帰宅
「お母様、ただいま戻りました」
「おかえり、リリィちゃん」
私はあの後、ラスヴェトにアーロンたち、各分野のトップに私が教えた技術を教えるよう頼んだ。
その間、組織員たちを総動員して建物全体の調査と清掃をしたところ、出るわ出るわ、犯罪の証拠品が山ほど集められた。
その中には貴族関連のものも多く、制裁に使えそうだったので、私のアーシャ直伝亜空間収納に全部放り込んだ。
その日のうちに帰ってきたザーシュに近侍のことを聞き、速攻で特別部隊の10人を任命、やっぱりねとザーシュに笑われた。
それで1日が潰れたので、その日はアジトでお泊まり。
翌日は生産組が頑張って、1日かけて腕輪を作ってくれた。
私とカインで手分けして魔石に魔術を仕込み、なんとか全部完成させた。
道中に狩った分の魔石じゃ足りないだろうなぁと思っていたら、アジトにたくさん保管されていたのでそれを使った。
4つの魔石にそれぞれ撮影媒体、記憶媒体、魔術媒体、通信媒体としての特性を付与し、もうひとつの魔石には制御装置としての特性を付与。
結果、写真や動画が撮れるし、遠距離通話やメールもできる、情報の保存に閲覧や共有、GPS機能、さらには魔術を使うときの補助にもなる、トンデモなものが出来上がった。
もちろん、全ての腕輪をリンクさせているので、連絡をとりたい時はこれで1発である。
完成品を見た一同は唖然。
そんなみんなをスルーし、針でプスッとやって所有者登録をしてもらい、使い方を説明した。
所有者登録をすることによって念じるだけで腕輪を操作できるし、何より親機の役割を果たす私の腕輪で人員の把握ができる。
結果、総員532名だった。
そしてまた1日が終わった。
次の日はアーロンに大まかに今後の予定などを指示し、2日かけて帰ってきたのである。
「そうです、お母様。王に近々王族が帰る、と伝えておきました」
「あら、ありがとう。連絡の手間が省けたわ。疲れたでしょう、もう下がって休みなさい」
「はい、失礼します」
自室に下がり、ぼーっとする。
やることがない。
まだ昼だというのに。
「ギルドに顔を出してくるのはどうだ?」
「行く!」
さすがラスヴェト。
私が暇を持て余しているのに気づいた上、案をくれるとは。
「んー、僕らどうしよう」
「来たいなら来ていいよ?」
「そう?じゃ、僕は行く!」
ザーシュがはいはい!と手を挙げる
「みんなは?」
「では、私は参りましょう」
「私はいいわ」
「僕も……いい……」
「私たちも」
「遠慮しておく」
「俺は行かないからな」
「俺も行かねぇでおくわ」
「私も今回は遠慮します」
ムンド以外はお留守番、と。
「分かった。じゃあ、ラスヴェト、ザーシュ、ムンド、行こう」
「ああ」
「うん!」
「そうですな」
もう既に大きめのポニーくらいの大きさに育っているグランディオに乗りながら大通りをギルドに向かっていると、次々に声をかけられる。
「嬢ちゃん!久しぶりだなぁ。最近見なかったが、何かあったのか?」
串焼き肉の屋台のおじさんだ。
「うん、ちょっと遠いところまでお出かけしてたの」
「そうかそうか、よかったなぁ。楽しかったか?」
アジトへの突入は楽しいと言えるのだろうか。
いや、その後のみんなとの絡みは楽しかったから、楽しかったでいいか。
「うん!楽しかったよ!ちょっと疲れちゃったけど」
「そうか、そんな嬢ちゃんに串焼き肉をあげよう!」
「ありがとう!」
ハグハグしながらギルドに向かう。
「こんにちはー」
「お、リリィちゃん!久しぶりだな!そしてまたなんか増えてんな!」
着眼点もはやそこなのね。
「今度は一気に2人か!」
いえ、ホントは一気に9人プラス532人です。
桁が2つも違うね。
……おや?
いつもは私が来るとすぐにすっ飛んでくるロランさんが、今日はまだ絡みにこない。
「あら、リリィちゃん。ちょうど良かったわ。ギルマスが呼んでるから、いつもの部屋に行ってね」
エラさんが言う。
なんだろう?
「うん、分かった」
ラスヴェトに抱きあげられながら2階に上がる。
グランディオとメルヴィも器用に階段を登る。
いつもの部屋に辿り着き、ノックをした。
「ロランさん、リリィだよ」
すると、中からガチャリと鍵が開く音がして、ドアが開いた。
「待ってたよ、リリィちゃん」
ロランさんに促されて中へ入ると、私みたいにフードで顔を隠した人が5人いる。
私が入り、ドアが閉まると同時に、その人たちはフードをとった。




