表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

届いたメール

お久しぶりです、りりです!

だいぶ更新が遅くなってしまいました!(。-人-。) ゴメンナサイ 手島くんとのデート中に詩音から届いたメールに、彩良は……というお話です!!

 詩音しおんからメールが届いたのは、手島てしまくんとのデートを始めてから少し経った頃のこと。

 そのとき、わたしは手島くんとの間に流れていた気まずさをようやくなくせたときだったし、そもそも前に気まずくなったのってわたしが詩音のことばっかり考えすぎてたせいだし……。


 だから、あんまりメールを見るのに気乗りはしなかった。

 それでも、メールの内容はやっぱりずっと気になっていて。


 手島くんが映画のチケットを買ってくれている間に思わず確認してしまった。そこには、詩音にしては長い文章が書いてあって。


『触れることはゆるされない


 だからずっと見てた。


 でも、もう無理。


 ごめんなさい、そしてありがとう。』


 …………、なに、これ。

 たまに書いてるポエムみたいなやつなのか、それとも、また別の何かなのか……、どっちかわからない。もしかしたら、不意にこういう文章を思いついたのかも知れない。それで、わたしに送ってきたのかも知れない。

 だけど、たぶんそれだったら一緒に『こういうの思いついたんだけど、どうかな』とかそういう文面も添えられていることが多いみたいだ。

 届いたメールは、それだけ。

 その前にもその後にも、あの文章を補足するようなメールは届いていない。

「…………、どうしたの、詩音? 何があったの?」


『どうしたの?』

『詩音?』

『ねぇ』

『詩音!』

『何があったの?』

『どうかしたの?』


 思わず何件も送ってしまったメッセージの、どれにも返事がない。いつもだったら何をしてても、どうにか隙を見つけて――ほんとにどうやってるのかわからないくらい上手く時間を見つけて――そう遅くならないうちに返事をくれる。

 それなのに、メールは返って来なかった。


 …………何があったの?


 携帯を持つ手に、つい力が入る。詩音のことも気になるけど、今は……。

「ん、どうかしたの?」

 迷っていると、チケットを買って手島くんが後ろから声をかけてきた。え、と言いながら振り向くと、手島くんが少し不安そうな顔をしながらわたしの顔を見ている。

 何て言ったらいいかわからなくなっていると、手島くんが小さな声で口を開いた。

「あ、あのさ……、何か用事あった?」

「――――」

 一瞬、言葉に詰まってから。


「ううん、何にもないよ?」

 笑顔を作って、そう答えた。だって、今は手島くんといるんだから。それに、詩音だって「仲直りできるといいね」なんて言ってわたしを送り出したんだから……、だから、だから。


 だから、これでいいんだ――そう思い込んで、手島くんのとってくれたチケットに従って、第4シアターに足を進める。それから、シアターが暗くなって、カメラの人が画面に出てきて、携帯電話を切るように促す注意書きが画面に出て。

 わたしは、少しだけ迷ってから。

 携帯の電源を切った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ