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61話 語られる真相

「レノム騎士団長!しっかりしてください!」


 一行の姿は既に見えた状態となって、セリーザの魔法は解除されている。酷い怪我を負っているレノムへ、プレインは必死に呼びかけた。


「ぐ……誰、だ……?」


 レノムの意識はあるようで、彼は俯いていた顔を上げる。


「お前達……何故、此処にいるんだ……!?」


 傷つきながらも、レノムの顔には驚きがあった。いるはずの無い者達が目の前に立っているのが見えれば、当然の反応だろう。


「貴方が魔族と繋がっているって疑いを聞いて、本当にそうなのか聞きに来たんだよ」


 傷を負って繋がれている騎士団長に、ティアモは真っ直ぐ見据えて真相を聞く。彼が魔族と繋がっているのか、それとも違うのか。



「俺はこのオルスタ王国で育ち、家は代々騎士として王国に尽くしてきた……。全ては王国の為に尽くして王をお守りした……」


 レノムの王国に対する想いが語られ、その想いはガットにも伝わる。彼が以前に自分をやたら怪しんだりしていたのは、見知らぬ者から王や国から守る為に目を光らせただけに過ぎない。


 今の彼を見れば、何となく思えた。全部王国を守る為に、そう思えばガットの中で疑問が生じるが、この後にレノムは言葉を続けた。


「その俺が王国を裏切るなどあり得ん……!魔族と繋がりを持った事など一度も無い……!」


 本人の口から疑いをハッキリと、否定する発言が飛び出す。これだけの傷を負って、明日に処刑される身の者が此処に来て嘘を言うとは考え難い。


「レノム騎士団長、ではやはり貴方は……陥れられたんですね」


「そうなるな……俺を嵌めたとしか思えない」


 騎士団長がそんな事をするはずがないと、固く信じていたプレイン。本人の口から聞けて、安心した表情となっている。


「けど嵌めたって誰がやったんだよ?あんたを恨んでる奴とか、だよな?」


「仕事柄、裏の人間からは恨まれているかもしれないが……」


 サラはレノムに陥れそうな恨みある人物に、心当たりはあるのか聞けば、彼の方は犯罪者などの裏の人間ぐらいだと思っていた。


「しかし、皆はレノム騎士団長が魔族と親しげに話しているような所を目撃したと言っていますが……貴方、実際魔族と会って話しましたか?」


「馬鹿な……!魔族と会ったら即刻たたっ斬っている……俺は会ってなどいない……!」


 シャイカの問いに対して、レノムは会っていないと断固否定。そうなると目撃談と大きく矛盾している事になる。


「何か、おかしくありませんか?」


「うん。本人は会った覚えが無いのに、城の人達は多くがレノムと魔族が話しているのを目撃したと言っていた。おかしいよね?」


 大きな食い違い、これが一体何を意味するのか、どうしてそんな事が起きたのかガットとティアモは考え込む。


「話していたとすれば、城の者達ぐらいだ。そこで談笑はしていたが……」


「!それだ!」


「な!?」


 レノムか自らの行動を振り返り、思い出して語っているとティアモは勢い良く彼を指差した。



「魔族はその場にいなかった。でも存在したんだよ」


「は……?」


「なんだと……?」


 突然謎解きのような事をティアモに言われ、レノムやプレインは呆然とする。


「魔族はいなくて存在した?勿体つけてないで答えを言ってくれよ」


 今は謎解きをしている場合じゃないと、プレインが答えを求めた。それにティアモはコホン、と間をおいてから話す。



「幻惑魔法だよ。それで人が魔族に見えるようにしたんだ」


「!?しかし、俺はそんな物をかけられた覚えは無いぞ」


 原因は幻惑の魔法をかけられたせいだと言うティアモに、レノムは魔法にかかった覚えは無いと言い切る。騎士団長として、魔法に自らかかってしまえば異変にすぐ気づくはずだ。


「そりゃレノム騎士団長本人にかける必要は無いからね。かけたのは目撃者の方、それで魔族と話している所を見せたんだ」


「目撃者……あ!その人に魔法をかけて、そういう場面を見せれば!」


「そう、めでたくレノム騎士団長が魔族と仲良く話している場面の出来上がりという訳さ」


 目撃談は作られた物。これが本人も知らぬ間、魔族と会っていたという事にされてしまった話だ。


「まぁでも結局これ僕が言い張っただけで、それだけでレノム騎士団長が無実って証明にはならないだろうけどね」


「だとしたら……結局やべぇままじゃねーかよ」


 サラの言うように状況は変わらない。これが真実だったとしても、ティアモの話を皆が信じられなければ、何も変わりはしないだろう。


「しかも、誰がやりそうなのかですよね。裏の人間の誰かといってもかなりの人数がきるはずですし」


 レノムが恨みを買ってそうな犯罪者達。裏の人間といっても数は山程居る。そこから犯人を見つけ出すのは、かなりの骨だろうとシャイカには途方も無い作業に思えた。



「誰がやりそうか……まさか……!?」


 その時レノムはハッと気づく。自分に対して、このような事を行いそうな者が浮かんだらしい。


「誰か浮かんだのか?」


 セリーザが心当たりがありそうな彼に、誰なのか問う。


「この城の守りは厳重だ。裏の者が関わろうと、おいそれと侵入して細工を施す事は出来ない。だが……」


 騎士団長として城の守りが、いかに強固なのかは知り尽くしている。ただその守りを容易に突破する手段はあった。


「内部の者による協力さえあれば、我々の目を掻い潜って仕掛ける事は可能かもしれない……」


「内部の者って、それはつまりオルスタ城にいる誰かがやったって事かよ!?」


 同じ城にいる者の仕業。その可能性が浮上すると、サラの顔は驚きへと染まる。


「誰がやったのか……分かりそうですか?」


 ガットがレノムを見て聞くと、彼の表情はとても苦しく、言いづらそうだった。しかしやがてレノムは、重い口を開いて一行に犯人かもしれない者を告げる。



「……オルスタ王、だ」

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