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38話 自分達の村

「そちら運んでくださーい、そうそうそのままー」


 力のあるオーク達がせっせと木材を運び、シャイカが彼らを誘導。運ばれた木材をセリーザやローレン、ゴブリン達が削ったり組み立てて、形にしていく。


「こっち俺1人だけかよー!」


「貴女は馬鹿力ですから1人でも行けるでしょう?」


「誰が馬鹿力だぁ!」


 シャイカと喧嘩になりながらも、サラはオーク達の運んでいた木材を1人で運び、削りも組み立ても1人でやっていた。



「ガットお兄ちゃん、これ食べられるかな?」


「ん?あ、これリサタマッシュだね。食べたら一晩中笑う毒キノコって知られてるから」


「わー、食べちゃ駄目な方だったー!」


 ガットとティーナの居る組は皆の食料調達。ティーナがキノコを発見するも、それを毒キノコだとガットが見抜く。


「あ、でもこれはね。ある道具の材料にもなるから、これはこれで良いんだよ」


「そうなの?役に立てたガット?」


「うん、とても」


 ティーナはガットの役に立ったとなって、嬉しそうに微笑む。彼のほうも一緒に微笑んだ後、キノコを袋に入れておく。


「ガット!ティーナ!こっち食べられるキノコで安心!美味い!」


 一緒に居たドンナーが別のキノコを発見。これは安全だと伝え、ガットも確認する。


「これセボンマッシュだよ!高級キノコで知られてて味も香りも良いヤツだ!」


「え!?凄いドンナー!」


「ドンナー偉い!!」


 本ぐらいでしか見た事の無い、高級キノコを見て感動しながらもガットは食べられる物だと確認。ティーナから褒められると、ドンナーは胸を張っていた。


 どうやら今日の食事は、何時もより少し豪華になりそうだ。



「 んんんっ!」


 ティアモはノームの力を借りて、空いている場所に向かい念じると、そこから石がせり上がって現れる。


 それを石材として利用し、セリーザ達に渡して加工してもらう。


 こうして村作りは快調に進んでいく。



「ふぃ〜、良い感じに出来たんじゃねぇ?」


 一休みと、切り株に腰かけてサラは出来上がってきた建物を眺める。木で出来た家や石を削って作られた家と、村らしくなりつつあった。


 水も必要と、魔物達がひたすら穴を掘れば、ティアモがウンディーネの力で水を引いて井戸も作られる。人だけでは短時間でこうは行かず、やはり精霊の力が大きく、後は人手と魔物達の能力の高さのおかげだろう。


「……懐かしいな」


「ああ、我々が元々住んでいた集落を思い出させてくれる」


 自分達で作り上げた村を眺めると、セリーザとローレンは元々の居場所を共に思い出していた。そこにティーナもローレンに寄り添い、思いは同じだ。



「よし、腹も減ったし皆飯にするか!」


「オオッ!」


 自分の腹が減ったタイミングで、サラは手をパンッと叩くと魔物達も食事を欲していたらしく、皆が声を揃える。


 中央の広場にて、集めた枯れ木にティアモがサラマンダーの力を借りれば、そこに火が灯された。



「うお!美味い!」


「まさか此処でセボンマッシュにありつけるなんて思ってなかったぜ!?」


 ガット達が見つけて取ってきたセボンマッシュは、火で焼いて焼きキノコとしていただく。肉厚で香ばしく、肉をよく食べるサラや魔物達から好評だった。


「ドリアードの加護があるとはいえ、これは想像を超える良い場所かもしれないな」


「人目に付きにくい森の奥深くで悪しき者が立ち入ったら遠ざける……魔物達を守り、休ませる場所には良い。此処を我々の拠点としようか」


 同じく食事をとるセリーザとローレンは、2人で話して自分達の新たな拠点にしようと決める。


「じゃあ、折角だからさ。この場所に名前付けない?」


 そこにティアモから、拠点にするなら名前を付けておこうと提案。皆は反対せず、そうしようと前向きだ。


「うーん。やはりドリアードの住処ですから、ドリアード村ですか?」


 まず候補に上がったのはシャイカの考えた、ドリアード村。元々この場所はその精霊が居るので、皆が良いなと反応を見せる。


「此処は格好良くズンッ!と来る奴で、グレートソード村!」


 次に出て来たのはサラの考えたグレートソード村。これは一部の魔物だけ好評で、あまり有力候補ではなさそうだ。


「癒やされる場所だから、癒やしの村とかそのまま付けるのもありかもよー?」


 ティアモからは場所が癒やされるという事で、癒やしの村と名前が出て来る。こちらもドリアード村のように飯能は良い。


「ガット村とか」


「何で!?」


 ティーナの提案はガットの名前を使った村。これには勇者一行が良いと頷いたが、本人は恥ずかしいとなって、あまり乗り気ではなかった。


「じゃあガットは何かあるかー?」


「え?えーと……」


 サラから村の名前を問われると、ガットは何か無いかと考える。


「(魔物達が多く集うから魔物村……いや、駄目だ。そもそも魔物って呼び方も良くない気がするから、彼らを別の呼び方で……)」


 彼らを別の呼び方で、それを考えていた時にガットの口から自然と名前は出ていた。



「モンスター村……」


「モンスター?何だそれ」


「あ、いえ。彼ら魔物達が集うので魔物って言い方以外に考えてて……」


 サラから言葉の意味を問われ、ガットは彼らへの呼び方がなんとなく浮かんだと、そう言おうとした時。


「モンスター!ドンナー達モンスター!」


「それは魔物より良い!」


「オレタチモンスター!」


 不思議と魔物達から好評となり、今までで1番良い反応が返ってきた。


「モンスターか。確かに魔物だと禍々しく、人々にとっては良くない感じだが言い方をこっちに変えれば良いかもしれない」


「うん、モンスター村良いんじゃないか?」


 セリーザとローレンも賛成のようで、多数がガットの言うモンスター村を推していた。


「結論が出たみたいですね。ではこの場所はモンスター村という事で、よろしいでしょうか?」


「不思議としっくり来るから良いと思うぜ」


「皆賛成みたいだし、反対する理由は特に無いかなぁ。個人的にはガット村良かったけど♪」


 勇者一行の方もガットのモンスター村に反対は無い。このまま彼の提案した、モンスター村という事で場所の名前は正式に決まったようだ。


「(良いのかなぁ?とりあえず皆喜んでるみたいだから……大丈夫そうか)」


 自分の考えた名前が村の名前となる。自分がこの場所の名付け親となり、ガットはこの村を見守る大樹を見上げていた。

次回はモンスター村にて、イチャイチャな回です。

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