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15話 不死を束ねるボス

「っせい!」


 ティアモが剣を振るって、スケルトン達を次々と薙ぎ払う。その度に骨の体は崩れ落ちていくが、何度でも骨はくっついて元通りになれば再び襲いかかる。


「くっそ〜、シャイカと別行動になったのは相当痛いなぁ」


 この場に不死の魔物を滅する魔法の使い手、シャイカがいない事が痛手となってしまう。彼女のターンアンデッドなら、再生を許さずスケルトンを消滅させる事が可能だった。


 ティアモはデッキの奥にて、海を背にした状態。挟み撃ちにならない位置でガットを守って戦う。こんな状況でも場の環境を上手く、利用していたのだ。


「(向こうがこのまま無限に再生し続けていたら、いずれは……)」


 今はティアモが守ってくれているが、無限に再生するスケルトンを相手にし続ければ、彼女の体力が尽きてしまう。そうなれば最悪の結末となる。


「(何か、何か助けになるような事は……!?)」


 ティアモのような力は全く持っていない。戦う事の出来ないガットは何か出来ないかと、周囲を見回していた。


「あれ?」


 その時、ガットの口から思わず声が出た。船の帆を張る為に立てられた垂直棒こと、マストの上に誰かが立っている。全身黒ずくめの鎧に包まれ、禍々しい血のような赤い剣を右手に持つ。


「上!誰か居ます!」


「!」


 ガットがそう叫ぶと、ティアモは再びスケルトン達を斬り伏せたタイミングで上を見る。すると彼女も同じ姿をその目で捉えた。


 次の瞬間には鎧の人物がマストから飛び降りて、2人の前に立ち塞がる。


「なーんか雰囲気的に、スケルトン達のボスって感じがするね」


「つまりあれを倒せば……スケルトンも動かなくなるんでしょうか?」


「いや、分かんないけど。都合良くヒューって消える保証無いからなぁ〜」


 異様な雰囲気漂う、赤い剣を構えた全身を黒い鎧で纏う人物。ティアモより頭1個分以上に背が高く、体格も良さそうだ。


「……」


 黒い鎧が赤い剣を両手で握り締めれば、ゆっくりと上段に構えてくる。どうやら戦うつもりのようで、戦闘は避けられそうに無い。


「じゃ、いっちょ手合わせ願いましょうか謎の騎士さん」




「はぁ〜、一体どのくらいスケルトンが出て来るのか……!」


 何回神聖魔法で不死の魔物を消滅させてきたのか、正確な数は既に数え切れなかった。シャイカに疲れが出て来て無限に沸いて出るスケルトンに対し、うんざりさせられている。


「確かあの扉が外に通じてたよな?急ぐぞー……!」


 船酔いと戦いながらも、サラは声を出して出口の方へ向かって進む。


「ーーーー!!」


 そこへ彼女達を進ませんとばかりに、スケルトン達が外へ通じる扉の前に現れた。



「またですか……!」


「やろぉ……!」


 シャイカは再び青い杖を握り締めれば、不死の魔物達を見据える。サラも大剣を持って、敵を睨みつけていた。




「わっ!とっ!」


 ティアモの剣と黒い鎧の赤い剣が斬り結ぶと、場にはガシンガシンと金属同士のぶつかり合う音が響き渡る。


 太刀筋が鋭い上に重く感じられ、ティアモとしては何度も受けるのは好ましくなかった。


「っせい!」


 横薙ぎで剣を振るうが、赤い剣によって受け止められてしまう。


「ーーーー!」


 更に敵は目の前の黒い鎧だけではない。複数のスケルトン達まで居て、ティアモへと剣を振り下ろす。これをティアモはバックステップでその場を離れ、振り下ろされた剣から逃れた。


「これじゃ数でちょっと不利だから、シルフ!スピードアップ!」


 ティアモは精霊魔法を唱えると、風の精霊シルフが現れてティアモに力を与える。その瞬間、彼女の動きは劇的に変わる事となった。


 先程とは段違いのスピードでスケルトンに迫ると、横薙ぎで胴体を真っ二つに斬る。そこから風のような速さで別のスケルトンを1体、2体と斬り伏せて黒い鎧へと向かう。


 赤い剣を振り下ろすが、瞬間にティアモは床を蹴って左に躱す。そのまま背後にスピードを落とさず回り込めば、黒い鎧の首部分を狙って剣が振るわれた。


 剣を鎧の首部分を捉えると、兜がゴトッと下に落ちていく。素顔が晒されるかと思えば、そこに顔は無い。


「え……!?」


 それを見たガットは驚きを隠せなかった。まさか兜ごと首まで斬り落としたのかと思ったが、出血が全く無い。


「まさか……!」


 ティアモが気付いた時には、黒い鎧が首の無い状態で赤い剣を振り回していた。


「っと!」


 美しい金髪を揺らしながら、ティアモは上体を後ろに逸らす事で剣を躱す。そこから後ろへ下がって距離を取り、体勢を立て直す。



「(確か鎧の中が空っぽで実体の無い鎧の魔物……リビングアーマーか。これもスケルトンと同じで不死の仲間って訳だね)」


 再びスケルトンの骨が剣によって床に散らばり、ティアモの目は首無しの黒い鎧へと向いていた。


 するとリビングアーマーの方も後ろに飛び退き、距離を取れば剣を握る右手とは別の、左手を翳すと黒い霧のような物が左手の周囲に発生。


 それが床に散らばったスケルトンの骨に伸びていく。怪し気なオーラを漂わせながら、骨が再びスケルトンを作り出す。


「(え、あれ……何か大きい!?)」


 ガットの目から見て、先程までティアモと似たよう背丈だったスケルトンが複数から一つに纏まり、巨人のような大きさとなっていく。



「ーーーーー!!」


 リビングアーマーによって一つとなり、パワーアップしたスケルトンが現れて、ティアモとガットを見下ろしながら声にならぬ雄叫びを上げていた。


「うわ〜、また大きくなっちゃったもんだね……!」


 自分の倍以上の大きさとなったスケルトンを見上げつつ、ティアモは右手の剣を握り締める。

次回はボス戦となります。

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