10章 騒動
しばらく休み、体力、魔力を回復させるとレオンはエンディミオンに戻るために“門”を開く。
「我・魔力によって空間の法則を変え発動する。開け、ワールドゲート。」
3メートルほどの黒い門が現れ、それを開き中に入るとそこはクラウディとの合流場所である人気のないエンディミオン魔法都市の郊外だった。
「意外と遅かったな。」
背後から声がかかり、振り返る。
「新しい太刀を買うの忘れててちょっとてこずったんだよ。しかも『姿開放』も使ったしな。」
「『姿開放』を使わなきゃいけないくらいの相手が“迷いの森”に?」
「ああ。小型の龍とサイクロプスが居た。龍のほうはフラッシュで撒いたんだがサイクロプスがなかなか手ごわくて・・・。 それよりそっちはなんか成果があったのか?」
「もちろん。とりあえずあの2つは本物に間違いないことが分かった。それと街でちょっと聞いたんだが南のアリア帝国が戦争の準備をしているらしい。どこを狙うのかは分からないけど一応警戒しておいたほうがいいと思う。」
「やっぱりあの2つは本物か・・・。ところでその話長老に伝えなくていいのか?聖地はエンディミオンの平和維持とそのための人材の育成を行ってるんだろ?だったらアリア帝国がここに攻めてきたことを考えて準備をしておかないと。」
「その心配はないと思う。聖地にはかなり優秀な人材がそろってるし、この話ももう知ってるだろう。」
「そうか。ならいいけど。」
そういってレオンたちは魔法都市にある宿へと歩き出す。
しばらくすると何者かが自分たちを追っていることに気づく。
そこでレオンは宙に魔方陣をえがく。
「我・周囲を見通す瞳を欲す。サーチアイ、発動!」
魔方陣から眼が出現し、レオンの意識と魔方陣から出現した眼がリンクする。
そして半径500m以内のものを見通す。
「まずいな・・・。クラウディ、囲まれたみたいだ。」
「みたいだな。徐々に気配が近づいてくる。」
その直後、四方から鎧の胸のあたりに杖と剣が交差したようなマークがある黒い鎧を着た者たちが出てきて、レオンたちに剣を向ける。