夕焼けの待ち合わせ
こんばんは! 今年初めての投稿をしました、漓莉です♪
すごく間が空いてしまいましたが、6話目を投稿しました!
よろしくお願いします!<(_ _)>
「えっと……、久しぶり」
「うん。久しぶり、彩良」
迎えた、約束の日。
何日かぶりに見た手島くんは、それまでとはどこか雰囲気が違って見えた。
何かあったのかな?
そう思っている間に手島くんはわたしの目の前に立って、にこやかに笑いかけた。
「――――――っ!?」
なんでだろう。
最後に会ったとき、あんな別れ方をしたのに。たぶん、わたしは彼に酷いことを言って別れた。それでも、こうやってまた会おうって言ってくれて、今はこうして笑ってくれている。それって、すごく難しいことのような気がする。わたしは、ずっと気になってたのに全然そうできなかった。
だから、こうしていてくれる手島くんはすごいんだな、って思うのに。
なんでだろう。
なんで、こんなに気持ちになるんだろう。
そんな彼がちょっとだけ怖い、なんて。
「じゃ、行こうか!」
わたしのそういう気持ちなんて知らないとでもいうように、手島くんは明るい笑顔でわたしの手を引いて歩き始める。その歩き方も少しだけ早足になっているように感じて、それがどこか不安で。
「あ、あのさ手島くん! えっと、どこ行くの?」
「んー、着いてからのお楽しみ!」
その明るさにも、違和感があって。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。頭がぐるぐるになって、わけがわからない。
こんなの、全部が全部初めて過ぎて、わかんないよ。みんなも、こういう感じなの? そう訊きたくなって、真っ先に詩音の顔が浮かんで。
こんなとき、詩音ならどうするんだろう?
詩音なら、きっともっと、こういうときに男の子が喜ぶような反応をできたりするのかな? そんなことを考えて、また頭がぐちゃぐちゃになった。あぁ、何かいろんなことがどうでもよくなりそうだ。
何があっても、最後に何とかなればいいや。
そうやって半分開き直ったところで、手島くんが足を止めた。
「えっと……、いや?」
「えっ?」
「何かさ、ちょっとこういうのよくわかってなくてさ……。どうすれば、前みたいに戻れるかな、とか色々考えちゃってて……、あ、えっと」
途端に気まずそうに視線を泳がせる手島くんの姿に、少しだけ安心した。たぶん、わたしたちはおんなじだったんだ、って。
「いやだったら、また今度とかさ、」
「大丈夫だよ」
そう思ったから、本心でそう言えた。
安心したような顔の手島くんは、自分でそうしようって意識してたときよりよっぽど前みたいな、一緒にいて安心できる雰囲気に戻っていた。さっきみたいな、別人みたいになった不安もどこにも感じなくて、何となく、やっと久しぶりに会った感じがしていた。
駅前のロータリーと、そこからしばらく続く狭い路地を抜けて、広くて明るい大通りに出る。
そのとき、携帯の通知音が小さく鳴った。