表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/69

46話 トライアングル

「何であのいけ好かない貴族が……!?」


 シャーリーのサイレントによって、魔法を封じられたままのシャイカ。突然のマーヴェルの登場に、驚きを隠しきれずにいた。


「僕達を助けてくれるんでしょうか?」


「いや、甘い期待はしない方がいいと思うよ。僕達見つかったらヤバいし」


 この劣勢にマーヴェル達が駆けつけて来てくれて、ガットは救世主と思ったが、ティアモの方はあまり良くない状況だと感じている。


 自分達はマーヴェルの地下帝国を襲撃し、モンスター達を解放した。彼女達にとっては敵でしかない存在だろう。


「双方とも敵となれば厄介だが。両方相手にしなければならない」


 剣を構えたまま、セリーザは目の前の状況を確認していく。


 シャーリーの襲撃からマーヴェルの登場、これがガット達にどんな影響をもたらすのか。



「人間のくせに随分と強力な魔法を使うじゃない?何かヤバい力にでも手を出しているとか?」


 周囲の魔物が業火に焼かれて苦しむ中、シャーリーは仲間達を助けるような素振りを微塵も見せず、マーヴェルと向き合っていた。


「私を愚弄するその言葉、貴女とてもいい度胸してますわね。今すぐ焼き尽くして消し炭にしてやりたいぐらいですわ……!」


 右掌に宿る業火の勢いが増し、マーヴェルは笑みを浮かべながらも目が笑っていない。その姿は明らかに怒りが感じられる。


「とりあえず厄介そうで目障りな人間だから、こいつらもまとめてやっちゃえー!」


「魔物に負けはしませんわよ!かかりなさい!」


 シャーリー、マーヴェルの双方が攻撃を命じれば魔物の大群と人間の大群が、それぞれ向かって交戦に入った。



「ブレイズ!」


 マーヴェルはシャーリーへと、青白い炎の玉を速いスピードで放つ。得意の炎魔法が向かってくるが、シャーリーは避ける気配が無かった。


「!」


 次の瞬間、マーヴェルの表情が驚きに変わる。


 シャーリーは右掌で炎の玉を受け止めたかと思えば、そのまま握り潰して魔法を掻き消してしまったのだ。


「覚えておいてほしいなぁ人間。真の魔族にこんな火遊びが通じないって事を」


 ニヤァッとシャーリーは邪悪な笑みを浮かべると、今度は彼女の両手にバチバチと雷の力が宿り、それを手に合わせてマーヴェルへ解き放つ。


「スパークバリスタ!」


 巨大な雷の矢が放たれれば、真っ直ぐマーヴェルへ襲いかかって、その体を貫かんとしていた。


「ちぃっ!」


「ギャアァァァーーー!!」


 小さく舌打ちした後、マーヴェルは左へひらりと飛んで躱す。代わりに魔物と戦っていた彼女の部下の体に刺さり、全身に雷が駆け巡って黒焦げとなれば力尽きて倒れる。


 すかさずマーヴェルは鞭を振るって、シャーリーに一撃を加えようとするが、シャーリーは羽を使って空へ逃げて躱す。


「ブレイズ!ブレイズ!ブレイズ!」


 そこにマーヴェルは炎魔法を連続して唱え、右掌から立て続けに青白い炎の玉が空を飛ぶシャーリーに向かって発射される。


 それを優雅に空を飛んで右や左にひらひらと躱し、炎の玉に一度のヒットも許さない。



「高レベルな戦いでどさくさに紛れて仕留める、は無理そうかなぁ〜」


 ティアモはこの混戦を利用して、シャーリーとマーヴェルを倒せるかと考えたが、2人の戦いを見て自分達が入る余地が無さそうだと感じた。


「此処は逃げましょう!僕達の相手どころじゃなさそうですから!」


「ああ、それが最善だな」


 ガットは真っ先に逃げる事を提案。シャイカの魔法が封じられて攻撃も回復もままならないなら、このまま留まっても不利な状況は変わらない。シャーリーが勝とうがマーヴェルが勝とうが、敵となるのは間違いないだろう。


 セリーザはガットの案に頷き、ティアモとシャイカもそれに続く。


「サラー!」


 ティアモがヴォレットと剣を交えるサラに声を掛け、その耳が女戦士に届けばヴォレットを押し退けて、一旦距離を取る。


「もうちょい剣を交えたかったけど、悪いが此処はずらからせてもらうぜ!あばよ!」


「!逃がすか!」


 そう言ってサラはティアモ達の方へ走り、ヴォレットは逃がさんと大剣を上段に振るえば、そこから風の刃が発生する。


「っとぉ!」


 それをサラが間一髪、右に避ければ強い風が周囲に発生。



「あっ!」


 ガットのかぶっていた帽子が風で脱げて、飛んでいきそうになったが寸前の所を右手で掴み取った。


「!(あれは……!あの猫耳は!あの子は!)」


 この時、シャーリーと交戦中のマーヴェルにガットの猫耳を見られる。そして彼女は以前に会った人物だと、顔も見えて確信。


「見つけましたわぁ!」


 彼の居る方へ跳躍して距離を詰めながら、マーヴェルの鞭が振るわれてガットに伸びていく。


「わぁっ!?」


 伸びて来た鞭は器用にガットの体に巻き付き、身動きがとれなくなってしまう。


「「ガット(君)!?」」


 仲間の女性達による彼への声が響く中、ガットを鞭で巻き付けたマーヴェルはグイッと引き寄せて、彼を自分の元へ導いた。


「フフフ、早々の再会になりましたわぁ♡ああ、この匂い……たまりません♡」


 以前彼と密着した時の事を思い出せば、マーヴェルにとっては甘美なひと時。それを再び味わえて彼女は満面の笑顔を浮かべる。


「んぷっ!?」


 身動きが出来ないまま、ガットはマーヴェルに抱き締められて、彼女の豊かに実った胸に顔が埋まる。



「なんてうらやま……!いえ!ガット君を今すぐ奪還です!大至急です!」


「たりめーだ!あいつを取り返すぞ!」


 怒りに燃えるシャイカとサラ。ガットを取り返そうとマーヴェルに向かうが、その前に運悪くリザードマンやスケルトン達が彼女達に矛先を向けて襲いかかる。


「邪魔はしないでもらおうか!」


「緊急事態なんでね!叩きのめすよー!」


 冷静なティアモやセリーザも、ガットを奪われたとなっては黙ってられず、凄まじい気迫で魔物達と交戦する。



「貴方はこのまま私のお屋敷の招待いたしますわ。ささ、行きましょうか」


 ガットを捕まえたという事で、マーヴェルはさっさと撤退しようとしていた。



「フン!」


「!」


 そこへヴォレットの大剣が振り下ろされると、マーヴェルはバックステップで躱す。この時に鞭を落として、ガットと離れていた。


「隙ありっと!」


「わっ!?」


 シャーリーはそのガットに飛びかかると、その体を抱えて飛び上がる。


「思わぬチャンスをくれてありがとう、愚かな人間のお嬢様。じゃあねー♪」


「!!待ちなさい!絶対逃がしませんわよ!」


 シャーリーがガットを抱えたまま、空を飛んで移動。それを見たマーヴェルは怒りの形相で追っていく。


「ガットーー!!」


 シャーリーがガットを連れ去るのを、魔物達と戦う勇者一行は見ている事しか出来なかった……。

次回は攫われたガットに色んな危機が!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ