最重要課題
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依頼完了の手続きをした後、私は館へと帰った。
シルルを目立たないようにローブの中に入れ、朝と同じ道を戻っていった。
自分の部屋に入ってすぐにベッドにダイブする。
「ふあー、疲れたー」
目の前ではシルルが楽しそうに弾んでいる。
コンコン、とドアがノックされたので、ベッドから起き上がり、入室を許可した。
「失礼致します、リリディアナ様。お帰りなさいませ。ちょうどお夕食のお時間ですよ。お召し換えをお願いします」
「はい、わかりました」
エナによって手早く着替えさせられた私は、すぐに夕食を取りに向かう。
シルルは部屋でお留守番だ。
「お母様、お待たせ致しました」
「あらリリィちゃん、お帰りなさい」
「はい、ただいま帰りました」
「では、いただきましょう」
「はい」
食事をしながら、今日の出来事をお母様に報告する。
「それで、その狼のような魔物を高く買い取ってもらえたのです」
「あらあら、さっそく活躍しているようね。でも、程々にしておきなさい」
「はい」
「あぁ、それでね、リリィちゃん」
「なんでしょう?」
「リリィちゃんに最重要課題をあげたいと思うの」
ごめんなさいお母様、嫌な予感がするのでいりません。
とは言えるわけもなく。
「えっと……その、最重要課題、とは?」
「あなたのお父様を探してご覧なさい」
それなんてウォー○ーを探せ?
むしろ○ォーリーより圧倒的に見つからないよ!
私、お父様については銀髪だってことしか知らないんだけど。
「あの、手がかりなどはありませんか?」
「そうねぇ、髪色と名前かしらね」
「髪色と名前?」
「そう。リリィちゃんと同じ髪色。名前については、リリィちゃんの名前がそのまま手がかりになるわよ。あと、お母様の名前もね」
へ?
髪色はともかく、名前?
それも私とお母様の?
頭の周りにハテナをたくさん飛ばす私を、お母様はニコニコと見ているだけだ。
結局、お母様はそれ以上のヒントはくれなかった。
自室に戻ってからもずっと頭を捻り続ける。
「名前、名前ねぇ……うーん……」
[きゅーい?]
シルルも真似をするようにプルプルボディを傾ける。
可愛い。
思わずふにゃっとしかけて慌てて思考に意識を戻す。
危ない危ない。
「うーん。私の名前はリリディアナ。お母様の名前はアリアンナ。……最後のナ?」
いや、違うな。
だってエナも最後ナだもん。
頭を振って思考をリセットする。
シルルも真似をする。
可愛い。
……じゃなくて。
「リリディアナ様、私の名前はなんでしょう?」
静かに控えていたエナが声をかけてくる。
え、記憶喪失?
「エナだよ!大丈夫?疲れてるの?」
「いえ、そうではなくてですね。では、家令の名前はお分かりですか?」
「ラシス、だよね?」
それがどうかしたの?
「では、今日お会いになられたギルドの方の名前を挙げてみてください」
「え?えーと、ラドさんとロランさん、それにエラさんとリックさん……あ」
「お気づきですか?」
「うん!男の人は名前が”ラ行”で始まって、私とお母様以外の女の人は名前が”エ”から始まってる!」
「それは偶然ですね。そうではないです」
エナにバッサリ切られる。
いや、冗談だよ。
「私とお母様は名前が長くて、みんなは短い」
「それです。あとはご自分で考えてみてくださいね」
さて、問題です。
西洋で名前が長いのはどういう人でしょうか?
そして、わざわざそれを念押しするのはどういう場合でしょうか?
……正解は貴族とかの身分が高い人が名前長いってパターンだよ!
やってらんないよ、もう!
私どっちにしろ貴族かよ!
なんで貴族が攫われてるのさ、お母様!
「エナ」
「はい」
「私、元から身分高いの?」
「そうですね、とても高くていらっしゃいます」
そう、とても高くていらっしゃるのね……。
辺境伯の使用人が高いって言うんだから、侯爵以上だよね……。
まじかぁー。
私、お貴族様とか性にあわないんだけど。
っていうか、その前にお父様を特定しないとね。
いったいどれだけ時間がかかることやら……。
実はリリィちゃんはとても高くていらっしゃるのでした




