始まりの夏
こんばんは、神崎漓莉です!
遂にはじめての作品を投稿できました♪ よろしくお願いします!!
ただのクラスメイトだった彼に告白されたのは、夏休みが目の前に迫った、少し暑い日のことだった。
わたしを含めて多くの生徒を悩ませた(徹夜での勉強がほんと辛かった……)期末試験も、ただ流していればどうにかなる毎年恒例の球技大会も終わって、あとは高校に入って2回目の夏休みを迎えるだけ。
そう思っていた、終業式前日の放課後。
幼馴染みの詩音に連絡して、もし時間とか都合が合えば一緒に帰ろう……そんなことを考えながら帰り支度をしていたら、不意に呼び止められて。
「え、手島くん、どうしたの? 」
「前から好きでした、付き合ってください!」
緊張した面持ちで言ってきたその言葉は、いまいち現実味がなかった。
手島くんとは高校に入ってから知り合って、趣味が合ったこともあってそれなりに友達付き合いをしてきた仲だった。女子の友達と同じ感じで一緒に遊んだり、時々は愚痴みたいのをこぼしたり。
気を許せる相手ではあったけど、恋愛対象として意識したことは1度もなかった相手。
だから、まず芽生えたのは「どうしよう」という気持ちだった。
別に嫌いなわけでもない。たぶん、手島くんのことはけっこう好きだ。
でも、それはあくまで何でも話せるから、という「友達」としての好きで、全然そういう意識は持っていなかった。
「えっと、いつから……?」
「はっきりわかんないけど、わりと前から」
やっとのことで出した言葉にも、そんな声が返ってきて。何が何だかわからないうちに、思わず頷いていて。
そんな風にして、わたしに初めての彼氏ができた。
「……っていうわけなんだけど」
『へぇ~。よかったね、彩良ちゃん! これで今年の夏休みは「周りのリア充っぷりを見せつけられる~」とか言わなくて済むね♪』
「うわ~、すごい言われよう。うん、まぁそうなんだけどさぁ……」
何だか急に付き合うとかそういう話になったから実感もないし、あるとしても戸惑いだけだ。
それで、詩音に話してみたけど、電話向こうの幼馴染みは昔のことを言い出して笑うばかりだ。
『……、頑張ってね。彩良ちゃん可愛いし優しいから、たぶんうまくいくよ。応援してる!』
ふと笑い声を止めてそう言う詩音の言葉が妙に照れ臭くて、慌ててその話は終わりにした。
違う話題になってもしばらく初カレの話でいじられたりしているうちに時間は過ぎて。
それからあっという間に、夏休みは訪れた。