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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「バレンタインにメイド喫茶で妄想してる女の子と、本命チョコをそのまま渡すとひいきになってしまうし、お茶請けで出してこっそり食べてもらおうとするメイドさんと、その事実を耳打ちする別のメイドさんのお話」

作者: レオサリー

 行きつけのメイド喫茶。そこでは、美味しい紅茶とケーキが味わえる。それに、なんといってもロングスカートのメイドさんがお給仕してくださる。なんと素晴らしい。

 ただ、世間はバレンタインデーとかいう、女の子が女の子にチョコをあげてもいい日らしい。私もボーイッシュなガールゆえ色んな女の子にチョコをもらったが、本命からはもらえていない。

 そう、ここのメイドさんの一人だ。

「今日のオススメの紅茶は?」

「私のオススメはチョコレートの香りのするアイリッシュモルトはいかがでしょうか?」

「じゃあ、それで」

 いつもの流れで紅茶を頼む。正直、女の子に慣れていても、メイドさんとの会話は緊張を拭えない。そして、なにより今日はバレンタイン。そんな日にチョコレートフレーバーの紅茶を薦めてくるこの子はやはり私に気が……

あるわけないので、いつも通り注文をすます。私の推しは、いつも通りの足取りで調理場に戻っていく。あぁ、さらばバレンタイン。


「バレンタインなのに、来てくださるなんて……」

 私は長年このメイド喫茶に勤めていますが、このようなカッコいいお嬢様に出会えるのはなんという運命でしょうか。それも、バレンタインという特別な日に。

「自分用にと作っておいたチョコ、渡してしまおうかしら?でも、そうするとお客様へのひいきになってしまいますね……」

 私は頭を使いますが、くるくる回ってしまいます。

「そうだ、お茶請けとして出してしまいましょう」

 かけていたメガネをクイッとしてしまいます。やっぱりメガネキャラだけに、頭が冴えます。

「では、紅茶も出来ましたし、行きましょうか」

 あぁ、ありがとうございますバレンタインさん。


「お嬢様、今日はバレンタインですね」

 このお嬢様は、先輩メイドさんが気になっていた方。バレンタインまで来てくださるなんて、よっぽど気があるんですね、と考えてるうちに先輩メイドさんが紅茶を持ってきました。邪魔になってはいけないですね。ニンニンです。ですが……

「おやおや?」

 先輩メイドさん、お茶請けが他の方と違いますねー。あれは、お給仕前に「自分用に手作りしてみましたの。よかったらお給仕後に味見してくださる?」といっていたチョコレートではありませんか。メイド探偵にはお見通しです。これは……

「お嬢様、お茶請けに出てるチョコレート、先輩メイドさんのお手製なので、味わってくださいね」

 そっと、耳打ち。いい事をしました。

「失礼しますね」

 ふふふ、このあとの展開が楽しみです。ナイス、バレンタインです。


「お待たせしました。アイリッシュモルトでございます」

 さっきのメイドさんの耳打ちで、気が気でなくなってしまった。さっと出されたこのお茶請けのチョコレート。確かに他のお客さんのお茶請けはクッキーなので、本当に手作りではないかと信じそう。

「お茶請け、チョコレートですか。紅茶に合いそうですね」

 つい、口に出してしまった。メイドさんは普段通り紅茶を注いでいるが、心なしか手が震えている。

「ありがたく頂戴します」

 紅茶にあいそうといいつつ、フライングでチョコレートを食べてしまう。

「……どうですか?」

 どうですか?美味しいですけど本当にこれは手作りなのかいやそんな訳がないはずいやでももしかしたらいいやそんなことはどうでもいい手作りか美味しいなこれがメイドさんの気持ち相思相愛いやいやあくまでも

「……美味しくなかったでしょうか?」

「いや、結構な御手前で」

……無言が辛い。あぁ、さらばバレンタイン。


「……では、お土産も後でお持ちしますね」

 勢いは大切ですね。とりあえず、あの子が何か耳打ちしていたようなので、内容を聞き出す必要がありそうですね。

 あぁ、ありがとうございますバレンタインさん。


「今日もメイド探偵はいい仕事をしましたとさ」

 何やら悪寒がしますが、いいものが見れました。ではでは。

 ナイス、バレンタインです。


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