんが……」
「こっちも大丈夫っス。」
「行けます。」
「じゃ、五時位までに来てくれ。」
土曜日組は招集出来た。社会人はなかなか時間が取れんからな。彼らが空いていると思われる時間を優先したのだ。あとは金曜日組だがこちらは何とでもなるだろう。最悪、個別に打ち合わせして希望を聞いてもいい。
こちらから提案するプランとしては、少なくとも一回はうどんを食いたい。出来れば製麺所――〇亀製麺はうどんの国ではほぼ駆逐されてるからアウトオブ眼中だ――がやっている店で。それと海水浴、合同合宿の中でも組込まれているがうち独自でも行きたい。あとはそうだな、イルカセンターにでも行くか。イルカと一緒に泳げるとかのプログラムもあるけど、水に入れる準備をしなきゃいけないし時間も結構取られるし代金がバカ高い。とりあえずセンターの入場料だけでイルカが眺められるレベルでいいだろ。余裕があればさらに足を伸ばしてうず潮見に行くのもいいかもしれんが、さすがに時間が取れないだろうな。時間が取られなくで済むという点では、源平合戦所縁の地巡りや橋を展望出来る場所に行けばいいな。帰り道で寄ればいいだけだ。
「まず時間の変更から。当初、集合九時、九時半までに出発としていたが一時間程早めようと思う。集合八時、八時半出発としたいんでそのつもりで。うち独自のスケジュールとして思いつくままにこういうプランを挙げてみたんだが、何か希望や要望はあるか? 提案でもいいぞ。」
合同合宿参加者に意見を聞いてみた。
「そうは言われても私らあんまし詳しくないし、どういった観光地があるのかも分かんないし。」
「合同合宿の海水浴と、うちらだけの海水浴、二日も海水浴行くのはどうかと。」
「それはな……それ位しか行く所が無いんだよ。それに安心しろ、同じ海水浴場では無いから。」
「初日の昼ご飯はうどん、これはいいんですけど最終日の昼ご飯も?」
「うどんだ、二日目と三日目の合宿中にはうどんが無いから中二日空いてる、何の問題も無い。」
「どこかお土産が買える所は無いんですか?」
「最終日、帰り道でお土産が買えそうな場所に何ヶ所か寄るからそこで。橋の途中にあるサービスエリアにも寄るからそこでも買える。そこがお土産が買える最終ポイントになると思うがな。」
「お小遣いはいくらまでとかはありますか?」
「特に制限は設けない。だけど飯代とかは合同合宿の費用に含まれてるから、お土産代位しか使わんと思うがな。あとは個人的に買うおやつ代とかジュース代とか位だな。」
とりあえず打ち合わせというか要望を聞きはしたが、どんな所があるのか分からないから意見し様が無いというのが結論だった。なので基本的に俺に任せるという事になった。この打ち合わせで提案した範囲であればスケジュールに組込んでいいと。まぁ、仕方が無い。旅行代理店というかツアーコンダクターに徹する事にしよう。
初日は橋渡ってインター降りてすぐの所にある旭製麺で昼飯、一人五百円もあればおいしいうどんが食べられる。その後、海水浴、時間があれば、というか子供等が海水浴に飽きればイルカセンターへ行く。入場してイルカ見るだけだけどな。二日目は合同合宿で午前中は書道、午後は合同での海水浴、三日目も合同合宿で午前書道、午後は地元の観光地巡り、最終日は屋島にでも登ってから下山した所にあるうどん屋で昼飯。このうどん屋は観光地仕様なので若干お高い。それでもしれてるけどな。その後は橋の付け根にある展望公園へ。時間的に厳しければパスして橋へ直行。橋の途中にある島のサービスエリアに降りて休憩、ここがお土産買える最後のポイント。あとはひたすら帰るだけ。とりあえずこんな感じでいいかな。これをベースに実際には臨機応変に対応していくしかないんだが。
六月も最終週を迎え検定書の提出も終わった。七月に向けてまた教室の運営をやっていく訳だがそろそろうちの合宿の準備もしなくちゃならん。いつもは行き当たりばったりでやってたんだが、その後すぐ合同合宿に突入するからある程度の準備はしとかなきゃならん。早めに明里と打ち合わせしときたいな。去年までは大学生で夏休みにならなきゃ帰って来てなかったが、今年からは家業の手伝いをするとかで実家に居るんだよな。出来れば母親の美沙恵さんも一緒に打ち合わせの場を設けるとしよう。




