12章 連れ去られた場所
目が覚めるとそこは豪華な部屋だった。
「なんなんだ・・・ここは?確か俺は気絶させられて・・・。ということはここはあの黒い鎧の奴等のアジトか?」
レオンが考えていると、後ろからレオンの疑問の『答え』が投げかけられる。
「残念ながらそれは間違いだよ。僕は“あいつら”とは目的が違う。」
声のした方向、部屋の隅を見ると、18歳くらいの黒髪黒目の青年が壁に寄りかかっていた。
「!? いつからそこに居た。」
レオンは咄嗟に身構える。
「そんなに警戒しなくてもいい。とりあえず自己紹介をしておこうか。僕はファイラ・エンディー。アリア帝国の皇帝さ。」
「アリアの皇帝だと・・?一体何が目的だ。」
「それはいえないな。ただ、君の“力”が必要だ。僕たちに協力して欲しい。」
「目的も分からない相手に協力なんてできるわけ無いだろ?第一メリットが無い。」
「メリットならあるさ。調査によれば君は10歳までの記憶が無いと聞いている。」
そこで、ファイラは白い十字架のようなものを取り出す。
「だが、我々の持つ伝説の武具の1つ、“復元の記録”なら君の記憶を元に戻すことができる。」
「それは・・・本当なのか・・・?」
「もちろん。なんなら先払いしてもいいよ?」
「・・・わかった。協力しよう。」
「ありがたい。じゃあ早速記憶は戻してあげるよ。」
そして、ファイラは復元の記録をレオンの額に当てる。
「失われしもの、壊れしもの、消え去りしもの、全てを復元する十字架よ、彼の記憶を直したまえ。」
すると復元の記録から眩い光が放たれ、レオンの頭に膨大な量の情報が入ってくる。