開戦
短めです
「右翼、左翼ともに展開!騎士及び魔術師は中央を固めろ!」
ヴィー従兄様が指示を飛ばす。
反乱軍は中央突破型の陣形をとっている。
だから中央に高戦力な騎士と魔術師を置いたのだろう。
それを右翼、左翼で囲むつもりのようだ。
いわゆる鶴翼の陣である。
お父様は騎士のうち100名を連れ右翼へ。
オズ兄様も100名の騎士を連れて左翼へ。
そこから兵へ指示を飛ばし、統率を図るのだろう。
残りの800の騎士はヴィー従兄様が指揮を執ることになる。
こちら側の準備が整ったとみるや、反乱軍から男がひとり、騎乗した状態で歩み出た。
ヴィー従兄様もそれに習い、騎獣を進める。
「私はイグロンド侯爵!この国のため、無能な王族を排除しようと立ち上がった!王族よ!この国を明け渡せ!お前らはこの国を傾けるだけだ!」
ああ、戦いの前にお互いの言い分を主張し合うあれか。
イグロンド侯爵って確か宰相だったはず。
なら、原因は分かってるはずだよね。
どうせ自分が王位に着きたいだけなんだろうけど。
「笑止!無能はどちらか!この国を傾けているのは貴様らだ!逆賊ごときに明け渡す国などない!」
お互いを睨みつけあった後、自軍に戻る両者。
「シエル、お願い」
[クルルッ!]
シエルが空高く舞い上がる。
それと同時に脳に身体強化をかけ、シエルと視覚を共有する。
色無しの従魔だからこそできる技その2である。
「あちらが動いた。こちらも動くぞ」
「はい、ヴィー従兄様」
シエルがもたらしてくれる視覚からも、反乱軍が前進するのが見てとれた。
「前進せよ!」
ヴィー従兄様の掛け声で、ゆっくりと前進を始める鎮圧軍。
徐々に速度が上がっていく両軍。
そして。
剣と剣とが交じりあった。
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――――――――ガキンッ!
――――――――ギンッ!
――――――――うおおぉぉぉぉぉっ!
剣戟の音が、大気を震わす。
戦う者たちの雄叫びが、大地を揺るがす。
戦場を駆け巡る風が、埃っぽい土の匂いを届けてくる。
「右翼はそのまま前進!左翼は留まりつつ体制を整えよ!魔術師団は指揮官を狙って統率力を下げよ!」
「……ヴィー従兄様、左翼、持ち堪えました」
「よし」
上空から見た戦場の様子を逐一知らせるのが私の役目。
シエルの目を通して俯瞰すると、様々なものがよく見える。
両軍が拮抗しているのも。
お父様やオズ兄様が騎士とともに戦場を駆けているのも。
そして、敵味方関係なく倒れていく兵たちも。
「……リリィ、お前のせいでないとは言えない。だが、お前が言い出さなければ、より多くの民が犠牲になったことだろう。だから、悲観するな。これが最良だったのだと言える結果を勝ち取ればいい」
ヴィー従兄様に目元を掬われて頭を撫でられ、ようやく自分が涙を流していたことに気づく。
「それに、リリィ1人が抱え込む必要はないんだ。私たちがいるだろう。な?」
ヴィー従兄様にこくりと頷き返し、目元を拭って前を見据える。
「そうだ、それでいい。堂々としていればいいんだ」
「はいっ!」
「よし。では、さっさと鎮圧してしまおうか。引き続き頼む、リリィ」
「はい、ヴィー従兄様!」
明日は更新できないかもしれません。
悪しからずm(*_ _)m




