プロローグ2
本日二話目
「お待たせしました、お母様」
「あらリリィちゃん、来たのね。ではいただきましょうか」
食堂に行けば、お母様が既にテーブルについて待っていた。
窓から差し込む傾きかけた太陽の光を反射するキラッキラの金髪が眩しい。
細められた瞳は銀色で、柔らかに微笑んでいる。
良かった、機嫌は良い。
ちなみに私は銀色の髪にお母様と同じ銀色の瞳だ。
私の髪の色はお父様ゆずりらしい。
お母様と二人きりのテーブルに着く。
すると料理が運ばれてくる。
軽くお母様と会話をしながら3歳児の小さな手で必死にカトラリーを動かす。
ある程度お腹に料理を収めたところで、ごくり、と唾を飲み込み、本題を切り出す。
「お母様」
「なあに?リリィちゃん」
膝の上できゅ、と手を握りしめ、お母様と目を合わせる。
「お母様、私、冒険者登録したいのです!」
「いいわよ?」
「へっ?」
えっ?軽くない?
冒険者だよ?危ないんだよ?
そして私3歳児だよ?
「よろしいのですか?」
「良いに決まってるじゃない」
決まってるんですか、そうですか。
「わざわざ訊かなくても、勝手に登録しちゃって良かったのよ?」
それはないわ、お母様よ。
親の許可なく登録はしちゃダメでしょ。
「一応、危険を伴うので許可を、と思ったのです」
「兵の訓練に混ざれるくらいには闘えるのだから、大丈夫よ」
お母様は私が兵の訓練に混ざっていることを知っている。
何故私がそんなことをしているのか。
それは、冒険者になるためである!
まあ、腕前は平均的だけどね。
「それに、リリィちゃんは魔術も使えるじゃない」
魔術もまた、冒険者になるために身につけた。
ただし、私はあっちこっちのラノベの主人公たちみたいに魔術ブッパして目立ちたくない。
そのために、この館にある魔術書を読み漁って、どの程度のレベルなのか確認した。
結論。
レベル低っ!
どうやらこの世界は厨二くさい詠唱をするか、魔術陣を使うか、魔術具を使ってしか魔術を使わないらしい。
よくある魔力感知だの魔力操作だのは一切なかった。
まさか厨二くさい詠唱をしなければいけないのか。
そう思って詠唱破棄してイメージ力のみでやってみたところ。
できた。
魔力感知も魔力操作もできた。
でも、どちらにしろ、平均的な魔術師を演じるために詠唱をしなければいけないと後で気づいてガックリしたのは良い思い出……でもなかったわ。
とりあえず、頑張って詠唱も魔術陣も覚えた。
「リリィちゃんなら大丈夫よ。登録したいなら登録して構わないわ」
「ありがとうございます」
何はともあれ、冒険者登録の許可は貰えた。
その後は夕食を和やかに終え、自分の部屋に辞した。
「よし、冒険者になって逃走資金稼ぐ!」
さっそく読んでくださった方、ありがとうございます