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18話 2人きりの無人島探索で聖女暴走!?

「ふ〜……まだ食い足りねぇけど、とりあえず腹は満たされたな」


「私の分まで食べそうだった時は、杖でガツンと行こうかと思いました」


 魚や木の実と、サラにとっては物足りなかったようだ。その女戦士をジト目でシャイカが見ていた。


「あの、そういえばちょっと思ったんですけど……」


「ん?何かなガット君」


 何かに気づいた様子のガットに、ティアモは彼の方へと視線を向ける。


「ティアモさんってウンディーネの力で潜れますよね?それで海に落下した僕達を救ってくれましたから」


「うん、使えるね」


 ウンディーネの力が使える事を、ティアモに改めて確認するとガットは提案する。


「つまりその力を使えば、僕達は水中を移動出来てこの島から脱出が可能じゃないですか?」


 この手段なら無人島を抜け出せると、少し希望が湧いてきた影響か、ガットの表情は明るかった。


「うーん、甘いね」


「え?」


「それはもうケーキみたいに甘い!」


 提案したガットにティアモは駄目だと言わんばかりに、彼へと右手の人差し指をビシッと向ける。


「水中を確かに移動は出来る。ただ僕の精霊魔法ずっと発動出来るって訳じゃないんだよ?此処は右も左も分からない海に浮かぶ島。何処に向かえば陸地に辿り着くか、何も情報が無い。最悪移動中に魔法が尽きたら……溺れて終わるよ」


「……!」


 女勇者はガットに真顔で不可能だと説明。やるにしても大きなリスクが付きまとい、ティアモとしては絶対勧められない手段だ。


「まぁ、可能だったら真っ先にやってたよな?じゃなきゃ島探索とか魚をとったりとか、してねぇだろうし」


「ガット君が危険になってしまう事はまず駄目ですからね」


 シャイカもサラも不可能である事は、最初から分かっている。だからこの無人島に留まっているのだと。


「幸い周囲は魚いっぱい泳いでたから、それでとりあえず食料は大丈夫そうかな?当分は魚生活になりそうだけど」


「肉お預けなのは痛ぇな〜」


「木の実とかは貴重になりそうなので、あまり食べず魚メインにしましょうか」



「(皆凄いなぁ……)」


 何処にも移動出来ない無人島。そこで何時終わるのか、全く分からない生活が始まる。ガットが不安に思うのとは逆に、勇者達3人は悲観的にならず、これからに向けて話していた。


 やはり強い女性3人は凄くて頼りになる。改めてそう思うと、ガットも気をしっかり持って、無人島生活を受け入れる決意を固める。



 その裏では……。


「(我慢出来ずガット君襲う抜け駆けとか無しだけど……限界まで来たら考えよっか)」


「(ええ、誰もいないというのはある種、最高のシチュエーションと言えますからね)」


「(ずっとお預け食らってたら一番美味しい所を逃しちまいそうだからな)」


 ガットを狙う肉食獣3人は、我慢の限界が来た時の事を話し合う。これが彼に聞こえる事なく、夜は静かに更けていった。




「シャイカさん、これ食べられそうですかー?」


 ガットも無人島を折角だから巡ってみようという事で、シャイカと共に食料集めを兼ねて探索する。


「どれどれ?ふむふむ……もう少し熟せば食べられそうですね」


「本当ですか?良かったー」


 ガットから見せられた木の実を見れば、シャイカから時間が立てば食べられると教えられ、食料を見つけた喜びからガットの顔は笑顔に溢れていた。


「(可愛い!ああ、善行を重ねるとこのような事が起きる……神はよく見てくださいますね……!)」


 シャイカの内心はガットの笑顔を見て悶え、欲望が高まるばかりである。



「本当、僕一人だったら……どうしようもなくて、泣き出したかもしれないです」


 共に歩く中でガットは胸の内を語っていた。


「今までこういった外の世界で冒険、みたいな事は無かったから……ティアモさんやシャイカさんやサラさんと一緒の今、不謹慎って思われそうだけど楽しいって思ってます」


「不謹慎なんてそんな事はありませんよ。男の子は、冒険に心躍り楽しむ。それが普通だと思いますから」


 こんな時に楽しむのは申し訳無いなと、ガットが思うのに対してシャイカは首を横に振る。


「不安に思うのであれば仲間を、私を頼って甘えて良いのです」


「シャイカさん……」


 慈愛の微笑みを見せるシャイカに、ガットは彼女の顔を見上げていた。



「(あ、上目遣いのガット君物凄く可愛い……!これ、反則じゃないですか!?抱き締めてくれって言ってるようなもんでしょう!)」


 内面は聖女と程遠い欲にまみれた事を考え、内なるシャイカのテンションは上がりっぱなしだ。


「(これは、押し倒しても許されますよね!?成人以上のはずですし、神もお許しになると思いますから!というかティアモやサラが2人になって美味しい思いして、私だけ回って来ないの不公平ですし!)」


 神も許すと都合良く考え、探索を楽しむガットはシャイカが今何を考えてるのか、全く分かっておらず。食べられそうな食料を一生懸命探している最中だ。


「ガット君……」


 シャイカはゆらりと、ガットの背後に立って後ろから抱き締める体勢をとっていた。彼女の中で無人島ライフ万歳!となって、行動へと今にも出ようとしている。



「おおーい!!」


 そこにサラの大声が轟く。ガットは声に気づくと、食料集めを中断して声のした方向に振り向く。


「(あんの船酔い女戦士ぃ!!)なんですか!?肉の食べられそうな獲物でも発見しましたか!?」


 千載一遇のチャンスを邪魔され、シャイカは内心サラに毒づいていた。その怒りが込められたままの声で、近づいて来たサラの姿を見ながら言う。


「ちげぇよ!船が近づいて来てんだよ!」


「え!?」


 サラが持って来た、まさかの朗報にガットとシャイカは揃って驚く。船が通る気配などまるで無かったが、これは大きなチャンスだ。


 3人はティアモの居る海岸へと急いで戻る。



「本当なんですか!?船が見えたった!」


「ああ、あれだよ」


 海岸に戻って来ると、ティアモが立っていて海の方をじっと見る。ガットは本当なのかと聞いた後、彼女の指し示す方に視線を向けた。


 サラの言った通り、船がこちらに迫る姿が確かに見える。まだ遠いが、かなり大型船という感じだ。



「……あれ?」


 その時、ガットは船の掲げる旗に気づく。


「あの、僕の見間違えでなければ……旗がドクロじゃないですか?」


「うん。どう見てもあれはドクロにしか見えないよね」


「私の目から見てもそう見えます」


「見間違えようが無いよな」


 ガットだけじゃなく、彼女達もその旗はハッキリ見えていた。旗の意味は全員が理解している。



 あの旗を掲げてまともな船な訳が無い。海を住処として、船を襲っては金品を強奪する海賊。その賊達が乗る海賊船である事を。

次回は海賊達との遭遇となります。

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