Steel boy,still joy
新宿ユニカビジョンの下 喫煙所でジジイが若者に壁ドンしながら煙草をたかる横で僕は思った
佐野元春は今もかっこいいなって
空に向かって煙を吹き出す
好きな人は風のようでいつだってここにいるようで気まぐれ
だから追いかけるんだ 感じたくて君を
雨に濡れながら 届ける気持ちだけは嘘じゃない
何考えてるの 馬鹿じゃないの 酔ってんじゃないの
罵声が遠くで祭囃子
そんなの どうでもいい
大事なのはそう 気まぐれと勇気
ただそれだけでいい 今は
先の事なんか 心配してもしょうがない
雪景色見よう 手をつないでさ
冬の花 見つけよう
活動報告で酔っぱらいとネカマ恋愛小説作家が僕を取り合うのを止めないのはなぜって
愛はそこにあるのものだから ただそれだけ
小説を愛するすべての人間に言いたいのは
そんな事すげーどうでもいいからチャリチャンを読んでくれって事だけなのに
レビュー連続6件祭りになって揉みくちゃにされたという事実
正直疲れたけど楽しかった
毒きのこさんが朝倉さんをレビューの件で襲撃したのは知らなかったけど
狂ってるって思うよ
僕を含めてみんな狂ってる 馬鹿ばっかりさ
空を飛ぶのはもう飽きた たまには地上で遊びたい でも
そんな事どうでもいいかなって思う時もある
そんな僕を見て誰かが何か言っても知らない
だってそれは ただのイメージ
僕の事は嫌いになっても チャリの事まで嫌いにならないでください
ああ……
夜中に卵を焼いて食べる
「ゆうき、起きてよ!」
並んだマグカップ、淹れたての香りが食欲をそそる朝。二人は並んで遅い朝食を摂る。午前11時。かなみはその日、仕事を休んだ。
「かなみ、新しい靴履いて見せてね」
「うん。サイズが同じだから、シェアできるよね」
「だめだよ、かなみに似合う靴を選んだんだから」
「いいの」
「だめ」
「いいの」
「だめ」
「いいの」
「だめ」
「だめ」
「いいの」
「?」
「!」
かなみとゆうきは、顔を見合わせて、そして吹き出した。歯と歯の間に挟まったベーコンすら愛おしい。ゆうきは幸福だった。そして、かなみも。その日の朝も、その前の朝も、それから、明日の朝も……
B粒子によって魔人となったかなみは、消えゆくはずのゆうきを意識ごと取り込み、己の生命と一体化したのちに二つに分かれた。そう、楽園の、アダムから生じたイブのように彼らは、元々は一つ。平たく言えば、ニコイチなのだ。そんなかなみのお腹を撫でながら
「これからはサンコイチだよ」
ゆうきはそう言うと、身支度を整え始めた。
「行ってきます」
ゆうきの手足が格納され、かなりコンパクトになった。長い金髪はプロペラになり、どこからどう見ても「ドローン」としか言いようがない。そんなゆうきを、かなみは窓から解き放つ。
「行ってらっしゃい……なんかめっちゃお腹空くわ……」
かなみは、再び朝食に取り掛かるのだった。
おしまい。




