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51話 冒険者になってチームに入る

「(まさかまた此処に戻るとは思わなかった……)」


 ガットの目の前に見えるのはリーゾ王国城下町の風景。つい最近見たばかりに関わらず、少し久しぶりに感じた。


 この町にはマーヴェルやその追手から逃げ出し、二度と訪れる事は無いと考えられたが、今回そのマーヴェルと共に戻って来る形となったのだ。


 ちなみにこの町に入る時は、その大貴族が共に居るのを見た門番達が慌てて通し、難なく入る事が出来た。勿論ティアモ達も離れず共に居る。


「何故また此処に?」


「ギルド手続きの為ですわ。ガット君達には私のチーム、クイーンロックウェルの一員となっていただきます」


 マーヴェルがリーゾ王国にガット達を連れてきた理由、彼らを自分達のチームとして登録する為だ。


「自分で言うのもなんですが、私のチームは高い名声を誇り実力は世界トップクラス。遅かれ早かれ魔王に狙われてもおかしくなかった」


 魔法の才能において、右に出る者はいない。それを自負しており、白兵戦においても一流。そのマーヴェルを中心としたクイーンロックウェルはかなり有名である。


「その一員だったファラリスや他の者を貴女方が叩きのめしてしまったので、活動が無理になってしまい彼らの代わりに登録し直してもらいますわ」


「え、その人達はどうなるんですか?」


「もうその一員じゃなくなる。私の方では何時もの事で、力ある者が私と共に居る事が許される……そういったチームなので」


 今回の事でファラリス達はマーヴェルのチームから外れ、落とされる。それがクイーンロックウェルの日常だ。


「それに、色々と面倒な手続きも私が居ればゴリ押しで通せますし、ガット君も難なく新米道具使いの冒険者となれますので」


「何かそれは……悪い気がしますね」


「悪い事葉何もありませんから、全ては私に任せて身を委ねても大丈夫です(なんでしたらベッドでも私に全て委ねても良いですし♡)」


「(今何か、良からぬ邪な感じがしましたけど!?)」


 色々悪いのではないかと思うガットに、マーヴェルは笑顔で大丈夫と言い切り、心ではやらしい事も考えていた。それを察知したのか、マーヴェルの見えない背後でシャイカは怖い顔で睨みつける。


「クイーンロックウェルとかセンスねぇなぁ」


「自分主義で品が感じられん」


 サラやセリーザからはチーム名が不評のようで、かなりの辛口が飛んで来た。


「まー、とりあえず良いじゃん?彼らをやっつけて冒険者としてやっていけなくさせた僕達がその代理をやるって事でさ」


 魔王を倒す時まではそれで行こうと、ティアモは皆を納得させようと明るく笑って声を掛ける。ファラリスを倒した責任、というつもりは正直無いが、魔王に辿り着く為ならその一員ぐらいやってやろうと既に決心していた。



 ガット関連以外ではあまり、チームワークのよろしくない彼女達はガットと共に冒険者ギルドへ向かう。


 ギルドの場所は大きな建物で分かりやすく、武装した冒険者がそこに集っているのが見えた。看板には剣同士を交えたような物で、これが冒険者ギルドの看板となっている。


「マーヴェル様だ……!」


「今日も麗しい……!」


 皆がマーヴェルの存在に気づき、道を開けていく。これだけで彼女がこの場においてどういう存在なのか、充分に分かった。


「ではガット君、ささっと手続きを済ませてしまいましょうか」


「あ、はい」


 ガットは初めて訪れる冒険者ギルドというものに、興味深いと周囲をキョロキョロ見回す。


 おたずね者の凶悪な賊の張り紙が壁に張られてたり、それを見ている冒険者達がこいつをどう捕らえるか相談する姿が見られた。


「あの、すみませんー」


「んん?」


 ギルドの受付に向かい、ガットはスキンヘッドで右目に眼帯をした厳つい男へ声を掛ける。


「どうした?此処はお前みたいな子供の来る所じゃねぇぞ。ママとはぐれたんなら他行って保護してもらいな」


 受付の男はガットが冒険者を志願に来た者とは、見た目的に思わず場違いな迷子だと決めつけた。


「いえ、あの。僕は冒険者になりたくて……」


「冒険者ぁ?」


 そうなりたいと願うガットの顔や格好をじぃっと男は見てみる。


「おいおい、冷やかしはお断りだからな?」


「そんなんじゃなくて僕は本当に……」


「チビで剣もろくに振るった事無さそうな奴が務まるのか?すぐ泣いて帰っちまうだけだぞ」


 受付の男から見て、ガットは幼く体が小さくて華奢。星の数程の冒険者を見てきたが、とても務まるようには見えないと感じていた。


 これでは話が進まない。自分のせいで事前に話していた事が台無しになって終わりそうと、ガットの中でマーヴェルに申し訳ない気持ちが芽生えだした時。



「彼は私の推薦ですわジャッケ」


「!!ま、マーヴェル様!貴女がですか……!?」


 ジャッケと呼ばれた受付の男はマーヴェルを見た途端、姿勢を正して向き合う。先程までのガットへの態度から、随分と違っていた。


「彼は見た目では想像つかない凄い冒険者となる可能性がありますの。……何か文句でも?」


「い、いえいえいえ!マーヴェル様の推薦でしたら大至急手続きします!今すぐに!!」


 マーヴェルに睨まれると、ジャッケは他の職員と慌ただしく動き出して、ガットの手続きを迅速に進める。そしてあっという間にガットは冒険者として一番下のライセンスを獲得。


 これで正式にチームへ所属出来るようになり、マーヴェルのチームであるクイーンロックウェルへの加入も可能となった。そこでティアモ、シャイカ、サラ、セリーザの分も手続きをすれば、彼女達もその一員となる。


「おめでとう、これであなた方は正式にクイーンロックウェルのメンバーですわ。リーダーの私と共にチームをより高みへ押し上げてまいりますわよ」


 マーヴェルは満足そうな笑みを浮かべ、右手の扇を優雅に扇いだ。


「リーダーの特権でガットの独り占めとか無しな?」


「そこは流石に平等じゃありませんとね」


 シャイカとサラは揃ってジト目でマーヴェルに、リーダーとしての権力を使うのは無しだと釘を刺す。


「そんな事しなくても彼は私の魅力に自然と惹かれますわ。貴女方と違って醜く争いたくありませんし」


 自分のスタイルに絶対な自信を持つマーヴェル。ガットを魅かれさせると、強気に言い切っていた。


「とりあえずー、凶悪な魔物が暴れてるとかの情報なんかないかなぁ?」


「あ、いえ。今はそのような事は起こってません」


 近くの職員にティアモは魔物の討伐に関する事は、何かないかと尋ねたが、今はそういう事は無いらしい。


「それに関しては情報が入れば、私の方に報告が行くようになってますから。では現状の出来る事は……」


 マーヴェルはガットを見下ろし、出来る事を伝える。



「ガット君の強化ですわ」

次回はガットの特訓となります。

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