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閑話 七夕①

今日は七夕なので(´﹀`)






「おっすおっす、姫さん」

「あ、ロイ。珍しいね、どうしたの?」


私が離宮で仕事をしている時、唐突にロイがやってきた。

諜報分野の長であるロイが私のところに直接やって来ることはほぼない。

何かあったんだろうか?


「いんやぁ、なんか面白い木っていうか、植物見つけたんで、姫さんに持ってってやろうと思ったんすよ」

「面白い植物?」

「そっすよ。なんか、緑色してて、中が空洞で、仕切りみたいなのがあるんす。そんで葉っぱが鋭いんすよ」


あれ?

それって……。


「竹?」

「タケってなんすか?」

「あぁー、えーと、ロイ、その植物見せて?」

「いっすよ。中庭の方に置いてあるんで、来てもらっていっすか?」

「うん」

「姫さんちっこいんで、ちょっと失礼するっすよ」


ちっこい言うな。

ロイに抱きかかえられながら中庭に移動する。

後ろには近侍たちがズラズラとついてきている。


「あ、ほら。あれっすよ、あれ。見えるっすか?」


うん、見えてるよ。

立派な竹が。


「どうにも利用方法が思いつかないんすよねー。姫さんはどうっすか?」


そんなの、決まってる!


「七夕やろう!」


今ちょうど7月だし!

この世界では!


「タナバタってなんすか?」


あ。


「えっとね、遠い国のお話にこういうのがあるんだよ。神様の中で一番偉い天帝っていう神様には娘がいたの。その娘はとても働き者だったんだけど、あんまり働くものだから、天帝が不憫に思ってお婿さんを見つけてくるんだよ。そのお婿さんは勤勉な人で、牛飼いだったんだって。それで結婚した2人だったんだけど、仲が良すぎて仕事をしなくなっちゃったの。それに怒った天帝が2人を天の川で隔てて引き離しちゃうんだよ。そしたら今度は2人ともずっと泣いてばかりで仕事をしなかったから、見かねた天帝が1年に1回だけ会わせることにしたんだよ。それが7月の7番目の日なんだって!」

「へえー、そういう話があるんすねー。ところで、アマノガワってなんすか?」


あ。


「星がたくさん集まって川みたいに見えるやつだよ」

「あぁ、星の川のことっすか」


へぇ、こっちでは星の川っていうのか。


「ということでロイ。竹……この植物をたくさん集めてきて欲しいの!」

「あいあい、了解っす。そんじゃ、今からちょっくら行ってくるっすよ。〈月影〉、何人か連れてくっすよ」

「うん、ありがとう」


ロイは私を下ろしてからリングで何人かに連絡をとり、そのまま転移していった。


「じゃあみんな、準備しよう!」


私が近侍のみんなに声をかけると、ラスヴェトが私を抱き上げて部屋まで移動した。


「リリィちゃん!あの話とっても素敵よ!どこで聞いたの?」


ロゼリカが訊いてくるが、前世の話はまだみんなにはしていないので答えられない。

そろそろ話すつもりではあるけど。


「うーん、忘れちゃった」


一番最初にどこで七夕伝説を聞いたかなんて覚えていないから、嘘ではない。

それでもやっぱり、心苦しい。

近いうちに話そう、と決める。


「そうなの。それで、準備って何をすれば良いのかしら?」

「飾りと、短冊、あと流しそうめんもしたいなぁ」


あ、待って。

こっちの世界ってそうめんないじゃん。


「タンザク?それとナガシソウメンって?」

「短冊っていうのは、お願いごとを書いて竹にぶら下げるんだよ。流しそうめんっていうのは、竹を半分に割って節をくり抜いて、水を流して麺を流すの。それをすくって食べるんだよ!」

「麺、ねぇ。どういう麺がいいの?」

「細くて白い麺がいいんだけど、無かったら別のでもいいよ?」

「分かったわ。一応探してみるわね」

「うん!ありがとう、ロゼリカ!」


これで七夕ができるよ!







あと2話ほど続きます

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