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俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件  作者: ななお


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第一話「放課後の教室」

 窓枠に切り取られた夕焼けが、赤橙色に教室全体を染め上げていた。

 西日が机上のプリントに影を落とし、ペンケースの金具がきらりと光る。

 俺は数学の課題プリントを前に、小さくため息をついた。


「……わからない」


 文字通り、まったく理解不能だった。

 先生が授業中に何を話していたかさえ記憶に残っていない。


 放課後の教室には、もう俺しか残っていない。

 運動部の掛け声がかすかに聞こえてくるけれど、それも遠い世界の話だ。

 家に帰ってやってもいいけど、家にはゲームや小説など「誘惑」が多い。

 だからこうして学校に残って課題に取り組むのが、俺なりの集中法なのだ。


 そんな時だった。


「あれ?山田君まだ居たの?」


 教室の扉を開けたのは天宮瑠璃だった。部活中なのかブレザーの制服ではなく動きやすいジャージ姿だ。

 しかもタオルを首にかけて汗を拭いている姿が妙に爽やかで眩しい。


「あ、うん。ちょっと課題が難しくて……」


「え!?数学って課題出てたっけ!?」


「出てたよ。明後日提出だから今日進めようと思って……天宮さんはどうしたの?」


「いや~教科書を忘れてきちゃってさ。休憩中に戻ってきたわけ」


 言いながら彼女は自分の席まで小走りで行き、机の中にあった教科書を取る。

 その時——。


「あっ!」


 突然バランスを崩した天宮さん。机の脚に自分の足を引っかけてしまったらしい。

 前のめりになりながら、咄嗟に俺の肩を掴んできた。


「危なっ……!」


 予想外の接近。

 至近距離で見る彼女の瞳は想像以上に大きくて澄んでいた。睫毛が長くてまばたきすると音がしそうなくらいだ。

 そして何より——近づいたことで感じる女の子特有の香り。


(あ、ダメだこれ)


 理性が吹き飛びそうな自分を必死で抑える。

 今すぐ離れないと、この心臓の鼓動が聞かれてしまいそうだ。


「ご、ごめん!ありがとう!助かった~」


 幸いすぐに離れた天宮さんの笑顔はいつも通り無邪気だ。

 どうやら何も気づいていないようで安心する。

 俺だけがバカみたいに焦っていたようだ。


「本当にごめん。怪我しなかった?」


「だ、大丈夫だよ……」


 動揺を悟られないよう平静を装う。


「よかった!じゃあ私戻るね!勉強頑張って!」


 颯爽と去っていく天宮さん。

 嵐が過ぎ去った後のように静まり返った教室には、再び沈黙だけが残された。


(何だったんだ……今の)


 胸に手を当てると、まだ心臓はどくんどくんと脈打っている。

 顔が熱いのは西日のせいだけじゃないだろう。


 そして天宮さんと入れ違いで白石さんも教室に入って来た。


「山田君?まだ居たんですね」


「あ、はい……課題が終わらないから」


「そうなんですか……もし良かったら、手伝いましょうか?」


「え!?」


 突然の申し出に思わず大きな声が出た。


「あ……迷惑でしたか?」


「いやいや違う!むしろお願いしたいんだけど、その……本当に良いの?」


「もちろんですよ」


 白石さんは優しく微笑んだ。


(嘘だろ……これは夢か?)


 陰キャの俺に天使が降臨するなんて。

 しかも今日だけで二人も。

 一日に二回も女子から声を掛けられるなんて、奇跡に近い。

 いや、異常事態だった。


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