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ゼロの箱舟  作者: レレイナ
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ちょっとした歴史

21世紀も半分過ぎたという。


技術の進化はこれ以上もないくらい早かった。

2000年前半のうちに電話は小型化し続け、後半になった時にはすでに電話という存在がなくなったーーーいわゆる骨董品、あるいは遺物ともいうーーー。


別に遠距離で人と話す必要がなくなったからというわけではない。

遠距離であろうとなかろうと、声のみで連絡を取り合う必要がなくなったからである。


テレビというものはまだ生き残っている。

その用途は情報拡散を主にしているが、それも災害時くらいだろう。

なにせ、低コストで運営でき、かつ、コスト以上に情報を乗せることができるからだ。


なぜこうなったかというと、2010年代後半に市場に出回り出したVR技術がそもそもの始まりである。

当時の時点でグラフィック能力というものはほとんど人間と大差ない表現をするものとなっており、頭打ちに近い状態になっていた。そして、ある時出回り出したVR技術を用いたモノは一部の者たちに圧倒的人気を持って受け入れられた。


そう、一部の男性陣とさらに少数の女性にである。

東京のよくわからない学園都市の名前のついた駅があったり、カートを引いて街を歩き、電車に乗れば紙袋の中身を散乱させたという人々といえばわかるだろう。


そして、この手の技術の進歩に関して、時折化け物じみた情熱を見せる人々ーーすなわちオタクと称されるーーは、しばしば軍事と呼ばれる分野の先駆けとなる。


わかりやすい例を挙げるのであれば、インターネットが一番に来るであろう。

そもそも、インターネット自体、軍の大容量通信技術という軍事技術を民間に開放したような代物である。そして、それが利用可能になった時、その利便性に気がついた時、いち早く拡散していったのである。

情報量という一点において、当時、非常に優位なものであった。

そして、一部の人々によって、まあ、なんというか、どうしようもない用途で使われ出した。


要するに、エロである。


当時の男性諸氏と一部の女性ならば理解するであろうが、そういった欲求はいささか恐ろしいものを感じる勢いで増大し、とどまるところを知らないのである。


そんな奴らが、いち早くそういったものの利便性に気がつけば、瞬く間に広がっていくのは道理であろう。


ちなみに、一時期流行った3Dテレビでも、その現象が起きている。部分的に立体化した映像のものが出回ったりもした。・・・商売人はすごいものだ。


まあ、そんなことがあって、VRも似たような理由で出回り始め、一部の者たちが熱を上げ始めた。

現在に至るまで第一線を占めている企業の創始者の第一声が


「理想の女の子を作り上げて、会いに行こう!」


である。


まあ、正直バカじゃないかこいつ?とか、そんなふうに思うのが普通であろう。

だが、いかんせん、そんなバカが世界を回す。


20年頃には視覚情報のみの脳内投影型のVR技術を完成させた。

まあ、この時点では、いわゆる触るとかそういった関連のフィードバックは行なっていなかった。ただ、見て、目の保養にし、自身の糧とするのみであった。

だが、オタクというものたちはやっぱり恐ろしいわけで。


「つ、次は触れるように!」

「よし、彼女とアーンしたい」

「そして、ゆくゆくは・・・彼女とピーしたい」


とか、まあ、そんな感情を理由に開発を推し進めていった。

当時はそこそこAIというものは発展しつつあったが、彼らの欲求はその面においても大きな情熱を持って発揮され、一気に10年分の時代を進めたと言えるものであろう。


そして、彼らの欲求は脳内への介入を行いつつ、すべての情報を一個人へと反映し、それを全国レベルで普及させるものを作るに至った。ーーー創始者はすでに60という大台に乗っかっていた

ーーー。


世間では「VR創生時代」とよばれる時代の始まりであった。


凍え死ぬような目を向けられつつも開発を進めるオタクたちは、いつしか、起業し、その手の分野の科学者たちを巻き込み、政府を巻き込み、世間への理解を得て、多くのクリエイターを味方にし、ついに完全実用化させるに至った。


そして、初の完全な形として完成されたVRゲームが発売される。


その名はーーー。

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