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54話 VSワイバーンの大群

「ワイバーン、て確か……ドラゴンですか?」


 現在ガット達は揺れる場所の中に居た。リーゾ王国の南西でワイバーンの大群が出たという、目撃情報を元にロックウェル家の用意した馬車に、乗り込んで移動してる最中だ。


「古から存在する方のドラゴンとは、また違うタイプの竜だな。力は劣るが、それでも魔物の中では強大な力を誇ると言われている。ガーゴイルの重量級のようなもので、口から吐くブレスの攻撃には特に注意すべきだ」


 この中でワイバーンについて、最も詳しいセリーザは特徴を一行へ話していく。


「なかなか歯ごたえありそうな相手じゃねーか」


「しかも大群と来ますか……これはかなり骨が折れそうですね」


 腕が鳴るとサラは拳を鳴らし、その隣でシャイカは手強そうだと難しい顔を浮かべる。


「ガット君はまだ魔法が使えるようになって間もない。後方に下がってシャイカと共に戦況を見守った方が良い……で、良いのかなリーダー?」


 このパーティーのリーダーがマーヴェルというのを忘れる事なく、ティアモはガットを下げた方が良いと言った後で彼女に意見を求める。


「優秀なようで助かりますわ」


 その作戦で問題ないと、マーヴェルは優雅に扇で自身を扇いでいた。そうこう言ってる間に、馬車はワイバーンの目撃地点へ到着したようだ。



 周囲は岩場となって山もある。此処にワイバーンが居たとされる場所らしいが、今の所は魔物達の姿が見えない。


「此処を住処としているなら、戻って来るかもしれない……奴らはこういった場所を好む所があるからな」


「てなると家に帰るようなもんかー」


 周囲の様子をティアモとセリーザは注意深く見回して、向こうの不意討ちにも備えていた。



「……!」


 そこにサラが何かに気づき、表情が引き締まる。


「サラさんどうしたんですか?」


「しっ、少しだけど……バサバサって羽ばたくような音、それと何か鳴き声が聞こえた」


「……ああ、これはどうやら当たりのようだぞ」


 ガットの問い掛けに答えながらも、サラは耳を澄ませて音を聞き分ける。そこにセリーザも加わり、聞けば音の正体に気付いた様子。


「主にあっちからか。シャイカ、ガットと共に下がれ」


「しっかりとお守りしておきますのでご安心を」


 音の方向を聞き分け、セリーザは2人に下がるように言う。その直後に魔物達が姿を見せる。



「カァァーーー!!」


「オオオーーー!!」


 上空から雄叫びを上げながら、翼を広げた翼竜が現れた。大きさはガーゴイルよりもあって、硬い鱗に覆われている。


 見るからに敵意剥き出しで、一行を狩るべき獲物と見て襲いかかって来た。


「来たか!片っ端からぶった斬ってやる!」


「相手は空飛んでるから気をつけてね!」


 それぞれ武器を構え、ティアモとサラは言葉を交わした後に行動を開始。


 この時、一匹のワイバーンは大きく息を吸い込んでいた。


「!ブレスが来るぞ!」


「!」


 セリーザの言葉に全員が反応。


「カァァァーーー!!」


 ワイバーンの口から炎のブレスが吐き出され、それはマーヴェルを飲み込まんと迫る。


「この程度!」


 軽いとばかりに、マーヴェルは左に跳躍してブレスを避ける。紫のドレスを着こなす貴族の動きとは思えぬ、戦闘の動作をしていた。


「ブレイズ!!」


 その直後にすぐ反撃の炎魔法を放ち、青白い炎の玉が上空のワイバーンに迫る。


「ガァッ!」


 炎の玉がワイバーンに命中するも、飲み込んでくる蒼き炎をワイバーンは自力で振り払う。さほどのダメージは無さそうだった。


「どうやら相手、炎の魔法に滅法強いみたいだよお嬢様!」


「そのようですわね!また息を吸い込んでますから第二波が来ますわよ!」


 相手の魔物は炎の耐性を持ち、炎魔法を得意とするマーヴェルにとって最も相性の悪い相手。ティアモの声に答えながらも、ワイバーンのモーションを見てブレスだと気づき、皆に注意せよと伝える。



「くっそ!」


 サラは岩の上に飛び乗ると、そこから勢い良くジャンプ。そのまま大剣を振るってワイバーンに攻撃。


 しかしワイバーンは更に上へ飛んで、サラの大剣を躱していた。


「うおお!?」


 思わぬ攻撃の空振りに、サラはバランスを崩して地面に落下していく。


「ウインド!」


 そこへセリーザがサラの真下に風を発生させ、上から強く吹いてくる風で落下スピードを弱め、その間にサラは体勢を立て直して着地に成功。


「助かったぁ!セリーザありがとなー!」


「気をつけろ、ワイバーンは相当手強く知恵も回るようだぞ!」



「炎が効かない……あの翼のせいで自由に飛び回られ、こちらの攻撃が上手く決まりませんから厳しいですね」


 人数が増えてこちらの戦力は上がっているが、今回の魔物は手強く一筋縄ではいかないとシャイカはガットを守りながら、戦況を分析する。


「……翼をなんとかすれば、行けそうでしょうか?」


「ええ、あれがワイバーンの大きな武器と言えますから」


 翼をどうにかしてワイバーンを自由に飛ばさなければ、戦況は変わるかもしれない。シャイカの言葉を受けてガットは静かにイメージする。



 空を支配するような荒々しき風を。

次回、ガットがまた覚醒します。

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