初依頼でやらかした
声も上げずにドサドサッとくずおれる狼たち。
よしっ。
……じゃねぇ!
全然よくないよ!
やっちまった!盛大にやっちまったよ!
恐る恐る振り返る。
「これは……」
「うわぁ……」
「瞬殺……」
お3方が呆然としていた。
その視線はだんだん下がり、私は6つの目に見つめられる。
そんな私は。
「えぇっと……やっちゃった☆」
てへっとばかりに誤魔化すことしか出来なかった。
「あの、内緒ね?」
「……ロランには報告するからな」
さすがのラドさんでも誤魔化されてくれなかった。
「はぁ……。他言無用だ、いいな?」
「「は、はいっ!」」
こういうところはサブマスらしいんだね。
「にしても、なんでこんなとこにDランク相当が……」
あ、そうだ。
「ねぇ、ラドおじさん」
「だから、おじさんじゃ……もういい、好きに呼べ……」
お、とうとう折れた。
じゃなくて。
「今ギルドにはどのランクがどれくらいいるの?」
「はぁ?今は関係ねぇだろ」
「いいから」
「……Gランクはお前だけだ。HもFもEもいない。Dがパーティが3つ、Cはパーティが6つ、Bはパーティが7つ、Aがパーティが2つ、Sは1人だ」
「少なっ」
「うっせぇよ、仕方ねぇんだ。今各地で魔物の活性化が報告されててな、冒険者たちはその調査やら討伐やらで出払ってんだよ。それに、元々ここは深淵の森があるせいで低ランクが少ねぇしな。冒険者を始めるには向いてねぇんだ」
なーるほど。
つまり。
「あの狼たちは冒険者が減ってるのと、魔物の活性化が原因でここまで出てきたわけか」
「はっ?」
「あの狼たち、怪我してた。しかも治りきってなかったよ。あれって縄張り持ってるタイプの魔物だよね?なら縄張りから追い出されたんじゃないかな?もっと強い魔物にさ。冒険者今減ってるんでしょ?たぶん、魔物、全体的に増えてるよ。活性化して強くもなってるかもね」
「なんっ!?お、おい!すぐに戻るぞ!」
「その前に討伐」
「んな事やってる場合か!さっさとロランに報告」
「今すぐに危険があるわけじゃない。それに可能性の話だし。冒険者が減って魔物が増えてるんだったら、その分討伐すればいいんだよ。そしたら危険も減るしね。だから討伐が先」
若干パニックになったラドさんの言葉を遮り言葉を重ねる。
はい、論破。
なんちゃって。
「……わかった、狩るぞ」
うん、落ち着いたね。
ってことで。
「まずは狼の解体ね」
「んあ?必要ねぇよ。ほら」
そう言って小さめの革袋を取り出して狼に近づくラドさん。
狼の尻尾を掴み、袋の口に近づける。
次の瞬間、狼は明らかに入らないはずの袋に吸い込まれていった。
……おう、マジックバックですか。
ラドさんは別の狼も次々に回収していく。
結局、狼は12頭いたらしい。
そのうちの8頭は私が狩ったやつ、と。
たはは。
やっちまったなぁ。
リリィさん、3歳児の皮が剥がれかけてますよ




